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募集中の子猫を見る ›目次ひらく(全13章)
- 01サビ猫(トーティ)とは? べっ甲猫との違い・呼び方の整理
- 02サビ猫の種類——黒サビ・赤サビ・パステルサビ(灰サビ)・キジサビ・サビ白は何が違う?
- 03サビ猫の性格まとめ【早見表】
- 04「気が強い」と言われる根拠を正確に読む——1,274匹調査の本当のカテゴリ
- 05サビ猫はなぜほぼメスなのか? 「約3万分の1」の根拠を調べた
- 06オレンジ色はなぜ生まれる? 2025年に判明した遺伝子の正体を要点だけ
- 07「オスが珍しい」だけじゃない——柄そのものの珍しさを国勢調査データで見る
- 08純血種にもサビ猫はいる?——CFA公式基準で確認した7品種
- 09海外の「マネーキャット」伝承——ケルトの言い伝えと招き猫との違い
- 10「サビ猫は不人気」は本当か
- 11よくある質問
- 12まとめ——サビ猫は「柄」の珍しさで語るべき猫
- 13出典
この記事の要点:サビ猫の呼び名は、黒と赤の混ざり方・色の濃さ・黒い部分の縞・白の量で整理できます。パステルサビは灰サビとも呼ばれる薄いサビです。サビ猫のオスは「約3万分の1」とよく言われるほど珍しく、ほとんどが子どもを作れません。「サビ猫と三毛猫って何が違うの?」「べっ甲猫って同じ猫のこと?」「パステルサビって何?」——サビ猫のことを調べると、こうした疑問と、いろいろな数字が一緒に目に入ります。
ネットでは、サビ猫のオスの確率が「3万分の1」「10万分の1」「1%以下」とサイトによってバラバラで、性格も「気が強い」「幸運の猫」と言い切る記事が多く見られます。1%は100分の1なので、3万分の1とは約300倍もちがいます。
Flowens Catの子猫ページでは、サビ系の毛色を「ブルークリーム」「パッチドタビー」のような英語の名前で載せていますが、探す飼い主さんは「パステルサビ」「キジサビ」と検索することが多いようです。この記事ではまず、日本の呼び名と英語の色名を対応させて整理します。そのうえで、オスを扱った論文や猫の国勢調査も読んで、どこまでが確かな話で、どこからがうわさなのかを整理します。
サビ猫(トーティ)とは? べっ甲猫との違い・呼び方の整理

サビ猫とは、黒とオレンジ(赤褐色)が細かく混ざり合った毛色パターンの通称です。英語では「トーティシェル(tortoiseshell、略してtortie)」と呼ばれ、鼈甲細工の黒とあめ色に似ていることから、日本語では「べっ甲猫(べっこう猫)」ともほぼ同じ意味で使われます。三毛猫の性格の記事でも、サビ猫・べっ甲猫・トーティシェルは同義語として整理しています。
品種ではなく毛色パターンの名前である点は、三毛猫(キャリコ)と共通しています。違いは白の有無です。
| 柄の名前 | 白の入り方 |
|---|---|
| サビ猫(トーティシェル) | 白がほとんどない。黒とオレンジが細かく混在する |
| 三毛猫(キャリコ) | 白が加わり、黒・オレンジ・白が大きなパッチに分かれる |
サビ猫の種類——黒サビ・赤サビ・パステルサビ(灰サビ)・キジサビ・サビ白は何が違う?

