猫の毛色と遺伝: 黒・白・オレンジなど猫の毛色はたった数個の遺伝子の組み合わせで30パターン以上に分岐します。「三毛猫がほぼメスな理由」「茶トラにオスが多い理由」は、2025年5月に九州大学とスタンフォード大学が独立して解明した最新研究で初めて分子レベルの答えが出ました。猫を迎えようとするとき、多くの方がまず「どの毛色の子にしようか」と悩みます。可愛いから、珍しいから、縁起がいいから——毛色を選ぶ理由はさまざまです。
ただ、Flowens Cat に「この毛色の子はどんな性格ですか?」「三毛猫はなぜほとんどメスなんですか?」というご質問をいただくたびに気づくことがあります。ネット上の猫の毛色記事の多くは「○色の猫は△な性格」という傾向論を並べるだけで、「なぜそうなるのか」「どんな遺伝子が関わっているのか」まで踏み込んだ記事が少ないのです。
この記事では、毛色が決まる遺伝子のしくみを基礎から整理し、2025年5月に発表された最新研究(茶トラのオレンジ色の原因遺伝子の解明)、ブリーダーとしての掛け合わせ実例、そして当キャッテリーが取り扱う9品種の毛色バリエーションまでをまとめました。「毛色の話が誰かにしたくなる」記事を目指しています。
猫の毛色は何種類ある? 遺伝子の組み合わせで30パターン以上
猫の毛色の基礎は、たった2種類のメラニン色素から成り立っています。
- ユーメラニン(真性メラニン): 黒・茶・青(グレー)など暗い色を担う
- フェオメラニン(亜鉛メラニン): オレンジ・黄・クリームなど暖色系を担う
どちらの色素をどの割合で産生するかを、いくつかの遺伝子が制御しています。以下の表は、猫の毛色に関わる主要な遺伝子をまとめたものです。
| 遺伝子 | 役割 | 代表的な効果 |
|---|---|---|
| 黒色濃淡遺伝子(B) | 黒色の濃淡 | 黒 / チョコレート / シナモン の3段階 |
| 色希釈遺伝子(D) | 色の希釈 | 希釈なし → 希釈あり(黒→ブルー、赤→クリーム) |
| オレンジ遺伝子(O)※2025年正体解明 | オレンジ化 | X染色体上に存在。この遺伝子でオレンジ毛が発現 |
| タビー遺伝子(A) | タビー縞の有無 | 縞あり / 縞なし(ソリッド) |
| 白斑遺伝子(S) | 白斑 | 白い部分あり / 白斑なし |
| 全白遺伝子(W) | 全身白 | 全身を白くする優性遺伝子(他の色を打ち消す) |
| 温度感受性色素遺伝子 | ポイントカラー | 体の末端だけに色が出る(シャム・ラグドール等) |
| 根元白化遺伝子(I) | 毛の根元を白化 | スモーク・シェーデッド・チンチラの原因 |
なぜ三毛猫はほぼメス? 60年の謎を解いた2025年の最新研究

「三毛猫はほぼメス」という話は多くの方がご存知でしょう。でも「なぜ?」を分子レベルで説明できた研究者は、2024年まで世界に存在しませんでした。
三毛・茶トラの仕組み:X染色体と「オレンジを作る遺伝子」
猫の毛色の中で「オレンジ(茶トラ・レッド)」を作る遺伝子(O遺伝子と呼ばれてきた)は、X染色体の上に乗っています。ここが重要なポイントです。
- メス猫はX染色体を2本持つ(XX) ため、1本にオレンジ遺伝子、もう1本に黒系遺伝子を持つことができる
- オス猫はX染色体を1本しか持たない(XY) ため、オレンジ遺伝子があればオレンジ一色(茶トラ)、なければ黒系一色になる
これが「三毛猫・サビ猫はほぼメス」「茶トラにはオスが多い」理由です。
では、メス猫はどうやってオレンジと黒を同じ体に混在させるのでしょうか?
