グレー猫の種類まとめ:「グレーの猫」と、猫の世界で言う「ブルー」は同じ色を指します。原因はメラノフィリン遺伝子(MLPH)のたった1塩基の欠失で、2006年に分子レベルで特定済みです。一方、縞模様のサバトラは無地グレーとは別の遺伝子が関わっている可能性があり、科学的にもまだ完全には解明されていません。「グレーの猫を飼いたい」と検索してこの記事にたどり着いた方に、まずお伝えしたいことがあります。猫の品種団体やブリーダーの世界では、この色を「グレー」ではなく「ブルー」と呼びます。ロシアンブルーの「ブルー」、ブリティッシュショートヘアの「ブリティッシュブルー」の「ブルー」です。
見た目はどう見てもグレーなのに、なぜ「ブルー」と呼ぶのか。実はこれ、猫の毛色が「薄まる(希釈される)」現象そのものを指す業界用語だからです。Flowens Catが関東・中部の全国8拠点で、常時140頭前後(2026年7月時点)の子猫たちと日々向き合う中でも、「グレーの子が欲しいのですが、ブルーとは違うんですか?」というご質問を度々いただきます。
この記事では、グレー(ブルー)が生まれる遺伝子の仕組み、Flowens Catで楽しめる4品種、「ブルー御三家」の実態、雑種にグレーが少ない理由、そして「グレー猫は穏やか」という通説の真偽までを、ブリーダーの視点と学術データの両方から整理します。
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グレーの猫と「ブルー」は同じ色――呼び方が分かれる理由

結論から言うと、「グレーの猫」と「ブルーの猫」は同じ被毛の色を指しており、優劣はありません。違いは、誰がどちらの言葉を使う習慣を持っているかだけです。
一般の飼い主・検索者は、見たままの色をそのまま「グレー」と呼びます。一方、CFA・TICAといった猫の品種団体や、ブリーダーの業界では「ブルー」という呼称が公式に使われています。これは色の見え方の話ではなく、「色が薄まる(希釈される)」という現象そのものを指す専門用語だからです。次の章で解説する通り、黒い毛が薄まるとグレー(ブルー)に、赤い毛が薄まるとクリームになります。この「薄まる」という現象を英語で "dilute(ダイリュート)" と呼び、黒が薄まった色を伝統的に「ブルー」と表現してきた歴史があります。
検索するときは「グレー」でも「ブルー」でもほぼ同じ結果にたどり着けますが、品種の資料やブリーダーとの会話では「ブルー」という言葉が使われることを知っておくと、情報収集がスムーズになります。
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猫がグレー(ブルー)になる仕組み――遺伝子レベルで何が起きているのか

結論:グレー(ブルー)の毛色は、メラニン色素を薄める「ダイリュート遺伝子」を両親から1つずつ受け継いだときに生まれます。2006年、この遺伝子の正体が「MLPH(メラノフィリン)遺伝子」であることが分子レベルで特定されました。
Flowens Catの毛色遺伝の総論記事「猫の毛色と遺伝のしくみ」では、この遺伝子を「色希釈遺伝子(D)」として一行で紹介しています。この記事では、グレー(ブルー)という色だけにフォーカスして、その正体をもう一段階深く掘り下げます。
ダイリュートは「色が薄まる」のではなく「色が偏って拡散する」現象
ダイリュート(希釈)は、色素の量そのものが減ることではありません。2006年、Ishida Yらの研究グループが *Genomics* 誌に発表した論文で、常染色体上にあるMLPH(メラノフィリン)遺伝子のエクソン2に生じた1塩基の欠失(c.83delT)が、猫のダイリュート表現型の原因であることを特定しました(Ishida et al., 2006, PMID 16860533)。
MLPH遺伝子は、メラニン色素を毛の中へ運ぶ「モータータンパク」の働きに関わっています。この遺伝子に変異が起きると、メラニン色素が毛の中に均一に行き渡らず、大きな塊(顆粒)となって偏って分布します。顆粒が偏ると光の反射のされ方が変わり、本来の黒(ユーメラニン)が青灰色に、赤(フェオメラニン)がクリーム色に見えるようになります。これが、黒猫がグレー(ブルー)に、茶トラがクリームに「薄まって」見える正体です。