先に結論です。サビ猫の呼び名は、①黒と赤の混ざり方、②色の濃さ、③黒い部分の縞、④白の量、の組み合わせで決まります。
- 黒サビ・赤サビ(べっ甲):黒と赤茶が混ざる基本のサビ。どちらが目立つかの差で、別の種類ではありません
- 灰サビ・パステルサビ(薄サビ):黒が青灰色に、赤茶がクリーム色に薄まったサビ。英語の色名はブルークリーム
- キジサビ(サビキジ。麦わらと呼ばれることも):黒い部分に縞が入ったサビ。英語ではトービー(torbie)
- サビ白:サビに白が加わったもの。白が増えて色が塊になると三毛(キャリコ)
「パステルサビ」「麦わら」は日本の通称です。「パステル」という言葉は、アメリカの猫の団体の品種の基準(7品種)にも、毛色の定義書にも出てきません(2026年10月3日に確認)。
呼び名早見表——日本の呼び名と海外の呼び名を並べる
見出しの2つは、血統書を出すアメリカの猫の団体です。英語の色名は団体によって少しちがうので、真ん中の列に1つめ、右の列に2つめの団体の呼び方を並べました。
| 日本語の呼び名 | 英語の色名 | もう一つの団体の色名 |
|---|---|---|
| サビ(黒サビ・赤サビ・べっ甲) | Tortoiseshell | Black Tortie |
| 灰サビ・パステルサビ・薄サビ | Blue-Cream | Blue Tortie |
| キジサビ・サビキジ | Patched Tabby(torbie) | Torbie(Brown Torbieなど) |
| サビ白 | Tortoiseshell and White | Black Tortie & White |
| 三毛(キャリコ) | Calico | Black Tortie & White(通称calico) |
| パステル三毛 | Dilute Calico | Blue Tortie with White |
- 「ブルークリーム」「パッチドタビー」は、ブリティッシュショートヘアの品種の基準にも、認められた色としてはっきり書かれています
- 右の列の団体では、「キャリコ」は正式な色名ではなく通称です(毛色の解説ページ)。真ん中の列の団体は品種ごとに基準が別で、サイベリアンではキャリコとトーティシェルアンドホワイトを別の色に、ノルウェージャンフォレストキャットでは1つの区分にしています
黒サビと赤サビは、種類ではなく混ざり方の差
メスの猫はX染色体を2本持っていて、お母さんのおなかの中にいるころに、体の場所ごとにどちらか1本が働かなくなります。どちらが働くかはたまたま決まるので、黒と赤の量も1匹ずつちがいます(毛色の定義書)。ほとんどのサビは黒が多めで、赤のほうが多いサビはまれです(昔は「リバーストーティ」と呼ばれていました)。
品種の基準にも決まった型はありません。ラガマフィンの基準は、もとの色と赤・クリームのどちらが多くても優劣を付けず、ブリティッシュショートヘアの基準は、細かく混ざって塊にならないのを理想としています。よく「黒サビと赤サビの2種類がある」と言われますが、どちらも同じサビで、「いま見てどちらが目立つか」を表す呼び名と考えるのがいちばん自然です。
パステルサビ(灰サビ)は、黒が青灰に、赤がクリームに薄まったサビ
色は、すんだ青灰色に、クリーム色がはっきりした斑で入ったり、細かく混ざったりします。色が薄まるのは、MLPHという遺伝子の設計図から1文字ぶんが抜けている(1塩基の欠失)ためで、この変化を両親から1つずつ、2つそろって受け継いだときにだけ現れます(Ishidaら, *Genomics*, 2006)。「パステルサビ」は、保護猫の里親募集や動物愛護団体の分類で使われる呼び名です。
まちがえやすい点がひとつあります。黒サビの赤い部分がクリーム色っぽく見えても、薄まったのではありません。赤い部分に残るうすい縞(タビー)模様のせいで、実際は「少し薄いオレンジ」です(定義書 73.4.2)。
パステルサビは珍しいのか。 参考に、保護猫の里親募集サイト「ペットのおうち」の毛柄カテゴリを2026年10月3日に見ると、サビ1,604件・黒サビ396件・キジサビ272件・パステルサビ96件・グレーサビ69件、三毛7,896件でした(パステルサビのカテゴリほか)。ただし、投稿した人が選ぶカテゴリの累計(里親が決まった子・募集を終えた子や、再掲載も含みます)で、単に「サビ」で登録する投稿がいちばん多くなります。頭数の多い少ないを表す数字ではないので、ここから「珍しい」とまでは言えません。