答えは「X染色体の不活性化」という現象にあります。メス猫の体内では、2本あるX染色体のうち1本がランダムに「眠らされ」ます。この眠り方が細胞ごとにバラバラなため、ある皮膚細胞ではオレンジ遺伝子が働き、隣の細胞では黒系遺伝子が働く——それが混在してサビ猫・三毛猫の模様が生まれるのです。ランダムに決まるため、兄弟姉妹の三毛猫でも模様がまったく異なります。
「なぜオレンジになるのか」の答えが2025年に初めて判明
O遺伝子の「存在」は1950年代から知られていましたが、「正体(どの遺伝子の、どの変化なのか)」は長年不明のままでした。
2025年5月16日、九州大学の佐々木裕之特別主幹教授らの研究グループが、その謎を解明したと発表しました。 スタンフォード大学グループとほぼ同時期の独立した発見で、論文は *Current Biology* 誌00459-3) に掲載されています。(九州大学 研究成果 2025年5月16日)
噛み砕いて説明すると、こういうことです。
- X染色体上にある特定の遺伝子(学名:ARHGAP36)の内側に、約5,000塩基対分の「欠け」が生じている
- その「欠け」があると、対応するタンパクが過剰に作られる
- 過剰なタンパクが黒色メラニンの合成を邪魔する
- 結果として、オレンジ系の色素が優位になり「茶トラ・オレンジ毛」が発現する
つまり、茶トラ猫は「黒くなれない遺伝子の欠け」によってオレンジになっているのです。この発見は、三毛猫・サビ猫・茶トラの毛色を分子レベルで説明する最初の答えです。
なお、国立遺伝学研究所と東邦大学でも猫の毛色遺伝に関連する研究が継続されており、特に2024〜2025年は三毛猫の遺伝メカニズムに関する学術的な進展が相次ぎました。国内では多くのブリーダーサイト・猫情報サイトがまだこの内容を反映できていない状況のため、この記事が最新情報の参考になれば幸いです。
オス三毛猫が生まれる仕組み
ごくまれに(約30,000匹に1匹とも言われる)オスの三毛猫が生まれます。これは「XXY(クラインフェルター症候群)」という染色体異常によるもので、X染色体を2本持つオスです。オス三毛猫のほとんどは繁殖能力がなく、江戸時代から「縁起物」として珍重されてきたのはそのような稀少性からきています。
ブリーダーが実際にやっている「掛け合わせ計算」——毛色は予測できるか
ブリーダーとして繁殖計画を立てるとき、「どの毛色の親を掛け合わせると、どんな色の子猫が生まれるか」を事前に考えます。
Flowens Cat での実例をいくつかお伝えします。
実例1:ブルー × ブルーのブリティッシュショートヘア
ブルー(グレー)は「色希釈遺伝子」が両方働いた状態(劣性ホモ)です。ブルー同士の掛け合わせでは、子猫に希釈遺伝子が確実に引き継がれます。
- 両親がブルー同士の場合、子猫は全員ブルーになる(希釈遺伝子が両方固定)
- ブルー × ブラックの場合は「黒の希釈遺伝子を1本持つブラック」が50%、ブルーが50%の確率
実際には「うちのブルー同士から黒い子が生まれた」というケースはなく、遺伝子の法則通りの結果が出ています。
実例2:シールポイント × シールポイントのラグドール
ポイントカラーは「温度感受性色素遺伝子」の劣性ホモで生まれます。両親ともポイントの場合、子猫も100%ポイントカラーになります。
しかし、ラグドールにはバイカラーやミテッドのバリエーションがあり、これは白斑遺伝子(S遺伝子)の有無が加わります。シールポイント・バイカラー(S遺伝子あり)× シールポイント・ノンバイカラー(S遺伝子なし)の掛け合わせでは、バイカラーが出る子と出ない子が半々程度になります。
Flowens Cat でラグドールの繁殖をしていると、「バイカラーが欲しい」というご要望と「ポイントだけが好き」というご要望の両方をいただきます。計画的に繁殖していても、白斑の出方は個体差があるため、毎回の産まれた結果に発見があります。