両親から1つずつ受け継ぐ「劣性遺伝」でしか発現しない
ダイリュートは劣性遺伝のため、両親それぞれから変異遺伝子を1つずつ受け継いだ「ホモ接合体(dd)」の猫だけがグレー(ブルー)の被毛になります。片方の親からしか受け継がなかった猫(Dd)は、外見上は通常の色(非希釈)のままダイリュート遺伝子を「保因」した状態になり、次の世代に伝わる可能性があります。
猫の毛色と遺伝のしくみの記事でもお伝えしている通り、ブルー(グレー)同士を掛け合わせると、子猫は全員グレー(ブルー)になります。これは、両親がすでに dd(ホモ接合)であるためです。
なお、UC Davis獣医遺伝学研究所(VGL)でも、ダイリュート遺伝子検査は猫の毛色鑑定における代表的な検査項目の一つとして案内されています(UC Davis VGL「Dilute」)。Flowens Catでは現在、この毛色を決める遺伝子そのものの検査は実施しておりません。 当キャッテリーの遺伝子検査は、多発性嚢胞腎・肥大型心筋症(2種)・ピルビン酸キナーゼ欠損症という全品種共通4種と品種別の追加検査を親猫に対して実施し、あわせて獣医師による視診・触診・聴診の健康診断(署名入りの診断書)を行っています。「うちの子がダイリュート遺伝子を持っているか鑑定してほしい」というご希望には、現時点ではお応えできない点を正直にお伝えします。
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Flowens Catでグレー(ブルー)を楽しめる4品種

結論:Flowens Catが取り扱う9品種のうち、グレー(ブルー)の毛色が特に代表的なのはブリティッシュショートヘア・ラグドール・マンチカン・ミヌエットの4品種です。
| 品種 | グレーの主なパターン | 体重目安 | 毛の長さ | 寿命目安 |
|---|---|---|---|---|
| ブリティッシュショートヘア | 無地(ブリティッシュブルー) | 4.0〜8.0kg | 短毛 | 12〜17年 |
| ラグドール | ブルーポイント・ミテッド・バイカラー | 4.5〜9.0kg | セミロング | 12〜15年 |
| マンチカン | 無地・タビー・バイカラーなど制限なし | 2.5〜4.0kg | 短毛・長毛 | 12〜15年 |
| ミヌエット | 無地・タビー・スモーク・バイカラー | オス3〜4kg/メス2.2〜3.4kg | 短毛・長毛 | 12〜15年 |
ブリティッシュショートヘア――「ブリティッシュブルー」は品種の代名詞
密生した被毛と丸顔が特徴のブリティッシュショートヘア(以下BSH)は、グレー(ブルー)が「ブリティッシュブルー」という固有の名前で呼ばれるほど、色と品種が強く結びついています。19世紀のイギリスで確立した最古の猫種の一つで、灰青色の単色個体が古くから好まれてきました。
当キャッテリーの実感でも、ブリティッシュショートヘアはブルー系が長年最も人気の高いカラーでした。近年はゴールデンやシルバータビーへの関心も増えています(猫の毛色と遺伝のしくみ)。性格はブリティッシュショートヘアの性格、値段はブリティッシュショートヘアの値段、詳細は品種ページをご覧ください。
ラグドール――ブルーポイント・ミテッド・バイカラー
大型で穏やかな性格のラグドールでは、ポイントカラー(体温が低い末端部分だけに色が出るカラー)の一種として「ブルーポイント」が展開されています。体幹は薄いグレーがかった白で、耳・顔・足先・尾だけが濃いグレーになるのが特徴です。
ポイントカラーは温度感受性の色素酵素による発色のため、生まれたては全身ほぼ白に近く、ブルーポイントかライラックポイント(淡いラベンダー色)かの判別は生後3ヶ月以降でないと難しいというのは、Flowens Catに多く寄せられるお問い合わせの一つです。ミテッドやバイカラーなどのパターンにもブルーが展開され、白との組み合わせでさまざまな表情を楽しめます。性格はラグドールの性格、値段はラグドールの値段、詳細は品種ページで解説しています。