キジサビ(サビキジ・麦わら)は、黒い部分に縞があるサビ
キジサビは、サビの黒い部分にタビー(縞)が入ったものです。英語ではトービー(トーティシェルとタビーを合わせた言葉)、パッチドタビーとも呼ばれます。
見分け方は、赤・クリームの部分の縞は気にせず、黒い部分が無地か縞かだけを見ることです(毛色の解説)。赤い色は縞を隠せないので、無地の猫でも、赤い部分にはたいてい縞が出るからです(赤い毛色の資料「Color Me Red!」)。迷うときは、おなか・足・あご・鼻先・目のまわりを見ます。トービーは地の色が薄い茶色で、顔やあごにうすい縞があり、サビは濃い無地です(定義書 73.4.1)。
「麦わら」の指す範囲は、人によってちがいます。日本動物愛護協会の毛色の分類では「ムギワラ(キジトラと茶トラ入り混じり)」としてサビ系の1つに入っていますが、縞のあるサビや薄い色のサビを麦わらと呼ぶこともあり、呼び方はそろっていません(見分け方は麦わら猫の記事にまとめました)。「ブレイズ」も、日本の記事では顔が左右で黒と茶に分かれる柄、毛色の定義書では鼻すじに通る赤系の筋と、指すものがちがいます。
サビ白とは? 三毛との境目は、団体によって違う
サビ白と三毛(キャリコ)のどこで線を引くかは、どの分類で見るかでちがいます。表は、前の節の日本の毛色の分類と、アメリカの猫の団体の品種の基準・毛色の定義書をもとにまとめました。
| 分類 | サビと三毛の線の引き方 |
|---|---|
| 日本の保護猫の毛色の分類(不妊去勢手術の助成申請用の独自の分類) | 白が混じっていても足が白くなければサビに含める。三毛は黒・茶・白の3色(またはグレー・うす茶・白の3色) |
| ブリティッシュショートヘアの品種の基準 | トーティシェルは、どこかに白があると失格。キャリコは白地に黒と赤の斑で、足・脚・下腹・胸・口のまわりが白いことが、最低限の理想 |
| 毛色の定義書 | 白い斑があれば、すべて「ウィズホワイト(白入り)」。白が多いほど、色の斑は少なく大きくなる(定義書 76.5) |
親の毛色から見る、サビの子が生まれる組み合わせ
サビの娘が生まれるのは、赤(オレンジ)の遺伝子をもつX染色体と、黒系のX染色体を1本ずつ受け継いだときです。前に紹介した赤い毛色の資料「Color Me Red!」の表のうち、サビの娘が生まれる組み合わせを日本語にしました(「黒」は黒・青・チョコなど黒系すべて、「赤」は赤とクリーム。「サビ」にはキジサビも含みます)。
| 父 × 母 | 生まれる子 |
|---|---|
| 赤 × サビ | 赤のオス・黒のオス・赤のメス・サビのメス |
| 赤 × 黒 | 黒のオス・サビのメス |
| 黒 × 赤 | 赤のオス・サビのメス |
| 黒 × サビ | 赤のオス・黒のオス・サビのメス・黒のメス |
当社の子猫ページでは、サビ猫をこう書いています
Flowens Catの子猫ページの毛色欄の表記(2026年10月3日時点の掲載情報)を、サビ猫の呼び名に読み替えると、次のようになります。
| 当社の子猫ページの毛色表記 | サビ猫の呼び名では |
|---|---|
| トーティ/トーティーシェル | サビ(白なし) |
| ブルークリーム | 灰サビ・パステルサビ(白なし) |
| ブラウンパッチドタビー/ブルーパッチドタビー | キジサビ・サビキジ(ブラウンはふつうの色、ブルーは薄い色の縞サビ。麦わらと呼ばれることもあります) |
| シルバーパッチドタビー | 縞サビに銀が加わった色(日本語の通称ではなく、表記どおりの名前でご案内) |
| トーティーシェル&ホワイト/ブルークリーム&ホワイト/パッチドタビー&ホワイト | サビ白(白が少ない)/パステルサビ白/縞のあるサビ白 |
| キャリコ/ダイリュートキャリコ | 三毛/パステル三毛(白が多い) |
サビ猫の性格まとめ【早見表】

「サビ猫は賢い」「気まぐれ」「甘えん坊」——検索するとこうした言葉がよく出てきますが、多くはもとがはっきりしないうわさです。
| よく言われる性格 | 根拠の強さ |
|---|---|
| 賢い | 弱い(もとがはっきりしないうわさ) |
| 気まぐれ・マイペース | 弱い(個体差が大きい) |
| 甘えん坊 | 弱い(品種・個体差の影響が大きい) |