実例3:シルバータビーのサイベリアン
サイベリアンのシルバー系カラーは、タビー遺伝子と根元白化遺伝子が同時に働いた状態です。「根元白化遺伝子が毛の根元を白化」×「タビー遺伝子が縞模様を作る」の組み合わせで、シルバーグレーに黒い縞が入る美しいパターンが生まれます。
シルバー同士を掛け合わせると、根元白化遺伝子の影響でゴールデン系(暖色の地色)の子が生まれることもあります。根元白化遺伝子が働かない場合、ブラウンタビーになります。このあたりは「計算してみてもランダム性がある」という遺伝の面白さです。
ブリーダーとして正直にお伝えすると: 毛色の遺伝計算は「確率の予測」であって「確実な結果の保証」ではありません。同じ親から複数回産まれても、毎回まったく異なる毛色バリエーションが出てくるのが猫の繁殖の醍醐味でもあります。
タビー(縞・斑点・渦巻き)— 縞模様は胎子期に決まっている

タビーは猫の毛色の中で最もポピュラーなパターンで、自然界の保護色としての名残です。タビー遺伝子(A遺伝子)が1つ以上ある状態で縞が現れます。
縞模様の「設計図」は胎子期の皮膚に刻まれる
縞模様の形成について、2021年9月に *Nature Communications* 誌(Kaelin CB et al.) に掲載された研究が重要な発見をしています。
猫の縞模様は、毛が生えてから色づくのではなく、胎子期の皮膚の厚さのパターンによって決まります。
DKK4という遺伝子の発現の強弱が皮膚の厚い部分と薄い部分のパターンを作り、その差が成長後に縞の濃淡として現れます。つまり、生まれる前の段階ですでに縞の「設計図」が皮膚に刻まれているのです。
DKK4遺伝子に変異があると縞が消え、毛の1本1本に微細な色帯が入る「ティックドタビー」になります。アビシニアンが典型例で、サイベリアンのゴールデン系も毛先のバンディングが美しいのはこの理由からです。
タビーには4つのサブタイプがあります。
| タビーの種類 | 模様の特徴 | 代表品種 |
|---|---|---|
| マッカレルタビー | 魚の骨のような細い縦縞(キジトラが典型) | アメリカンショートヘア、ノルウェージャンフォレストキャット |
| クラシックタビー | 渦巻き・大理石状の太い模様 | アメリカンショートヘア、ブリティッシュショートヘア |
| スポッテッドタビー | 縞が崩れて斑点状になった模様 | アメリカンショートヘア |
| ティックドタビー | 体に縞は出ず、毛の1本1本に色帯 | アビシニアン、サイベリアン(ゴールデン系) |
ポイントカラー— なぜ耳と足先だけに色が出るのか

ポイントカラーは、体幹がほぼ白〜クリームで末端(耳・マズル・四肢・尾)だけに色が出るパターンです。 ラグドール・サイベリアン(ネバマスク)・ペルシャなどで見られます。
この仕組みは「温度感受性色素酵素」によるものです。体の末端は体温が低く(33〜35℃程度)、この温度帯でのみ酵素が活性化してメラニンが産生されます。体幹部(38℃前後)では酵素が働かず、色が出ません。
Flowens Cat でいちばん多いお問い合わせのひとつがこれです。「カラーポイントの子猫を迎えたいのですが、将来どんな色になりますか?」——カラーポイントの子猫は生まれた直後はほぼ全身クリームホワイトで、末端の色はほとんど判別できません。シールポイント(濃褐色)でも生後3〜4週間からうっすらと色が出始め、3〜6ヶ月かけて徐々に濃くなります。ブルーポイントやライラックポイントは色が薄いため、最終的な判別は生後3ヶ月以降が目安です。
| ポイントの色名 | 特徴 | 代表品種 |
|---|---|---|
| シールポイント | 濃褐色〜黒に近いポイント | ラグドール、ペルシャ |
| ブルーポイント | グレーのポイント | ラグドール、ブリティッシュショートヘア |
