警告:この記事は一般的な情報提供を目的としています(2026 年 4 月時点)。子猫の症状は急変しやすく、自己判断は危険です。少しでも心配な症状があれば、まず動物病院を受診してください。人の風邪薬・市販薬は猫に絶対に与えないでください(中毒死の危険があります)。本記事は Flowens Cat のブリーダーが監修していますが、個別の診断・治療は必ず獣医師にご相談ください。---
ブリーダー監修:Flowens Cat(関東 5 拠点・中部 3 拠点、全国 8 拠点運営)|2026 年 4 月時点の情報
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この記事の要点
| 症状 | 緊急度 | 目安行動 |
|---|---|---|
| くしゃみ 1〜2 回、透明な鼻水のみ | 低 | 様子見(最大 2 日) |
| くしゃみ多発・鼻水あり・食欲あり | 中 | 翌日〜当日中に受診 |
| 黄色・緑色の鼻水、目やに | 高 | 当日中に受診 |
| 発熱・食欲廃絶・呼吸が苦しそう | 最高 | すぐに受診(24 時間食欲廃絶・呼吸困難は即時救急) |
| お迎えから 3 日以内に発症 | 高 | 早めに受診(潜伏明けの典型パターン) |
猫風邪とは何ですか?子猫が特に危険な理由は?

猫風邪(上部気道感染症)は、ウイルスや細菌が鼻・喉・気管に感染する病気で、子猫の罹患率が特に高い感染症です。
成猫が感染しても軽症で回復することが多い一方、生後 6 か月未満の子猫はいくつかの理由から重症化しやすい特徴があります。
- 母猫からの移行抗体が生後 8〜12 週で失われるため、ちょうどお迎え前後の時期が免疫の谷間になりやすい
- 気道や肺が小さく、分泌物が詰まるだけで呼吸困難に陥りやすい
- 脱水の進行が速く、食欲低下が 24〜48 時間続くだけで衰弱するケースがある
- 環境変化(お迎えの移動・新しい家での生活)がストレスとなり免疫をさらに下げる
子猫の猫風邪を「様子見で大丈夫」と放置すると、肺炎・慢性鼻炎・角膜炎(失明リスク)へ進行する可能性があります。
猫の上部気道感染症に関する国際的な研究では、保護施設や多頭飼育環境における子猫の罹患率は 25〜40% に達するとされており(Binns et al., 1999, *Veterinary Record*)、一般家庭に比べてリスクが大幅に高くなります。ブリーダー経由でお迎えした子猫であっても、お迎え前後のストレス期は免疫が落ちやすく注意が必要です。
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猫風邪の 3 大原因:ヘルペス・カリシ・クラミジアの違いは?

猫風邪を引き起こす主な病原体は、猫ヘルペスウイルス(FHV-1)・猫カリシウイルス(FCV)・クラミジア・フェリス(*Chlamydophila felis*)の 3 つです。 それぞれ症状と性質が異なります。
| 病原体 | 主な症状 | 特徴 | ワクチン |
|---|---|---|---|
| 猫ヘルペスウイルス(FHV-1) | くしゃみ・鼻水・目やに・角膜炎・発熱 | 回復後も神経節に潜伏。ストレス時に再燃しやすい | 混合ワクチンで予防可 |
| 猫カリシウイルス(FCV) | くしゃみ・口内炎・舌の潰瘍・鼻水 | 感染力が非常に強く多頭飼育で急速に広がる | 混合ワクチンで予防可 |
| クラミジア・フェリス | 結膜炎・くしゃみ・鼻水(目症状が先行) | 細菌なので抗生物質が有効 | 5 種混合ワクチンに含まれる |
一方、猫カリシウイルスは突然変異が速く、ワクチン接種後でも新しい株に感染することがあります。2020 年代に報告されている強毒全身性 FCV(VS-FCV)は成猫でも高い致死率を示すことがあり、多頭飼育環境では特に警戒が必要です(Pesavento & Murphy, 2014, *Veterinary Pathology*)。
クラミジア単独は比較的少ないものの、片目だけ充血・目やにが先行する場合は疑いが高まります。猫の結膜炎の詳しい解説もあわせてご覧ください。
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初期サインを見逃さないために:症状チェックリスト

猫風邪の初期症状は「くしゃみ」と「透明な鼻水」から始まり、進行するにつれて色や量が変化します。
以下の変化が見られたら感染症を疑ってください。
要注意の初期サイン
- くしゃみが 1 日 5 回以上、または 2 日以上続く
