
目次ひらく(全14章)
- 01雑種の猫とは?「ミックス」「混血猫」「日本猫」との違い
- 02「日本の猫の約8割は雑種」は何を数えた数字?調査で11%〜76%に開く
- 03雑種の猫の柄の種類|一覧と、柄ごとの詳しい記事
- 04雑種の人気の柄ランキングは3種類ある|何を測ったかで順位が変わる
- 05「雑種は丈夫で長生き」は本当?原典で確かめた
- 06柄で性格は決まる?飼い主の申告にもとづく研究
- 07うちの猫は雑種?何ミックス?見た目だけでは決められない理由
- 08野良猫の種類は?品種ではなく「暮らし方」の呼び名
- 09雑種の猫を迎える道|自治体・保護団体・里親募集と、子猫を見つけたとき
- 10純血種を選ぶ理由がある飼い主さんへ
- 11今回の調査で確認できなかったこと
- 12よくある質問
- 13まとめ
- 14出典
この記事の要点:猫の雑種は「品種が定まっていない猫」の通称で、調査ごとに範囲が違います。割合は数え方で11%から76%まで開き、「丈夫・長生き」も原典では言い切れませんでした。「猫の雑種」と調べると、どの記事も「日本の猫の約8割は雑種」「丈夫で長生き」「柄ごとの性格」を並べています。検索上位の記事を中心に十数ページを読み比べましたが、「約8割」の出どころは記事ごとにばらばらで、「丈夫」の根拠として猫の病気のデータを示した記事は見当たりませんでした。
Flowens Catは純血種専門のキャッテリーで、雑種の猫は取り扱っていません。純血種を扱う立場だからこそ、雑種を下げず、純血種も持ち上げず、保険会社の公表データ、英国の臨床研究、環境省の統計を実際に開いて確かめました。確認できたことと、確認できなかったことを分けて書いています(2026年10月1日時点の情報です)。
雑種の猫とは?「ミックス」「混血猫」「日本猫」との違い

雑種の猫とは、特定の品種に当てはまらない猫の通称です。ただし「ミックス」「混血猫」「日本猫」との線引きは、記事や調査によって違います。
純血種(品種の基準にそって繁殖された猫)の反対側にいる猫、と考えるとつかみやすいでしょう。ところが割合などの数字を読むと、「雑種」にどこまで含めるかが調査ごとにまちまちでした。開いて確認できた範囲では、次のような違いがあります。
| 呼び名 | 記事での使われ方 | 調査・団体での扱い(開いて確認できた範囲) |
|---|---|---|
| 雑種 | 品種が定まっていない猫の通称。血統書のない猫全般を指す記事が多く、純血種同士の子まで含める記事もある | アイリスペットどっとコム「猫の国勢調査2019」は「MIX・雑種・混血種」を1つの枠にしている |
| ミックス | 2品種以上を人が掛け合わせた猫に限る記事と、雑種と同じ意味で使う記事がある | アイペット損保の「ミックス(猫種)」は、純血種同士を組み合わせている猫・日本猫・雑種の猫を含む(同社の注釈) |
| 混血猫 | 雑種・ミックスと言い換えられることが多い | アニコム損保は「混血猫」と「日本猫」を別の項目で集計している。混血猫の定義は確認できなかった |
| 日本猫(和猫) | 日本に古くから暮らしてきた猫の総称。品種ではない | アニコム損保・アイリスペットどっとコムとも、雑種とは別の項目にしている |
| ハウスホールドペット | 海外の用語 | 米国の猫の血統登録団体CFAは、血統書のない猫のための「ハウスホールドペット」クラスを設けている。血統書付きの猫でも、展示の基準に外れる欠点があると、このクラスに出ることがある |
この記事では、雑種を「品種が定まっていない猫の通称」として使います。調査の数字を引くときは、その調査が使っている枠の名前(雑種・ミックス・混血猫など)をそのまま書きます。
「日本の猫の約8割は雑種」は何を数えた数字?調査で11%〜76%に開く

雑種の割合は、何を数えたか(母集団)で大きく変わります。今回確認できた3つの調査では、雑種にあたる枠の割合は11.2%から76.1%まで開きました。
多くの記事が「約8割」と書きますが、出どころは飼い主へのアンケートで、引いている調査の年も記事ごとに違います。この記事では同じ数字を引き写さず、開いて確認できた3つの調査を、何を数えたのかといっしょに並べます。