| 気が強い・独立心が強い | 中程度(次章で紹介する研究に近い言及がある) |
「気が強い」と言われる根拠を正確に読む——1,274匹調査の本当のカテゴリ
サビ猫が「気が強い」「攻撃的」と言われるときによく持ち出されるのが、2016年にアメリカで発表された飼い主アンケートの研究です。
実際のカテゴリは「サビ猫だけ」ではない
カリフォルニア大学デービス校のStelowらの研究(Journal of Applied Animal Welfare Science)は、1,432件の回答のうち1,274件を分析した飼い主アンケートです。
サビ猫が入っているのは、トーティシェル(サビ)・キャリコ(三毛)・トービー(縞の入ったサビ)をまとめて数えた区分です(内訳は研究を紹介した解説記事にも書かれています)。論文はこれらを、茶の色を決める遺伝子がX染色体にある「茶の入るメス」としてひとまとめにし、人への攻撃的な行動の報告が、ほかの毛色を合わせた全体より多かったとしています。灰白と、もしかすると黒白も報告が多めでしたが、これはサビ猫とは別の区分です。
つまり、「サビ猫だけ」を数えたデータではなく、キャリコ・トービーと合わせた数字です。「サビ猫は気が強いと研究で証明されている」と言い切るのは、正しくありません。
研究自体が明記する限界
この研究を紹介したアメリカの猫の健康の財団、EveryCat Health Foundation(旧Winn Feline Foundation)は、差は統計のうえでは偶然とは言えないものの、ほかの毛色との点数の差は小さく、飼い主ごとの点の付け方のちがいで説明できるかもしれない、と書いています。飼い主さんが自分で答えたアンケートなので、「サビ猫は気が強いはず」という思いこみが答えに入った可能性もあります。
わかったのは毛色と、報告された行動との「つながり」であって、毛色が行動の原因だと示したものではありません。柄だけで性格を決めつけないほうが安全です。
サビ猫はなぜほぼメスなのか? 「約3万分の1」の根拠を調べた

サビ柄の猫はほぼメスで、オスは非常に稀です。仕組みは次のとおりです。
- 黒とオレンジを切り替える遺伝子はX染色体の上に乗っている
- メス猫はX染色体を2本(XX)持つため、黒とオレンジを1匹の体に混在させられる
- オス猫は基本的にX染色体が1本(XY)しかないため、黒かオレンジのどちらか一方にしかなれない
- 例外として、X染色体を2本持つXXYのオスや、XXの細胞とXYの細胞がまざったキメラのオスがいる。XXYのオスは、精巣(精子をつくるところ)がうまく働かず、ほとんどの場合子どもを作れない
X染色体の不活性化や2025年の最新研究の詳しい解説は、三毛猫の性格の記事で扱っています。ここではオスの確率にフォーカスします。
「3万分の1」の出どころを探したが、見つからなかった
サビ猫のオスは「約3万分の1」とよく言われるほど、とても珍しい猫です。ほかにも「10万分の1」「1%以下」と、サイトによって数字はバラバラです。
サビ猫のオスを正面から扱った論文に、Centerwall & Benirschke(1975年)の研究があります(PubMed)。題名に「サビと三毛のオス猫」と入っている研究ですが、集まった25頭のオス猫の染色体を調べたもので、「何匹に1匹生まれるか」を数えた研究ではありません。 獣医向けのMerck獣医マニュアルも「ごく稀に」と書くだけで、猫の性の発達の病気をまとめた2022年のレビュー(PMC9052703)にも、何匹に1匹という数字は出てきません。
うちも以前は、ほかのサイトと同じことをしていました。この記事は前に、この論文がサビ猫を名指しして出した数字として3万分の1を紹介していましたが、論文を読み直すと、生まれる割合は書かれていませんでした。訂正します。
では、確実に言えることは何か
| 確認できた事実 | 出典 |
|---|---|
| 三毛・サビのオス猫25頭を調べると、16頭がXXY(人のクラインフェルター症候群と同じ染色体の組み合わせ)で、そのほとんどが子どもを作れなかった。精巣を顕微鏡で見たようすも、人のXXYと同じだった | Centerwall & Benirschke, 1975 |
| ただし、XXの細胞とXYの細胞がまざったキメラのオスでは、子どもができた例もある(2026年の症例報告) | Szczerbal et al., 2026 |