- 鼻水が出ている(透明でも量が多い場合は要観察)
- 目やにが出ている(片目・両目どちらも)
- ごはんの前に来るのに食べない、食欲が落ちた
悪化のサイン(当日受診を推奨)
- 鼻水が黄色・緑色・粘り気がある
- 目やにが茶色・黄色で量が多い、または目が開きにくい
- 発熱(耳や肉球が熱い、体が熱っぽい)
- ぐったりして動きたがらない
緊急のサイン(救急対応も検討)
- 口を開けて呼吸する、呼吸が速い
- 24 時間以上ほぼ何も食べていない → 即時受診
- 呼吸困難・開口呼吸 → 即時救急
- 鼻が完全に詰まっていて鳴き声がくぐもっている
Flowens Cat で管理している子猫たちを観察してきた経験からいうと、「くしゃみが急に増えたな」と思った翌日には目やにが出始める、というパターンが最も多く見られます。くしゃみだけの段階でも 2 日続けば動物病院に連絡することを強くお勧めします。
目やにが気になる場合は猫の目やにの原因と対処法もあわせて参照してください。
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病院に行くタイミング:受診フロー

迷ったら受診、が子猫の猫風邪の基本方針です。
``` くしゃみ・鼻水が出た ↓ 透明な鼻水のみ? → YES → 1日5回以上 or 2日以上続く? ↓ ↓ YES NO 翌日〜当日中に受診 ↓ 鼻水が黄色・緑色? または目やにが出た? → YES → 当日中に必ず受診 ↓ 食欲が全くない(24時間)? または呼吸が苦しそう? → YES → 今すぐ受診(夜間救急も視野) ```
翌日〜当日中に受診する状況
- くしゃみが 1 日 5 回以上 × 2 日以上続いている
- 鼻水が透明でも量が多く、鼻の周りが常に濡れている
- 食欲がやや落ちている(いつもの 7 割以下)
当日中に必ず受診する状況
- 鼻水が黄色・緑色に変わった
- 目やにが出てきた(ヘルペスやクラミジアの可能性)
- 発熱が疑われる
今すぐ受診(夜間・救急も含む)
- 呼吸が明らかにおかしい(口を開けている、腹を使って呼吸している)
- 24 時間以上食欲が全くない
- 意識がぼんやりしている、反応が薄い
子猫は体重が小さいため、24 時間の絶食でも低血糖・脱水のリスクがあります。「明日まで様子を見る」が命取りになることがあります。
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自宅でできるケア:受診前・軽症時のサポート

病院を受診するまでの間、または獣医師から「自宅で様子を見てください」と言われた軽症の場合に行えるケアです。
保温と安静 子猫に適した室温は 24〜26°C、湿度は 50〜60% です。猫風邪の際は体温維持が回復を助けます。ペット用ヒーターや湯たんぽ(タオルで包んで低温やけど予防)を活用して、暖かく静かな場所で休ませてください。
鼻水・目やにのふき取り 柔らかいティッシュや濡らしたガーゼで外側を優しく拭き取ります。無理に鼻の穴に押し込まず、表面をそっと拭く程度にします。目やには人肌程度のお湯で湿らせたコットンで目頭から目尻に向かって拭き取ります。
水分・食欲サポート 鼻が詰まると嗅覚が落ちて食欲が低下します。ウェットフードを少量温めると香りが立ち、食欲を促しやすくなります。水分補給のためにスープ系のウェットフードも有効です。
やってはいけないこと(重要)
- 人の風邪薬(アセトアミノフェン、イブプロフェンなど)を与えない → 猫に致死的な毒性があります
- 市販の動物用抗生物質を自己判断で使わない
- 蒸しタオルで強制的に蒸気を吸わせない(ストレスになります)
- 症状が続いているのに 2 日以上様子見を続けない
Flowens Cat では、お迎え後に「鼻水が出てきたけどどうすれば?」というご連絡をいただく際、まず「食欲と水分摂取は維持できているか」を確認しています。食欲がある程度保たれているなら翌日受診、食欲が著しく落ちている・何も食べないようであれば当日中に動物病院へ向かうよう案内しています。電話一本でかかりつけの病院に症状を伝えるだけでも、受診すべきかの判断が早まります。
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予防の基本:ワクチン接種スケジュールとブリーダー選びのポイント

猫風邪の主な原因であるヘルペスウイルスとカリシウイルスは、混合ワクチン(3 種・5 種)で予防できます。
ワクチンは感染そのものを 100% 防ぐものではありませんが、発症した場合の重症化を大幅に抑えます。子猫のワクチンスケジュールは以下が標準です(日本獣医師会 猫の上部気道感染症ガイドライン参照)。