| 調査(発表年) | 数えた対象 | 雑種にあたる枠 | 割合 |
|---|---|---|---|
| アニコム損保「猫の名前&猫種ランキング」(2026年2月) | 2025年2月〜2026年1月に、ペット保険に新規契約した0歳の猫54,764頭 | 「混血猫」 | 6,115頭=11.2%(猫種別で2位) |
| アイペット損保「人気飼育犬種・猫種・小動物ランキング」(2026年1月) | 2025年1〜12月に、ペット保険の契約が始まった猫(年齢の限定・頭数の記載なし) | 「ミックス」(純血種同士の組み合わせ・日本猫・雑種を含む) | 45.6%(1位) |
| アイリスペットどっとコム「猫の国勢調査2019」(Cat Pressの紹介) | 同サイトの会員が飼っている猫1,702匹(純血種を含む) | 「MIX・雑種・混血種」 | 1,007匹=59.2% |
| 同上 | 同上 | 「MIX・雑種・混血種」と「日本猫(三毛・茶トラ)」288匹の合計 | 1,295匹=76.1% |
数字を並べると、読み方の注意が3つあります。
- 数えた場所が違う:アニコムは新しく保険に入った0歳の猫だけ、アイリスは会員が飼っている猫全体(年齢はさまざま)です。
- 「雑種」の枠が違う:アイペットの「ミックス」は日本猫を含み、アイリスは日本猫を別の枠にしています。アニコムの猫種ランキングの上位10位に、日本猫は出てきません。
- 同じペット保険でも数字が違う:アニコムの11.2%とアイペットの45.6%は、どちらも2025年を中心に契約が始まった猫のデータですが、4倍ほど開きました。年齢の条件、猫種の分け方、加入者の層の違いが影響していると考えられますが、どれがどれだけ効いたかは、公表資料から読み取れません。
アイリスの調査では、回答者の55.5%が「野良猫を保護した」または「保護猫を譲り受けた」と答えています(Cat Press)。飼い主アンケートで雑種が多く出る背景に、保護や譲り受けで迎えた猫が多いことは考えられますが、この調査から原因までは断定できません。
結論として、日本の飼い猫全体の中で雑種が何%かを、一つの数字で示す公表データは、私たちが調べた限り見つかりませんでした。言えるのは、会員アンケートでは過半数、新規にペット保険へ入る0歳の猫では1割台、というように、数える場所で見え方が変わるところまでです。
雑種の猫の柄の種類|一覧と、柄ごとの詳しい記事

雑種の猫によく見られる柄は、トラ柄・単色・白との2色・三毛とサビに大きく分けられます。柄ごとの性格や遺伝は1本ずつ書いているので、ここでは入口の一覧にとどめます。
| 柄 | 見た目 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| キジトラ | 茶〜黒褐色の縦縞 | キジトラの性格 |
| サバトラ | 銀〜グレーの縦縞 | サバトラの性格 |
| 茶トラ | オレンジ〜茶色の縦縞 | 茶トラの性格 |
| 黒猫 | 全身が黒 | 黒猫の性格 |
| 白猫 | 全身が白 | 白猫の性格 |
| グレー猫 | 黒が薄まった灰色(ブルーとも呼ばれる) | グレーの猫の種類 |
| ハチワレ・黒白 | 黒と白の2色。顔の白が「八」の字に分かれるのがハチワレ | ハチワレ猫の性格・白黒猫の柄の種類 |
| キジシロ | キジトラに白が入った柄 | キジシロの性格 |
| 茶白 | 茶トラに白が入った柄 | 茶白の性格 |
| 三毛 | 黒・オレンジ・白の3色 | 三毛猫の性格 |
| サビ | 黒とオレンジが混ざり、白がほとんどない | サビ猫の性格 |
ここに並べた柄は、雑種だけの柄ではありません。キジトラやハチワレ、三毛などは、Flowens Catが扱う品種にも出る柄です(柄×取扱9品種の早見表は、前の段落の柄・模様一覧にあります)。柄を見ただけでは雑種かどうかが決まらない、という点は、後の「うちの猫は雑種?」で触れます。
雑種の人気の柄ランキングは3種類ある|何を測ったかで順位が変わる