オレンジ色はなぜ生まれる? 2025年に判明した遺伝子の正体を要点だけ
「なぜオレンジ色が出るのか」という遺伝子のしくみの謎は、2025年5月に初めてわかりました。
- 九州大学を中心とする研究チーム(Tohら)とスタンフォード大学のチーム(Kaelinら)が、それぞれ別々に、オレンジ色を作る遺伝子の正体をつきとめた(どちらも*Current Biology*、2025年5月15日にオンライン公開)
- X染色体にある「ARHGAP36」という遺伝子の、たんぱく質の設計図にならない部分(イントロン)から、約5キロ塩基(設計図の文字にして約5,000文字ぶん。Tohらは5.1kb、Kaelinらは5kb)が抜けていた。そのせいで、色をつくる細胞の中でこの遺伝子が働くようになり、赤っぽい色素(フェオメラニン)が多くなる
- Tohらは、飼い猫のオレンジ色はすべて、この1つの「抜け」から始まったと考えられると報告している
オレンジの遺伝子が「X染色体に乗っている」ことは半世紀以上前から知られていましたが、遺伝子のしくみまでわかったのはごく最近です。詳しい経緯は猫の毛色と遺伝のしくみの記事で解説しています。
「オスが珍しい」だけじゃない——柄そのものの珍しさを国勢調査データで見る

サビ猫の「珍しさ」というと、ほとんどの記事が「オスが珍しい」で終わります。ここでは、サビ・べっ甲という柄そのものがどれくらいいるのかを、数字で見てみます。
アイリスペットどっとコムの「猫の国勢調査2019」(会員が飼育する猫1,702匹が対象)は、Cat Press経由で確認できる柄別の頭数データです。ハチワレ猫の性格の記事でも同じ調査の上位を紹介しています。
| 順位 | 柄 | 頭数 |
|---|---|---|
| 1位 | キジトラ | 197匹 |
| 2位 | 黒白(ハチワレ含むバイカラー) | 187匹 |
| 3位 | 茶トラ | 176匹 |
| 4位 | 黒 | 164匹 |
| 6位 | 三毛(キャリコ) | 117匹 |
| 圏外 | サビ・べっ甲 | 上位10柄にランクインなし |
純血種にもサビ猫はいる?——CFA公式基準で確認した7品種
結論から言うと、サビ柄はこの団体が認めるいくつもの純血種で、正式な色として認められています。
当キャッテリーが取り扱う9品種のうち、この団体に品種の基準のページがある7品種の基準書を、2026年10月3日に直接読みました。基準書は認める色を決めているだけで、サビ柄がどれくらい生まれやすいかは書いていません。残るマンチカンとミヌエットは、この団体に基準のページがないので、もう一つのアメリカの猫の団体の品種のページで見ました。
| 品種 | 基準書・品種のページに書かれている内容 |
|---|---|
| ラグドール | 体ではなくポイント(顔・耳・足・しっぽ)の色として、シールトーティポイント・チョコレートトーティポイント・ブルークリームポイントなどがある。年を重ねた猫では、体にもまだらが出ることがある |
| エキゾチックショートヘア | トーティシェルは「黒に、赤の斑か、やわらかく混ざった赤」。ブルークリーム・キャリコ・いろいろな色のパッチドタビーもある |
| アメリカンショートヘア | トーティシェル・ブルークリーム・キャリコ(赤やクリームの斑に縞があってもよい)・パッチドタビー(トービー)がある |
| ノルウェージャンフォレストキャット | トーティシェル・ブルークリーム・アンバートーティシェル(子猫のうちは黒と赤に見え、育つと黒い部分が琥珀色=アンバーになる)・キャリコ/トーティシェルアンドホワイト・パッチドタビーがある |
| サイベリアン | トーティシェル・ブルークリーム・キャリコ・ダイリュートキャリコ・トーティシェルアンドホワイト・パッチドタビーなどがある |
| ブリティッシュショートヘア | トーティシェル(細かく混ざり、塊にしない。白はどこにあっても失格)・ブルークリーム・キャリコ・ダイリュートキャリコ・ブラウンパッチドタビーなどがある |
| ラガマフィン | トーティシェル(黒に赤)・ブルークリーム(青にクリーム)・チョコレート・シナモントーティシェルなどがある |
| マンチカン(基準のページなし) | 色はいろいろ。2013年にギネスが「世界一背の低い猫」と認めたリリパットは、トーティシェルのマンチカン |
| ミヌエット(基準のページなし) | どんな色・柄の猫もいる |