マンチカン――カラー無制限、無地グレーもタビーグレーも
短い足がチャームポイントのマンチカンは、被毛カラーに関する品種標準の制限がほぼなく、ソリッド(無地)・タビー(縞)・バイカラー・ポイントなど、あらゆるパターンでグレー(ブルー)が出現します。
Flowens Catへのお問い合わせでも、無地のブルーだけでなく「ブルータビー(グレーに縞が入ったタイプ)」への関心をお持ちの方が一定数います。性格・飼い方はマンチカンの性格・飼い方、値段はマンチカンの値段、詳細は品種ページをご覧ください。
ミヌエット――マンチカン×ペルシャ由来のふわもこグレー
1996年にアメリカでマンチカンとペルシャを交配して作出され、2015年にTICAが「ミヌエット」へ改称した比較的新しい品種です。アニコム損保「家庭どうぶつ白書2026」でも5位(9.4%)に急上昇しており、Flowens Catへの問い合わせも増加傾向にあります(詳しくは後述します)。
ペルシャ由来のふわふわとした被毛の上でグレーが発色するため、無地・タビー・スモーク・バイカラーいずれのパターンでも、短毛品種とは違う柔らかく立体的な見え方になるのが特徴です。性格はミヌエットの性格、値段はミヌエットの値段、詳細は品種ページをご覧ください。
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「ブルー御三家」――ロシアンブルー・シャルトリュー・コラット(Flowens Cat取扱外)

結論:グレー(ブルー)の猫を語るときに必ず登場する「ブルー御三家」ですが、Flowens Catではこの3品種のいずれも現在取り扱っていません。加えて、日本国内の実飼育データでは、この3品種は人気ランキング上位8位以内に一件も入っていません。
「ブルーの猫といえば」で必ず挙がるのが、ロシアンブルー・シャルトリュー・コラットの「ブルー御三家」です。ロシアンブルーはロシア、シャルトリューはフランス、コラットはタイが原産とされ、いずれも被毛標準がブルー一色に固定されている点が共通します。
Flowens Catでは、この3品種はいずれも現在取り扱っておりません。 ロシアンブルーについては、取り扱わない理由と似た魅力を持つ代替品種(ブリティッシュショートヘア・ノルウェージャンフォレストキャット)をロシアンブルーの性格・特徴で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。シャルトリュー・コラットも、現時点で当キャッテリーでの取扱予定はありません。
実は「御三家」は人気ランキング圏外――アニコム損保54,764頭調査が示す実態
「ブルー御三家」は多くのサイトで憧れの存在として紹介されますが、実際の飼育データを見ると印象が変わります。
アニコム損保「家庭どうぶつ白書2026」(2026年2月発表、0歳猫54,764頭調査)の品種別シェアランキングでは、1位スコティッシュフォールド(13.7%)、2位混血猫(11.2%)、3位マンチカン(10.1%)、4位ラグドール(10.1%)、5位ミヌエット(9.4%)と続きますが、ロシアンブルー・シャルトリュー・コラットはいずれも上位8位以内に登場しません(アニコム損保「家庭どうぶつ白書2026」)。アイペット損害保険の調査でもミックス(雑種)が45.6%で9年連続1位と、純血種以上に雑種が主流であることが分かります(アイペット損保データ集計2026年版)。
「憧れの品種」としての知名度と、「実際に日本で飼われている品種」には差があるということです。グレー(ブルー)の魅力そのものは、御三家に限らず、マンチカンやラグドールなど広く流通している品種でも十分に楽しめます。
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雑種のグレー猫はなぜ少ない?――サバトラと無地グレーの境界線