「雑種の人気の柄ランキング」には、飼い猫の数・飼い主のいない猫の手術助成の申請・ページの閲覧数の3種類があり、測っているものがそれぞれ違います。
| 種類 | 出典 | 測ったもの | 結果 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 飼い猫の実数 | アイリスペットどっとコム「猫の国勢調査2019」(Cat Press経由で確認) | 会員が飼っている猫1,702匹の柄 | 1位キジトラ197匹、2位黒白187匹、3位茶トラ176匹、4位黒164匹、5位茶トラ白118匹 | 純血種を含む全体の柄。雑種だけの集計ではない |
| 飼い主のいない猫 | 日本動物愛護協会(JSPCA)「色柄ランキング」2021〜2023年 | 不妊去勢手術の助成を申請した、飼い主のいない猫の毛色 | 3年とも1位キジトラ。2位と3位はキジ白と黒白が年によって入れ替わり、4位黒、5位三毛 | 頭数・割合は公表されていない。毛色の分類は助成申請のための協会の分類 |
| ページ閲覧数 | ねこのきもち「猫図鑑」雑種の猫アクセス数ランキング(2025年度) | 雑種の猫の柄のページが見られた回数 | 1位茶×白、2位キジトラ、3位茶トラ、4位白猫、5位黒×白 | 飼われている頭数ではなく閲覧数 |
JSPCAは、飼い主のいない猫でキジトラが多い理由を、次のように説明しています。キジトラの毛色は遺伝学的に優性(現れやすい)と言われていること、原型のリビアヤマネコの毛色に近く屋外で外敵から身を守りやすいこと、野性的な性格を受け継ぐと言われていることです。ただしJSPCAのページ自身が「言われています」「思われます」と書いていて、数値の出典は示されていません。ここでは「JSPCAがそう説明している」という紹介にとどめ、事実として断定しません。
「雑種は丈夫で長生き」は本当?原典で確かめた

結論は3つです。寿命では雑種に近い枠が長い調査がありますが、品種差も大きく「雑種だから長生き」とは言い切れません。一般的な病気は「純血種で多い」とは出ませんでした。そして「雑種のほうが病気にかかりにくい」と直接示す猫のデータは、見つかりませんでした。
寿命:雑種に近い枠が長い調査はあるが、品種差も大きい
アニコム ホールディングスの「家庭どうぶつ白書2025」(2025年12月発表)は、同社のペット保険に2008年4月〜2024年3月に契約が始まった猫のデータから、0歳時点の平均余命を「平均寿命」として計算しています。猫全体は14.5歳で、猫種別の上位は次のとおりです(数値を確認できたものを抜粋)。
| 猫種 | 平均寿命 |
|---|---|
| 日本猫 | 15.3歳(猫種別で1位) |
| ラグドール | 15.1歳 |
| 混血猫 | 14.9歳 |
| アメリカン・カール | 14.6歳 |
| マンチカン | 14.4歳 |
| (参考)猫全体 | 14.5歳 |
英国の臨床データでも、方向は似ています。O'Neillらは、王立獣医大学(RVC)のVetCompassに参加する英国90の動物病院の猫118,016頭から、死亡が確認された4,009頭(91.7%が雑種)を無作為に選んで調べました。死亡時の年齢の中央値は、雑種が14.0歳(四分位範囲9.1〜17.0)、純血種が12.5歳(6.1〜16.4)で、差は統計的に有意でした(P<0.001)。ただし著者らは、純血種の品種ごとの長寿の差は大きいとも述べています。5歳以上で亡くなった猫では、雑種であることのほか、体重が軽いこと、去勢・避妊済みであること、保険に入っていないことが、長寿と関連していました。
この数字は、死亡が確認された猫だけの中央値で、今生きている猫は含まれません。「生まれた猫が何歳まで生きるか」を示す数字ではなく、日本の猫にそのまま当てはまるとも限りません。純血種の中にも差があることは、スウェーデンの生命保険に入っていた猫(主に純血種)49,450頭の1999〜2006年のデータ(Egenvallら)からもわかります。ペルシャとシャムのグループの死亡率が、他の複数の品種より高い結果でした。