海外の「マネーキャット」伝承——ケルトの言い伝えと招き猫との違い

日本で「幸運の猫」といえば招き猫(三毛猫がモデル)で、由来は三毛猫の性格の記事で扱っています。ここではサビ猫固有の海外の言い伝えを紹介します。
- 北米の「マネーキャット(money cat)」:黒とオレンジが入り混じった宝石のような毛色が、繁栄や富と結びつけて語られてきたことから、サビ猫はこう呼ばれることがあります(enviroliteracy.org)
- 古代ケルトの伝承:サビ猫は「幸運・繁栄、そして時に未来を垣間見せる力を持つ神秘的な生き物」と考えられていたと伝えられています(tortiecatz.beehiiv.com)
どちらも歴史の本や研究ではなく、海外のペット向けのサイトが紹介している言い伝えです。「そう語り継がれている」と楽しむのがよく、日本の招き猫の言い伝えとは、由来も背景も別物です。
「サビ猫は不人気」は本当か
「サビ猫は知られていなくて不人気」という記事や、「知らないと答えた人が77%」という数字を見かけることがあります。この77%は、クラウドソーシング(ネットで人を集めて仕事を頼むしくみ)で答えを集めた調査と言われていますが、どこの調査かがはっきりしないので、この記事では使いません。数字で言えるのは、次の2つです。
- サビ・べっ甲という柄は、猫の国勢調査2019(会員の猫1,702匹)で上位10柄に入っていません。ただし「多くはない」ことを示すだけで、「人気がない」ことの証拠にはなりません
- 里親募集サイトの件数(前の「パステルサビは珍しいのか」で紹介したもの)は、保護猫の登録数であって、人気を測る数字ではありません
どちらの数字からも、「不人気」とは言い切れません。
健康面はほかの柄と同じ基準で管理
当キャッテリーでは、親猫の遺伝子検査として、多発性嚢胞腎(腎臓に水のたまった袋がたくさんできる病気)・肥大型心筋症(心臓の筋肉が厚くなる病気。2種)・ピルビン酸キナーゼ欠損症(赤血球がこわれやすくなる病気)を検査しています(品種によっては追加検査あり。子猫個体の遺伝子検査は行っていません)。子猫には、獣医師による視診・触診・聴診を伴う署名入りの健康診断書を1頭ずつ発行しています。柄の希少性だけでなく、健康管理の実施状況もあわせて確認することをおすすめします。
よくある質問
Q. サビ猫と三毛猫・べっ甲猫は何が違いますか?
サビ猫とべっ甲猫は、ほぼ同じ意味で使われます。どちらも英語の「トーティシェル」にあたり、白がほとんどなく、黒とオレンジが細かく混在する柄です。三毛猫(キャリコ)との違いは白の有無で、白が加わって黒・オレンジ・白が大きなパッチに分かれると三毛猫になります。
Q. パステルサビ猫は珍しいですか?
珍しいとまでは言えません。参考に、里親募集サイトの毛柄カテゴリでは、パステルサビ96件・サビ1,604件でした(2026年10月3日時点の累計)。投稿した人が選んだカテゴリの数で、頭数の多い少ないを表す数字ではありません。「パステルサビ」「灰サビ」は日本の通称で、英語の色名はブルークリーム、またはブルートーティです。
Q. 黒サビと赤サビの違いは何ですか?
種類の違いではなく、黒と赤のどちらが目立つかの違いです。黒と赤の量は、お母さんのおなかの中にいるころに、2本あるX染色体のどちらが働くかで、たまたま決まります。
Q. キジサビと麦わら猫は同じですか?
同じ意味で使われることもありますが、呼び方はそろっていません。キジサビは、サビの黒い部分に縞がある猫(英語ではトービー)です。麦わらは、日本の保護猫の毛色の分類では「キジトラと茶トラ入り混じり」で、人によって指す範囲がちがいます。サビ・キジトラ・縞三毛との見分け方は、麦わら猫の記事で詳しく書いています。
Q. サビ猫の親の柄は何ですか?
母猫がサビとは限りません。父猫が赤・クリームなら、娘は全員サビか赤・クリームになります。父猫が黒で母猫が赤の組み合わせからも、サビの娘が生まれます(表は記事内の「親の毛色から見る」の章)。
Q. サビ猫のオスはどれくらい珍しいですか?
「約30,000匹に1匹」とよく言われるほど、とても珍しい猫です。サビ猫のオスを扱った1975年の研究(Centerwall & Benirschke)は、25頭の染色体を調べたもので、何匹に1匹かを数えた研究ではありませんが、オスのサビ猫はほとんどが子どもを作れないことがわかっています。