| チョコレートポイント | ミルクチョコレート色のポイント | ラグドール、ペルシャ |
| ライラックポイント | 淡いラベンダー色のポイント | ラグドール(ブルーポイントと見分けにくい) |
| フレームポイント | オレンジ〜赤のポイント | ラグドール |
| クリームポイント | 薄いオレンジのポイント | ラグドール、ペルシャ |
単色(ソリッド)・バイカラー・スモーク系の違い
単色(ソリッド) は、縞や斑点がなく体全体が同一色のパターンです。タビー(縞)遺伝子は優性なので、縞を消すにはタビー遺伝子を劣性ホモにする必要があります。「作るのが難しい毛色」とも言われるゆえんです。
バイカラー は白と1色(またはタビー)の2色構成です。白斑遺伝子が働くことで白い部分が生まれ、白の占める割合によってパターン名が変わります。
| パターン名 | 白の割合 | 特徴 |
|---|---|---|
| ミテッド(グローブ) | 足先・顎など小面積 | ラグドールのミテッドが典型 |
| バイカラー | 約40〜60% | 顔・腹・足に白が入る |
| ハーレクイン | 約75% | 大部分が白で、頭・背中にカラーパッチ |
| ヴァン | 約90% | ほぼ全白、頭頂部と尾だけに色あり |
| 種類 | 毛先の着色度 | 見た目の印象 |
|---|---|---|
| スモーク | 毛の根元1/2が白 | 動いたとき白い下毛が見える神秘的な柄 |
| シェーデッド | 毛先1/4程度が着色 | 全身に柔らかい陰影感 |
| チンチラ | 毛先ごくわずかが着色 | ほぼシルバーホワイト、光沢感が最大 |
| ゴールデン | チンチラに黄みがかった色素が加わる | 暖かみのあるゴールドシルバー |
毛色と性格の関係——研究データが示すこと

「黒猫は人懐っこい」「キジトラはやんちゃ」という話はよく聞きます。傾向として研究データはありますが、個体差のほうがはるかに大きいというのが当キャッテリーの実感です。
Stelow et al.(2015)の1,274匹調査
UC Davis(カリフォルニア大学デービス校)の Stelow EA、Bain MJ、Hart BL らによる研究「The Relationship Between Coat Color and Aggressive Behaviors in the Domestic Cat」(*Journal of Applied Animal Welfare Science*, 2015年)では、1,274匹の飼い主へのアンケートを実施しました。
結果として、トーティシェル・キャリコ(三毛)・黒白・グレー白のメス猫が、「日常生活」「ハンドリング」「獣医受診」の3場面でヒトへの攻撃的な行動が統計的に有意に多いという傾向が報告されました。
同様に、Wilhelmy J et al.(*Journal of Veterinary Behavior*, 13:80-87, 2016年)では14の毛色パターンを対象に調査が行われ、アグーチ系(タビー)は活動性・攻撃性が高い傾向、単色は穏やかな傾向という結果が得られています。
Flowens Cat の実感
ただし、正直にお伝えします。「毛色→性格」の影響は、品種・個体差・育ち方と比べると相対的に小さいです。 1,274匹の統計的傾向と、目の前の1匹の個体は別の話です。
品種の気質のほうが毛色よりも性格への影響が大きいため、「毛色から性格を予測したい」という場合は、まず品種の特性を調べることをお勧めします。茶トラ猫の性格や三毛猫の性格も参考になります。
毛色と目の色の関係——白猫・ポイントカラーに注意すべき理由
猫の目の色も遺伝子で決まり、毛色と連動することがあります。
- 全白遺伝子(W遺伝子)の猫: ブルーアイになりやすく、稀にオッドアイが出る。ブルーアイの白猫は先天性難聴のリスクが報告されている(Robertson et al., 1999)