病気:一般的な病気は「純血種で多い」とは出なかった
O'Neillらの別の研究(2014年)は、英国の91の動物病院の猫142,576頭から3,584頭を無作為に選び、診療記録の病気を数えました。最も多かったのは歯周病(13.9%)、ノミの寄生(8.0%)、肥満(6.7%)です。「一般的な病気は、雑種より純血種で多い」という仮説を立てて検証しましたが、結論は「純血種で一般的な病気が増えることは示されなかった」でした。個別に見ると、雑種で多かったのは膿瘍(猫の咬み傷によるものを除く)と甲状腺機能亢進症、純血種で多かったのは被毛の病気です。
この研究が調べたのは、診療で多く記録された上位20種の「一般的な病気」の有病率で、特定の品種に特有の遺伝性の病気(多発性嚢胞腎や肥大型心筋症など)を調べる設計ではありません。ですから「雑種のほうが病気が多い」とも「少ない」とも言えません。
「雑種のほうが病気にかかりにくい」の裏づけは見つからなかった
「純血種は限られた血統で繁殖するので病気を受け継ぎやすく、雑種は遺伝的に混ざっているので病気が減る(雑種強勢・ヘテロシス)」という説明は、複数の記事で見かけます。私たちが調べた限り、猫でこれを裏づける公表データは見つかりませんでした。
関連する研究として、Lipinskiらは、5大陸にわたる17の雑種集団と22品種、1,100頭超を調べ、純血種の繁殖が遺伝的多様性の低下と関連していたと報告しています。ただし要旨の範囲では、その低下が病気の増加につながるかどうかには触れていません。
品種ごとに遺伝性の病気が知られているのは確かで、Flowens Catが繁殖に使う親猫に遺伝子検査を行っているのも、そのためです。一方で、一般的な病気では純血種が多いとは出ていません(O'Neillら、2014年)。「純血種に特有の遺伝性の病気がある」ことと、「雑種のほうが病気にかかりにくいと示されている」ことは、別の話です。
個々の猫の健康は、雑種か純血種かだけでは決まりません。O'Neillらの寿命の研究でも、去勢・避妊や体重が長寿と関連していました。愛猫の体調が気になるときは、この記事の一般情報ではなく、かかりつけの動物病院に必ず相談してください。
柄で性格は決まる?飼い主の申告にもとづく研究
柄と性格の関係を調べた研究はありますが、飼い主へのアンケートが元で、「柄が性格を決める」と言える結果ではありません。
米国UC Davisのチームは、猫の飼い主へのオンライン調査(分析に使えた回答1,274件)をまとめました(Stelowら、2016年)。飼い主の申告では、サビ・三毛・トービー(トラ柄の入ったサビ)のメス、黒白、グレー白の猫が、日常のふれあい・取り扱い・動物病院での診察のどの場面でも、人に対して攻撃的になりやすいと報告されがちでした。ところが同じ要旨は、取り扱い時と通院時の攻撃行動の分析では、毛色による差は小さかったとも述べています。
この調査は、飼い主が「うちの子は気が強い」と感じた印象にも左右される申告です。要旨の範囲では、柄が原因だと示してもいません。「キジトラは警戒心が強い」「茶トラは食いしん坊」のような柄ごとの性格紹介は多くの記事にありますが、今回読み比べた記事に、研究などの出典を添えたものは見当たりませんでした。
「柄で性格が決まる」と断定できる一次出典は、今回確認できた範囲では見つかりませんでした。性格には、柄よりも品種や個体差のほうが大きく影響すると、当キャッテリーでは考えています(考えであって、数字で示せるデータではありません)。
うちの猫は雑種?何ミックス?見た目だけでは決められない理由

見た目だけで、品種や「何ミックスか」を言い切ることはできません。手がかりになるのは、血統書の有無、迎えた経緯、親猫の情報です。
知恵袋やSNSには「うちの猫は何の種類ですか」という質問が並んでいますが、見た目からの判断には限界があります。理由は3つです。
1. 柄は、品種の証拠にならない。 トラ柄・オレンジ・白斑のように、柄はそれぞれ少数の遺伝子で決まることが知られています(猫の毛色と遺伝のしくみ)。同じ柄が、品種にも雑種にも出ます。同じ両親から生まれた兄弟でも、白の面積や位置がそろわないことは珍しくありません。親が分かっていてもそろわない見た目から、親の分からない猫の血筋を読むのは難しいことです。