Q. サビ猫は気が強い・怖い性格というのは本当ですか?
言い切れる根拠はありません。2016年の1,274匹調査では、サビ猫だけではなく、キャリコ(三毛)・トービーと合わせた「茶の入るメス」の区分で、人への攻撃的な行動の報告が多い傾向が出ています。ただし研究自体が、インターネットでの飼い主アンケートという限界を認めていて、毛色が原因だと示したものではありません。
Q. サビ猫は不人気って本当ですか?
「77%が知らない」という数字は、どこの調査かがはっきりしないので、この記事では使っていません。数字で言えるのは、猫の国勢調査2019でサビ・べっ甲が上位10柄に入っていない(多くはない)ことまでで、「人気がない」ことの証拠にはなりません。
まとめ——サビ猫は「柄」の珍しさで語るべき猫
- サビ猫=べっ甲猫=トーティシェル:白がほとんどない黒×オレンジの混在柄。三毛猫(キャリコ)とは白の有無で区別される
- 種類(呼び名):黒サビと赤サビは混ざり方の差。パステルサビ(灰サビ)は薄まったサビ、キジサビは黒い部分に縞があるサビ、サビ白は白が加わったサビ。「パステルサビ」「麦わら」は日本の通称で、英語の色名にはない
- 性格:「気が強い」の根拠は、いくつかの毛色を合わせた区分の研究で、言い切ることはできない
- オスの確率:「約30,000匹に1匹」とよく言われるほど、とても珍しい。オスのサビ猫は、ほとんどが子どもを作れない
- 柄自体の珍しさ:猫の国勢調査2019で、三毛(6位・117匹)ですら上位10柄の下位、サビ・べっ甲は圏外
- 純血種のサビ猫:取扱9品種のうち7品種で、品種の基準にサビ系の色がある。マンチカン・ミヌエットも色や柄の種類がとても多い品種
サビ系の毛色の子猫との出会いをお探しの飼い主さんは、品種の一覧で気になる品種を選び、子猫一覧の各子猫のページで毛色の表記(トーティ・ブルークリーム・パッチドタビーなど)をご確認ください。個体ごとの柄は毎回異なります。ご不明な点はよくある質問またはお問い合わせフォームからどうぞ。
Flowens Catの子猫一覧では、毛色で絞り込めます。サビ(トーティ)の子は「キャリコ・トーティ」に入ります。パステルサビにあたるブルークリームの子と、三毛(キャリコ)の子も同じです。縞の入ったキジサビ(パッチドタビー)の子は、元の色のほう(ブラウンなど)に入ります。いまご案内できるキャリコ・トーティの子猫を見る
毛色シリーズの関連記事もあわせてご覧ください。
出典
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- The Cat Fanciers' Association. Breed Standard(品種標準)。British Shorthair https://cfa.org/breed/british-shorthair/ / American Shorthair https://cfa.org/breed/american-shorthair/ / Norwegian Forest Cat https://cfa.org/breed/norwegian-forest-cat/ / Siberian https://cfa.org/breed/siberian/ / Exotic https://cfa.org/breed/exotic/ / RagaMuffin https://cfa.org/breed/ragamuffin/ / Ragdoll https://cfa.org/breed/ragdoll/
- 公益財団法人 日本動物愛護協会「毛色の分類(不妊去勢手術助成事業 申請用)」. https://jspca.or.jp/localcat_coat_color_list.html
- ペットのおうち「パステルサビの保護猫里親募集情報」(2026年10月3日閲覧。サビ・黒サビ・キジサビ・三毛などの毛柄カテゴリも同日閲覧). https://www.pet-home.jp/cats/cg_5145/
- アイリスペットどっとコム「猫の国勢調査2019」(Cat Press経由で確認). https://cat-press.com/survey/cat-census-2019
- Is a Tortoiseshell Cat a Money Cat? enviroliteracy.org. https://enviroliteracy.org/animals/is-a-tortoiseshell-cat-a-money-cat/
- Tortoiseshell Cat Folklore. tortiecatz.beehiiv.com. https://tortiecatz.beehiiv.com/p/tortoiseshell-cat-folklore
※ 記事内の画像はイメージです。実際にお迎えいただける子猫の写真は子猫一覧でご覧いただけます。