結論:雑種の世界で無地のグレー猫が少ないのは、ダイリュート遺伝子が劣性であり、かつ「柄なし(ソリッド)」という条件も重ならないと発現しないという、二重の確率のハードルがあるためです。さらに、縞模様の「サバトラ」は無地グレーとは別の遺伝子が関わっている可能性があり、この区別は科学的にもまだ完全には整理されていません。
「うちの子は雑種だけどグレーで、これは何ていう猫なんだろう?」というご相談は、Flowens Catにも度々寄せられます。ここでは、無地のグレー猫と、縞模様のあるサバトラの違いを、遺伝子の仕組みから整理します。
無地グレーが雑種に少ない理由――2つの劣性・優性のハードル
野良猫・雑種の集団では、特定の毛色を選んで交配することはありません。さまざまな毛色の個体がランダムに交配を繰り返す中で、無地のグレーが生まれるには、次の2つの条件が同時にそろう必要があります。
- タビー(縞)遺伝子が劣性ホモである(縞が出ない・ソリッドである)こと — タビー遺伝子は優性のため、縞を消すには両親から非タビー遺伝子を1つずつ受け継ぐ必要があります
- ダイリュート遺伝子(MLPH)が劣性ホモである(dd)こと — 前述の通り、両親から変異遺伝子を1つずつ受け継ぐ必要があります
この2つがそろって初めて「縞のない、無地のグレー」が生まれます。優性遺伝子が1つでも入れば縞が出たり色が薄まらなかったりするため、無地グレーは雑種の集団の中では出現しにくくなります。「複雑だから」で片付けるのではなく、優性・劣性の組み合わせとして具体的に説明できる現象です。
サバトラは無地グレーと同じ遺伝子か?――科学でもまだ整理しきれていない領域
「サバトラ」は、縞模様がグレー〜シルバーがかって見える猫を指す言葉です。多くのサイトは「サバトラ=縞あり、無地グレー=縞なし」という見た目の違いだけを説明しますが、この2つが「同じダイリュート遺伝子から生まれているのか」は、実は慎重な整理が必要です。
猫の毛色遺伝学では、縞模様が銀色がかって見える背景にインヒビター(シルバー)遺伝子という別の遺伝子が関わっている可能性が指摘されています。優性で1コピーでも発現し、タビー柄の地色から暖色系の色素を取り除いて銀色にする働きを持つとされ、理論上は黒色を薄めるダイリュート遺伝子とはまったく別の遺伝子座です。
米ミズーリ大学獣医学部の研究室ページによると、ダイリュート遺伝子の原因遺伝子(MLPH)は2006年に特定済みである一方、シルバー(インヒビター)遺伝子については「原因となる遺伝子自体はまだ特定されていない」と明記されています(University of Missouri College of Veterinary Medicine「Silver (Inhibitor) Genetic Testing in Domestic Cat Breeds」)。
つまり「グレーの縞模様(サバトラ)」を生み出す遺伝子の正体は、現在でも100%解明されていません。俗に「サバトラ」と呼ばれる猫には、このシルバー(インヒビター)遺伝子によるものと、ダイリュート遺伝子+タビー柄(いわゆる「ブルータビー」)によるものが混在している可能性があり、どちらか一方だけを厳密に指す言葉として整理されているとは言い切れません。この記事でも「2つの経路がありうる」という誠実な整理にとどめます。サバトラとキジトラの見た目の違いはキジトラの性格でも触れています。
サバトラは「戦後に増えた」猫だった?――遺伝子の優先順位競争
サバトラの歴史をたどると、興味深い指摘があります。文藝春秋の「CREA」に掲載された、京都大学CAMP-NYAN監修の記事によれば、サバトラは戦後になって数を増やした、遺伝的にはむしろ希少な部類の猫だとされています。
同記事では、シルバーを生み出すI遺伝子はオレンジを生み出すO遺伝子より優先順位が低いため、両方を受け継ぐとオレンジ側が発現し、サバトラではなく茶トラになってしまうという遺伝子同士の“競合関係”が紹介されています。
Flowens Catとして正直にお伝えすると、この分野は繁殖の現場よりも学術研究の対象です。断定的な結論を急がず、「まだ整理しきれていない部分がある」という現在地を正確にお伝えすることが、誠実な情報提供だと考えています。