2. 品種の多くは新しく、見た目の選抜で作られた。 Kurushimaらは、猫の40〜50品種のうち85%超が過去75年に成立し、主に見た目に関わる単一の遺伝子への選抜で作られたと述べています。品種の歴史が短いため、遺伝標識で品種を当てるのも難しく、29品種477頭の解析では、判定の精度が手法によって0.56〜0.88、追加の確認手順を加えた手法で0.89〜0.92と報告されました(1に近いほど正確という意味の数値です)。これは純血種だけを対象にした研究で、雑種の判定精度や、見た目で判断したときの的中率を示す数字ではありません。見た目で当てたときの的中率の公表データは、私たちが調べた限り見当たりませんでした。
3. 多くの品種は、その地域の在来の猫から作られた。 Lipinskiらは、多くの品種が、それぞれの原産地とされる地域の在来の猫に由来すると報告しています。雑種といっても世界で一様ではなく、地中海沿岸・欧米・アジア・アフリカで、それぞれ遺伝的なまとまりがありました。ある品種に似た雑種が、その品種の血を引いているとは限らず、同じ地域の猫が共通の土台だった可能性もあります(当方の読みです)。「シャム猫みたいな雑種」という言い方もよく聞きますが、見た目が似ていることと、同じ血筋であることは別の話です。
確かめるための手がかりは、次の4つです。
- 血統書・登録証があるか:発行団体と品種名が書かれているかを見ます。血統書がなくても純血種の猫はいます
- 迎えた経緯:譲ってくれた人や団体が、親猫や生まれた経緯を知っているかを聞きます
- かかりつけの動物病院での診察:年齢の見立て、体格、被毛の特徴を診てもらいます。品種を断定してもらうことが目的ではありません
- 遺伝子検査で品種の構成を調べるサービス:精度を今回確認していないため、この記事では扱いません
柄の名前(キジトラ、サバトラなど)の見分け方は、猫の柄・模様一覧に図鑑形式でまとめています。「雑種だけど、これは何という柄の猫?」というご相談は、Flowens Catにも度々寄せられます。
野良猫の種類は?品種ではなく「暮らし方」の呼び名
野良猫は品種ではなく、飼い主がいない状態で屋外で暮らす猫の呼び名です。「野良猫の種類」は、品種ではなく柄や暮らし方で整理されます。
「野良猫 種類」と検索すると、検索結果の要約にヤマネコなど野生のネコ科の話が出ることがあります。野良猫もノネコも飼い猫と同じイエネコで、野生のヤマネコとは別です。環境省は、野生化したネコ(ノネコ)を「元々はペットだったネコたち」と説明しています。飼い主のいない猫が増える原因について、日本動物愛護協会(JSPCA)は、猫を捨てる人がいることと、飼い主のいない猫同士が繁殖して仔猫が生まれることの2つを挙げています。
見た目は飼い猫と同じようにさまざまで、JSPCAの調べでは、飼い主のいない猫でいちばん多い毛色はキジトラです(前の章の表)。
地域で見守られている猫には、耳に小さなV字のカットが入っていることがあります。JSPCAは、不妊・去勢手術を施した猫の耳にVカットを入れるもので、すでに手術が済んでいるしるし、子孫が増えない「一代限り」の猫である証明だと説明しています。耳カットのある猫を家族に迎えたいと思っても、JSPCAは「安易に連れて帰らず、まずは地域で確認しましょう」としています。その猫には、世話をしたり気にかけたりしている地域の方やボランティアがいるためです。
雑種の猫を迎える道|自治体・保護団体・里親募集と、子猫を見つけたとき

雑種の猫を迎える道は、自治体の譲渡、保護団体や里親募集、見つけた猫を家族にする、の3つが中心です。自治体に引き取られる猫の半数以上は、主に離乳前の子猫(統計上の「幼齢の個体」)です。
環境省の統計の、令和6年度(2024年4月〜2025年3月)の猫の数字です。
| 項目 | 頭数 |
|---|---|
| 引取り数の合計 | 22,010頭 |
| 飼い主から(成熟個体) | 6,612頭 |
| 飼い主から(幼齢の個体) | 1,710頭 |