- ポイントカラーの猫: 温度感受性色素酵素の作用が眼にも及ぶため、ブルーアイが固定される
- キャリコ・トーティ: 目の色は多様で、ゴールド・グリーン・カッパーが多い
- タビー・ソリッド: ゴールド・カッパー・グリーンが一般的
Flowens Cat では白系の子猫については、お迎え前の健康診断で聴覚に関連する確認項目も含めるよう努めています。ホワイト系の猫を検討される方は、ブリーダーにこの点を事前に確認することをお勧めします。
猫の目の色の種類や変化の仕組みについては猫の目の色と遺伝の関係でも詳しく解説しています。
Flowens Cat 取扱9品種 × 毛色バリエーション早見表

当キャッテリーでは関東5・中部3の全国8拠点で9品種を直接繁殖・販売しています。各品種の代表的なカラーバリエーションをまとめました。
| 品種 | 主な毛色・柄 | 代表的なカラー | 公認カラー(目安) |
|---|---|---|---|
| マンチカン | ソリッド・タビー・バイカラー・ポイント | ブラック・ホワイト・タビー各色 | 制限なし(多数) |
| ノルウェージャンフォレストキャット | タビー・ソリッド・バイカラー・トーティ | ブラウンタビー・シルバータビー | 多数(ポイント以外) |
| ラグドール | カラーポイント・ミテッド・バイカラー | シール・ブルー・チョコ・ライラック各ポイント | 6色×3パターン=18種以上 |
| サイベリアン | タビー・ソリッド・ポイント(ネバマスク) | シルバータビー・ゴールデン・ネバマスク | 多数(ポイント含む) |
| ブリティッシュショートヘア | ソリッド・タビー・バイカラー・スモーク・シェーデッド | ブルー・ブラック・シルバータビー・ゴールデン | CFA公認30色以上 |
| ラガマフィン | バイカラー・タビー・ソリッド・ポイント | ホワイト・ブラウンタビー・バイカラー | 制限なし(多数) |
| ペルシャ | ソリッド・シェーデッド・スモーク・キャリコ・タビー | ホワイト・チンチラシルバー・ゴールデン・キャリコ | CFA公認80種以上 |
| エキゾチックショートヘア | ペルシャと同等の多彩なカラー | シルバー・ゴールデン・カラーポイント・ソリッド | ペルシャに準じ多数 |
| アメリカンショートヘア | タビー・ソリッド・バイカラー・スモーク | シルバータビー(定番)・ブラウンタビー | CFA公認80種以上 |
よくある質問
Q. 猫の毛色は何種類ありますか?
公認カラーとしては品種ごとに数十〜100種類以上が存在し、猫全体では理論値で200種類を超えるとも言われています。ブリティッシュショートヘアだけでCFA公認30色以上、ペルシャやアメリカンショートヘアは80種類以上に及びます。遺伝子の組み合わせとしては数百通りになりますが、品種標準として公認されているカラーは品種団体(CFA・TICA等)によって異なります。
---
Q. 三毛猫はなぜほぼメスなのですか?
オレンジ(茶トラ)を作る遺伝子がX染色体の上に乗っているためです。メス猫はX染色体を2本持つため、1本にオレンジ遺伝子・もう1本に黒系遺伝子を持つことができます。体内でX染色体が細胞ごとにランダムに「眠らされる」ことで、オレンジと黒が混在したサビ・三毛の模様が生まれます。オス猫はX染色体を1本しか持てないため、通常はオレンジか黒かのどちらかにしかなれません。
---
Q. オス猫とメス猫で出やすい毛色は違いますか?
はい、違います。三毛猫・サビ猫はほぼメス(約99.9%以上)です。逆に、レッド(茶トラ)はオス猫に出やすい色です。2025年5月に九州大学とスタンフォード大学が独立して解明した研究によると、茶トラを作るのはX染色体上の特定遺伝子(ARHGAP36)内の約5,000塩基対の欠失で、これが黒色メラニンの合成を抑制してオレンジ毛を生み出します。