日本の猫でグレーがまったく出ない地域もある――青島の遺伝子調査
2023年に発表された、宮城県・青島の猫個体群を対象にした遺伝子プロファイル調査(Kholin, 2023, *Vavilov Journal of Genetics and Breeding*、PubMed収録)では、グレー(ブルー)の出現頻度が地域によって大きく異なることを示す結果が報告されています。調査対象となった猫(3グループ、それぞれ70〜75頭規模のサンプル)から、ダイリュート遺伝子(d)の保有個体が1頭も検出されませんでした。一方、隣接する港湾部の個体群では、タビー(縞)柄に関わるアグーチ遺伝子の頻度が青島の2倍以上で、統計的に有意な差(p<0.0001)が確認されています(Kholin, 2023, PMC10090102)。
この調査は、日本の野良猫の毛色遺伝子頻度を1990年から調べてきた学術シリーズ(Kholin(2023)論文が参照する、野沢謙氏らによる2019年の第5次とりまとめ)に連なるものです。隔離された島の個体群は外部との交配が起きにくく、特定の遺伝子が偶然「ゼロ」になったり地域差が極端に出たりすることがあります。
ここは正直にお伝えしますが、青島は隔離された島の個体群であり、日本全国の代表値ではありません。 「日本にはグレー猫が少ない」と一般化はできませんが、地域によって毛色遺伝子の構成がここまで違う事実は、猫の毛色遺伝の奥深さを物語っています。
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グレー猫の性格は本当に穏やかなのか――科学データを正直に検証する
結論:「グレー猫は穏やか」という説明はネット上でよく見かけますが、具体的な出典を示している記事はほとんどありません。実際の研究データを見ると、単純な「穏やか」では説明しきれない、二面性のある結果が報告されています。
「グレーの猫は穏やかで愛情深い」という説明を掲げるサイトは少なくありません。しかし、Flowens Catが確認した範囲では、この説明の根拠となる具体的な研究名や出典を明示しているサイトはほとんど見当たりませんでした。誠実な情報提供のため、実際に存在する研究データを確認してみます。
1,274匹調査:「グレー×白のメス猫」は特定場面で攻撃的行動が多い
UC Davis(カリフォルニア大学デービス校)のStelow EA、Bain MJ、Hart BLらが2015年に発表した研究「The Relationship Between Coat Color and Aggressive Behaviors in the Domestic Cat」(*Journal of Applied Animal Welfare Science* Vol.19(1))では、1,274匹の飼い主へのアンケートを実施しています。
この研究で報告されている毛色グループの中に、「グレー×白」のメス猫が含まれています。このグループは、トーティシェル・キャリコ(三毛)・黒白のメス猫と並んで、「日常生活」「ハンドリング(抱っこ・お手入れ等)」「獣医受診」の3つの場面で、人への攻撃的な行動が統計的に有意に多いという結果が報告されました。
これはFlowens Catの毛色遺伝の総論記事「猫の毛色と遺伝のしくみ」でも紹介している研究ですが、この記事では「グレー」に絞ってもう一歩踏み込みます。ポイントは、対象が「グレー×白」という特定の柄の組み合わせであり、無地のグレー猫やグレータビー全般に一律に当てはまる結果ではないという点です。毛色研究は柄の組み合わせごとに結果が変わりうる、繊細な分野だと分かります。
読者アンケート781匹:「人懐っこいが怖がりでもある」という二面性
もう一つ、SERP上位の競合サイトの中で唯一実データを持っていたのが、「ねこのきもち」が2017年11月号で発表した「毛柄×性格相関データFile」です。読者の愛猫781匹を対象にしたアンケートで、Tokyo Cat Specialists代表・国際猫学会(ISFM)所属の山本宗伸氏が監修しています(ねこのきもち「毛柄×性格相関データFile」)。