| 所有者不明(成熟個体) | 2,626頭 |
| 所有者不明(幼齢の個体) | 11,062頭 |
| 返還数 | 225頭 |
| 譲渡数 | 16,854頭(うち幼齢の個体 9,388頭) |
| 殺処分数 | 4,866頭(うち幼齢の個体 2,579頭) |
この表は、譲渡先が個人か団体かを読み取れないため、「里親に迎えられた数」ではなく「自治体からの譲渡数」として読んでください。猫の品種別の内訳もありません。自治体を通る猫の多くが雑種かどうかは、この統計からは言えません。
迎える道ごとのポイントは次のとおりです。
- 自治体の動物愛護センターなど:譲渡の条件や手続きは自治体ごとに違います。お住まいの自治体の公式ページで確認してください
- 保護団体・譲渡会・里親募集サイト:条件や費用は団体ごとに違います。里親とブリーダーの違いは、猫の里親とブリーダーの違いにまとめています
- 子猫を見つけたとき:次の項目を見てください
- 地域猫(耳カットのある猫):前の章のとおり、勝手に連れて帰らず、地域で確認します
子猫を見つけたときの順番(JSPCAの案内から)
JSPCAの地域猫相談室は、離乳前の子猫を見つけたときの順番を次のように案内しています。
- すぐに触らず、少し離れて様子を見る。母猫は子猫を連れて引っ越す習性があり、1匹ずつ運ぶあいだ子猫から離れることがあります。そのときに人が保護すると、母猫から引き離すことになります
- 子猫が弱っている、母猫が戻ってこない、というときは保護する
- 保護するときは、まず保温する。湯たんぽなどで子猫の周りを30〜35℃くらいに保ち、なるべく早く動物病院を受診する
JSPCAは、離乳前の子猫の世話はとても難しく、安易に母猫と引き離すと命にかかわることもある、とも書いています。地域猫を家族に迎えるときは、ノミ・ダニ、猫風邪、猫エイズ、猫白血病などの感染症や、ケガ・病気の可能性を考え、最期まで責任をもって飼えるかを考えることも大切だとしています。お迎えの準備は猫のお迎え準備にまとめています。
純血種を選ぶ理由がある飼い主さんへ
雑種と純血種に優劣はなく、選ぶ理由は人それぞれです。純血種を迎えたい理由がはっきりしている飼い主さんには、Flowens Catの品種ページと子猫一覧をご案内します。
Flowens Catは、マンチカン・ラグドール・サイベリアンなど9品種を扱う純血種専門のキャッテリーです。この記事で調べた範囲では、純血種が雑種より丈夫だとも、長生きだとも書けませんでした。それでも純血種を選ぶ飼い主さんが挙げる理由には、次のようなものがあります(当キャッテリーの考えです)。
- 体格や毛質の傾向が、品種ごとにある程度そろっている:成長後の姿を想像しやすくなります。性格にも品種ごとの傾向はありますが、個体差のほうが大きいと当キャッテリーは考えています
- 親猫の情報を確認できる:繁殖に使う親猫には、全品種共通の遺伝子検査(多発性嚢胞腎・肥大型心筋症2種・ピルビン酸キナーゼ欠損症)と、品種ごとの追加検査を実施しています。子猫個体への遺伝子検査は行っていません
検査の範囲は正確にお伝えします。獣医師の署名・押印がある健康診断書を1頭ずつ発行していますが、内容は視診・触診・聴診です。血液検査・尿検査・心エコーなどは実施していません。検査で見えるのは調べた項目だけで、病気の可能性がなくなるわけではありません。この点は雑種の猫でも、純血種の猫でも変わりません。
品種ごとの特徴は猫の種類図鑑と品種一覧に、ご案内できる子猫は子猫一覧にあります。見学は事前予約制で、見学だけでも構いません。検査や健康管理の考え方は健康管理ページでご覧いただけます。
今回の調査で確認できなかったこと
確認できなかったことは、確認できなかったとそのまま書きます。次の4点は、今回開いた資料の範囲で、裏づけとなる公表データが見当たりませんでした。
- 「雑種のほうが病気にかかりにくい」と直接示す、猫のデータ
- 雑種強勢(ヘテロシス)が猫の健康を改善する、という公表データ
- 見た目から品種やミックスの内訳を当てたときの的中率
- 日本の雑種だけの柄別の頭数(最新)