---
Q. 毛色と性格の関係はありますか?
傾向として、1,274匹を調査したStelow et al.(2015年)の研究で、トーティ・キャリコ・黒白・グレー白のメス猫に攻撃的な行動が統計的に多い傾向が報告されています。ただし、個体差は非常に大きく、品種の気質・育ち方のほうが毛色よりも性格への影響は大きいと当キャッテリーでは実感しています。毛色で性格を予測するより、品種の特性を調べることをお勧めします。
---
Q. カラーポイントの子猫はいつ色が出てきますか?
生まれた直後はほぼ全身クリームホワイトで色はわかりません。シールポイントなら生後3〜4週から薄く色が出始め、3〜6ヶ月で安定します。ブルーポイントやライラックポイントは色が薄いため、判別は生後3ヶ月以降が目安です。ブルーポイントとライラックポイントは成猫になっても見分けが難しいことがあります。
---
Q. スモーク・チンチラ・シェーデッドの違いは何ですか?
どれも根元白化遺伝子が作用して毛の根元が白化したカラーです。違いは毛先に残る着色の量です。スモークは毛の約半分が白く動いたとき白い下毛が見える神秘的な見た目、シェーデッドは毛先1/4程度に色が残る柔らかい陰影、チンチラは毛先ごくわずかが着色してほぼ銀白色に見えます。光の当たり方で表情が変わる、奥行きのあるカラーです。
---
Q. 同じ親から毎回同じ毛色の子猫が生まれますか?
いいえ、同じ親からでも毎回異なる毛色バリエーションが生まれます。毛色は確率的に決まるため、遺伝子計算で「○○%の確率で出る」と予測できても、実際にどの子猫がどの毛色になるかは毎回異なります。Flowens Cat でも、同じ親の組み合わせから複数回繁殖すると、毎回新しい発見があります。
まとめ — 毛色から猫との縁を見つけよう
猫の毛色は単なる「見た目の好み」ではなく、遺伝子の組み合わせと進化のドラマが詰まったものです。
2025年5月、60年以上謎だったオレンジ毛を作る遺伝子の正体が、X染色体上の特定遺伝子(ARHGAP36)内の欠失であると解明されました。「なぜ茶トラはオスが多いのか」「なぜ三毛猫はほぼメスなのか」の分子レベルの答えが初めて明らかになったのです。タビーの縞が胎子期の皮膚構造から生まれるという2021年の発見も含め、猫の毛色研究は近年急速に進んでいます。
Flowens Cat では、マンチカン・ラグドール・ブリティッシュショートヘアをはじめとする9品種を全国8拠点で取り扱い、多彩なカラーバリエーションの子猫をご紹介しています。遺伝子検査・健康診断済みの子猫をお探しの方は、まず子猫一覧でお好みの毛色・品種をご確認ください。
毛色シリーズの各記事もあわせてご覧いただくと理解が深まります。
---
出典・参考資料
- Kaelin CB et al. (2021) "Specifying and sustaining pigmentation patterns in domestic and wild cats." *Nature Communications* 12, 5009. https://www.nature.com/articles/s41467-021-25348-2
- 九州大学 研究成果 2025年5月16日「O遺伝子(ARHGAP36欠失)の解明」https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1261/
- Eizirik E, David VA et al. (2025) "Identification of the feline X-linked orange locus." *Current Biology* https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(25)00459-300459-3)
- Stelow EA, Bain MJ, Hart BL (2015) "The Relationship Between Coat Color and Aggressive Behaviors in the Domestic Cat." *Journal of Applied Animal Welfare Science* Vol.19(1). https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/10888705.2015.1081820
- Wilhelmy J et al. (2016) "Behavioral associations with coat color in domestic cats." *Journal of Veterinary Behavior* 13:80-87. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26878534/