この調査では、グレー猫は「人懐っこい」という回答が多い一方で「怖がり」という回答も同時に多く、単純な「穏やか」では説明しきれない二面性があると報告されています。2017年の調査でやや年数が経っているため、最新の調査ではない点を踏まえたうえで、参考データとしてご紹介します。
Flowens Catの結論:毛色と性格の科学的根拠は限定的
正直にお伝えすると、毛色と性格の関係を示す科学的根拠は、現時点では限定的です。 統計的な傾向は一部報告されているものの、個体差・品種の気質・育ち方による影響のほうがはるかに大きいというのが、Flowens Catが日々多くの子猫と接してきた実感です。
「グレーだから穏やか」と決めつけず、気になる品種の性格特性(ブリティッシュショートヘアの性格やラグドールの性格)を確認したうえで、実際に会ってみることをおすすめします。
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グレー猫に人気の名前は?――色にちなんだ名付けのヒント
結論:「グレー猫だけの名前ランキング」という公式データは、Flowens Catが確認した範囲では見つかりませんでした。ただし、色や質感から連想する名付け方には、いくつかの定番の型があります。
「グレーの猫に合う名前を知りたい」という検索も一定数あります。一般的な猫の名前ランキングはありますが、色別に区切った公式集計(ペット保険会社等が発表するような統計)は今回確認した範囲では見つけられませんでした。そのため「グレー猫の名前ランキング1位は○○」と断定することは避け、代わりによくある名付けの発想をご紹介します。
- 色そのものから:グレー、ブルー、スモーキー、シルバー、グリ、ネズ(鼠)
- 質感・雰囲気から:ミスト、クラウド(雲)、スモーク、フォグ(霧)
- 和の響きから:灰(はい)、鼠(ねずみ)、藍(あい)、墨(すみ)
- 宝石・鉱物から:パール、オパール、プラチナ
グレーは光の当たり方で表情が変わる、奥行きのある色です。子猫を実際に見てから、被毛の質感や瞳の色と合わせて名前を考える方も多くいらっしゃいます。
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よくある質問
Q. グレーの猫と「ブルー」の猫は違う色ですか?
いいえ、同じ色を指します。猫の品種団体やブリーダーの世界では「ブルー」と呼ぶのが公式な呼び方です。「色を薄める」という意味の「ダイリュート」という現象を指す呼称で、見た目は青みがかったグレーです。検索は「グレー」でも「ブルー」でもほぼ同じ結果にたどり着けます。
Q. サバトラと無地のグレー猫は同じ遺伝子から生まれますか?
明確には断定できません。無地のグレーは「ダイリュート遺伝子(MLPH)」という原因遺伝子が特定済みの劣性遺伝で生まれますが、縞模様が銀色がかって見えるサバトラには「シルバー(インヒビター)遺伝子」という別の遺伝子が関わっている可能性が指摘されています。こちらは原因遺伝子自体がまだ特定されておらず、2つの経路が混在して「サバトラ」と呼ばれている可能性があります。
Q. 雑種でグレー(無地)の猫は珍しいですか?
縞模様のある猫と比べると、出現する確率は低くなりやすいと考えられます。無地のグレーが生まれるには、縞を出さない遺伝子と色を薄めるダイリュート遺伝子の両方が劣性ホモでそろう必要があり、優性遺伝子が1つでも入ると縞が出たり色が薄まらなかったりするためです。ただし「まったく生まれない」わけではなく、無地グレーの雑種猫も一定数存在します。
Q. ロシアンブルーはFlowens Catで迎えられますか?
Flowens Catでは現在、ロシアンブルーを含む「ブルー御三家」(ロシアンブルー・シャルトリュー・コラット)の取り扱いがありません。品種の魅力や似た性質を持つ代替品種についてはロシアンブルーの性格・特徴で詳しく解説していますので、ご検討の際はあわせてご確認ください。