よくある質問
Q. 猫の雑種を何と呼びますか?
一般には「雑種」「ミックス」「混血猫」などと呼ばれます。範囲は調査によって違い、たとえばアイペット損保の「ミックス」は、純血種同士を組み合わせた猫・日本猫・雑種を含みます。アニコム損保は「混血猫」と「日本猫」を別項目で集計しています。数字を読むときは、その調査が何を「雑種」に数えたのかを確認してください。
Q. 日本の猫は雑種ですか?
飼い主アンケートでは多数派ですが、数え方で割合は大きく変わります。アイリスペットどっとコムの調査(2019年・会員の猫1,702匹)では、MIX・雑種・混血種が59.2%、日本猫を加えると76.1%でした。アニコム損保の新規契約0歳の猫54,764頭では、混血猫は11.2%です。日本の飼い猫全体の割合を一つの数字で示す公表データは、確認できていません。
Q. 雑種の猫の種類は?
雑種は品種ではないので、種類は柄で分けるのが一般的です。トラ柄(キジトラ・サバトラ・茶トラ)、単色(黒・白・グレー)、白との2色(ハチワレ・黒白・キジシロ・茶白)、三毛とサビに大きく分けられます。柄ごとの一覧は、この記事の前半の表にあります。
Q. 猫の雑種の人気ランキングは?
測るものによって3種類あります。飼い猫の実数(猫の国勢調査2019)はキジトラ・黒白・茶トラの順、飼い主のいない猫の手術助成の申請(JSPCA・2021〜2023年)は3年連続でキジトラが1位、ページ閲覧数(ねこのきもち猫図鑑・2025年度)は茶×白が1位でした。同じ「雑種の人気の柄」でも、順位は違います。
Q. 一番かわいい雑種の猫の柄はどれですか?
かわいさの感じ方は人それぞれで、柄ごとにかわいさを順位づけした公表データは見当たりませんでした。参考になる数字は、飼い猫の実数でキジトラ・黒白・茶トラの順だったこと(猫の国勢調査2019)と、ページ閲覧数で茶×白が1位だったこと(ねこのきもち猫図鑑・2025年度)です。どちらも「飼われている数」や「見られた回数」で、かわいさの評価ではありません。
Q. 雑種の猫は丈夫で長生きですか?
寿命では、雑種に近い枠が長い調査があります(アニコム損保の2025年版で、日本猫15.3歳・混血猫14.9歳、猫全体14.5歳)。ただしラグドールは15.1歳で混血猫より長く、品種差も大きいため、雑種だから長生きとは言えません。病気のかかりにくさを直接示す猫のデータは、今回確認できませんでした。
Q. 野良猫はどの種類の猫ですか?
野良猫は品種ではなく、飼い主がいない状態で暮らす猫の呼び名で、野生のヤマネコとは別です。見た目はさまざまで、JSPCAの調べではキジトラがいちばん多く、キジ白、黒白、黒、三毛と続きます。耳にV字のカットがある猫は、不妊・去勢手術が済んでいるしるしです(JSPCAの説明)。