Q. Flowens Catでは猫の毛色(ダイリュート遺伝子など)を検査してもらえますか?
いいえ、現時点では毛色を決める遺伝子そのものの検査は実施しておりません。Flowens Catの遺伝子検査は、多発性嚢胞腎・肥大型心筋症・ピルビン酸キナーゼ欠損症など健康に関わる疾患系を親猫に対して実施しています。「子猫の毛色を事前に鑑定してほしい」といったご希望には、現状お応えできない点をご了承ください。
Q. グレー(ブルー)の子猫を迎えたい場合、どの品種がおすすめですか?
Flowens Catでは、ブリティッシュショートヘア・ラグドール・マンチカン・ミヌエットの4品種でグレー(ブルー)のカラーバリエーションをご案内しています。無地の落ち着いた雰囲気ならブリティッシュショートヘア、ポイント柄の華やかさならラグドールがおすすめです。現在の在舎状況は子猫一覧でご確認いただけます。
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まとめ――グレーは「呼び方」より「品種の個性」で選ぶのがおすすめ
「グレーの猫」と「ブルーの猫」は同じ色を指す、呼び方の違いにすぎません。原因はメラノフィリン遺伝子(MLPH)のたった1塩基の欠失で、2006年に分子レベルで特定されています。一方、縞模様のサバトラについては、別の遺伝子(シルバー/インヒビター遺伝子)が関わっている可能性があり、原因遺伝子自体はまだ特定されていません。猫の毛色遺伝は、身近でありながら科学的にもまだ解明の途上にある分野です。
Flowens Catでは、ブリティッシュショートヘア・ラグドール・マンチカン・ミヌエットの4品種でグレー(ブルー)のカラーバリエーションをご案内しています。「ブルー御三家」として知られるロシアンブルー・シャルトリューなどは現在取り扱いがありませんが、似た魅力を持つ品種はロシアンブルーの性格・特徴でもご紹介しています。
「グレー猫は穏やか」という通説は、科学的根拠としては限定的です。色よりも、品種の気質や個体との相性を確かめてから選ぶことをおすすめします。現在お迎えいただける子猫の一覧は子猫一覧から、抜け毛の少なさで選びたい方は抜け毛が少ない猫ランキングもあわせてご参照ください。
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出典
- Ishida Y, Sasaki M, et al. (2006) "A homozygous single-base deletion in MLPH causes the dilute coat color phenotype in the domestic cat." *Genomics* Vol.88(6). PMID: 16860533. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16860533/
- UC Davis Veterinary Genetics Laboratory「Dilute」解説ページ. https://vgl.ucdavis.edu/test/dilute-cat
- University of Missouri College of Veterinary Medicine「Silver (Inhibitor) Genetic Testing in Domestic Cat Breeds」. https://cvm.missouri.edu/research/feline-genetics-and-comparative-medicine-laboratory/silver-inhibitor-genetic-testing-in-domestic-cat-breeds/
- Kholin S.K. (2023) "Genetic profile of domestic cat (Felis catus L.) population of Aoshima Island (Japan)." *Vavilov Journal of Genetics and Breeding*. PMC10090102 / PubMed 37063514. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10090102/(本論文が参照する野沢謙氏らによる日本産野良猫の毛色遺伝子調査シリーズ「2019年第5次とりまとめ」も本文中で紹介しています)
- Stelow EA, Bain MJ, Hart BL (2015) "The Relationship Between Coat Color and Aggressive Behaviors in the Domestic Cat." *Journal of Applied Animal Welfare Science* Vol.19(1). https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/10888705.2015.1081820
- 「ねこのきもち」2017年11月号「毛柄×性格相関データFile」(読者アンケート781匹、監修:山本宗伸氏). https://cat.benesse.ne.jp/withcat/content/?id=127567
- アニコム損保「家庭どうぶつ白書2026」(2026年2月発表、0歳猫54,764頭調査). https://www.anicom-sompo.co.jp/nekonoshiori/10392.html
- アイペット損害保険「人気飼育猫種ランキング2026年版」(nyanpedia経由). https://nyanpedia.com/cat-ranking-2026/
- CREA(文藝春秋)「戦後誕生したサバトラは 遺伝的にも希少な猫。」(京都大学CAMP-NYAN監修). https://crea.bunshun.jp/articles/-/40711