Q. うちの猫が雑種かどうかは、どうすれば分かりますか?
見た目だけでは断定できません。血統書や登録証があるか、迎えた経緯や親猫の情報が分かるかが手がかりです。血統書がない猫がすべて雑種とは限りません。気になるときは、かかりつけの動物病院で年齢や体格の見立てを相談してみてください。
まとめ
猫の雑種は「品種が定まっていない猫」の通称で、調査ごとに範囲が違います。確かめられたことと、確かめられなかったことは次のとおりです。
- 割合:数え方で11.2%から76.1%まで開く。日本の飼い猫全体の割合を示す一つの数字は確認できなかった
- 長寿:雑種に近い枠が長い調査はあるが、ラグドールのように混血猫より長い品種もあり、品種差が大きい
- 病気:一般的な病気は純血種で多いとは出なかった。「雑種のほうが病気にかかりにくい」と直接示すデータは見つからなかった
- 見分け方:見た目だけで品種や「何ミックスか」は決められない
猫の雑種を迎えるときも、純血種を迎えるときも、確かめるのは「どこから来た猫か」と「今の健康状態」です。
出典
以下は2026年10月1日に、記載のURLを開いて内容を確認したものです。
- アニコム損害保険「2026年最新版!「猫の名前&猫種ランキング」」(2026年2月19日発表。新規契約0歳の猫54,764頭、混血猫6,115頭・11.2%) https://www.anicom-sompo.co.jp/news-release/2025/20260219/
- アニコム ホールディングス「『アニコム 家庭どうぶつ白書2025』発行」(2025年12月17日。猫の平均寿命14.5歳、猫種別の平均寿命) https://www.anicom.co.jp/news-release/2025/20251217/ ※保険に加入している猫のデータ
- アイペット損害保険「2026年版「人気飼育犬種・猫種・小動物ランキング」発表!」(2026年1月20日。ミックス45.6%と注釈*3) https://www.ipet-ins.com/info/40566/ ※45.6%は、ページ内の画像の表で確認した
- Cat Press「熾烈な順位争いが勃発!猫の種類・柄・名前ランキングが発表(猫の国勢調査2019)」(アイリスペットどっとコムの調査の紹介。会員の猫1,702匹) https://cat-press.com/survey/cat-census-2019 ※元の調査は開けなかったため、この紹介記事で確認した
- O'Neill DG, Church DB, McGreevy PD, Thomson PC, Brodbelt DC. "Longevity and mortality of cats attending primary care veterinary practices in England." J Feline Med Surg. 2015;17(2):125-133. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24925771/
- O'Neill DG, Church DB, McGreevy PD, Thomson PC, Brodbelt DC. "Prevalence of disorders recorded in cats attending primary-care veterinary practices in England." Vet J. 2014;202(2):286-291. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25178688/
- Lipinski MJ, et al. "The ascent of cat breeds: genetic evaluations of breeds and worldwide random-bred populations." Genomics. 2008;91(1):12-21. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18060738/
- Kurushima JD, et al. "Variation of cats under domestication: genetic assignment of domestic cats to breeds and worldwide random-bred populations." Anim Genet. 2013;44(3):311-324. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23171373/
- Egenvall A, et al. "Mortality of life-insured Swedish cats during 1999-2006: age, breed, sex, and diagnosis." J Vet Intern Med. 2009;23(6):1175-1183. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19780926/
- Stelow EA, Bain MJ, Kass PH. "The Relationship Between Coat Color and Aggressive Behaviors in the Domestic Cat." J Appl Anim Welf Sci. 2016;19(1):1-15. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26467020/
- 日本動物愛護協会(JSPCA)地域猫相談室「Q8-1 JSPCA色柄ランキング」(2021〜2023年) https://jspca.or.jp/localcat_color_pattern_ranking.html
- 日本動物愛護協会(JSPCA)地域猫相談室「Q8-2 なぜ飼い主のいない猫に「キジトラ」が多いのか」 https://jspca.or.jp/localcat_yellow-bellied_tigers.html ※数値の出典は示されていない
- 日本動物愛護協会(JSPCA)地域猫相談室「Q6-1 仔猫をみつけたら」 https://jspca.or.jp/localcat_kitten01.html
- 日本動物愛護協会(JSPCA)地域猫相談室「Q9 地域猫を飼い猫として迎えてもいいの?」(耳カットのある猫) https://jspca.or.jp/localcat_faq.html
- 日本動物愛護協会(JSPCA)地域猫相談室「Q9-1 地域猫を迎える前に」 https://jspca.or.jp/localcat_Q9_1.html
- 日本動物愛護協会(JSPCA)「地域猫活動について – 具体的活動」(飼い主のいない猫が増える原因・耳のV字カット) https://jspca.or.jp/localcat02.html
- 環境省「統計資料 犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」(令和6年度) https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html
- 環境省「希少種とノネコ・ノラネコ」 https://www.env.go.jp/nature/kisho/noneko.html
- Cat Fanciers' Association「Household Pet Class」 https://cfa.org/cat-talk/household-pet-class/
- ねこのきもちWEB MAGAZINE「雑種の猫とは 特徴や毛柄の種類・ランキングも」(猫図鑑アクセス数ランキング・2025年度) https://cat.benesse.ne.jp/catlist/others/content/?id=41381 ※閲覧数のランキングで、飼育数ではない
※ 記事内の画像はイメージです。実際にお迎えいただける子猫の写真は子猫一覧でご覧いただけます。