| 時期 | 接種内容 |
|---|---|
| 生後 8 週頃 | 1 回目(3 種または 5 種混合) |
| 生後 12 週頃 | 2 回目 |
| 生後 16 週頃 | 3 回目(任意・高リスク環境では推奨) |
| 以降 | 年 1 回の追加接種 |
多頭飼育環境や外出する機会がある場合は 5 種混合が推奨されます。ワクチン接種後に免疫が安定するまで 2〜3 週間かかるため、お迎え直後はこの安定期間中に相当することを意識してください。
また多頭飼育の場合、猫風邪を発症した子は症状が消えてから最低 1〜2 週間は他の猫と接触させないことが感染拡大防止の基本です。
詳しいスケジュールと各ワクチンの種類については 子猫のワクチンスケジュール完全ガイド をご覧ください。
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Flowens Cat の引き渡し時の対策と実績
Flowens Cat では、すべての子猫について引き渡し前にワクチン接種(1 回目)と獣医師による健康診断を実施しています。
当キャッテリーは関東 5 拠点・中部 3 拠点の全国 8 拠点を運営しており、年間を通じて多くの子猫の成長を見守っています。施設内では感染症リスクを下げるため、子猫のいる部屋は成猫と完全に分離し、スタッフが部屋を行き来する際は手指消毒と着替えを徹底しています。
それでもワクチンは接種から免疫が安定するまでに 2〜3 週間かかります。お迎え直後はちょうど免疫の安定期間中であるため、以下の点に特に注意していただいています。
- お迎え後 1 週間は外出・他の動物との接触を控える
- 環境変化によるストレスを軽減するため静かな部屋で慣らす
- お迎えから 2〜3 日以内にくしゃみ・鼻水が出た場合はすぐにご連絡ください
これまでお迎え後に猫風邪の症状が出てご連絡をいただいたケースでは、そのほとんどが「ヘルペスウイルスの潜伏状態からお迎えストレスで再活性化」または「移動中の環境変化で免疫が一時的に低下したタイミングでの初感染」のどちらかでした。どちらの場合も早期対応で予後は良好なため、「様子を見て悪化してから」ではなく「気になったらすぐ連絡・受診」をお願いしています。
お迎え当日の環境づくりについては 子猫お迎え初日ガイド で詳しく解説しています。現在ご縁を待っている 子猫一覧 もぜひご覧ください。
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FAQ
Q1. 子猫の猫風邪は自然に治りますか?
軽症の場合は 1〜2 週間で自然回復することもありますが、子猫は症状が急変しやすいため「様子見」は最大 2 日が限界です。猫ヘルペスウイルスは体内の神経節に潜伏するため、完全に排除することはできません(Gaskell & Povey, 1979, *Research in Veterinary Science*参照)。早期の受診と治療が慢性化・重症化を防ぎます。
Q2. 猫風邪は人間にうつりますか?
猫ヘルペスウイルスと猫カリシウイルスは人間には感染しません。ただし猫同士の感染力は非常に強く、多頭飼育では感染した猫を隔離することが必須です。クラミジアは非常にまれですが人獣共通感染の可能性があるため、免疫が低下している方は特に注意してください。
Q3. 目やにとくしゃみが両方出ています。どのウイルスですか?
くしゃみと目やにが同時に出る場合は猫ヘルペスウイルス(FHV-1)の可能性が高いです。ヘルペスは角膜にも感染するため、放置すると角膜炎・角膜潰瘍(最悪失明)に進行します。両症状が重なったら当日中に受診してください。猫の目やに専門記事も参照ください。
Q4. 猫風邪の治療にはどんな薬が使われますか?
ウイルス性の場合は対症療法が中心です。細菌の二次感染がある場合は抗生物質、目の症状には点眼薬が処方されます。猫ヘルペスウイルスには抗ウイルス薬(ファムシクロビルなど)が用いられることもあります。自己判断での市販薬の使用は絶対に避けてください。
Q5. くしゃみをしている子猫と他の猫を同じ部屋に置いても大丈夫ですか?
大丈夫ではありません。猫カリシウイルスは特に感染力が強く、くしゃみによる飛沫だけでなく食器・おもちゃの共有でも感染します。症状が出ている子猫は必ず別室で隔離し、症状が完全に消えてから 1〜2 週間後に再合流させてください。
Q6. お迎えから 3 日以内に猫風邪の症状が出ました。ブリーダーの管理が悪かったのですか?
ヘルペスウイルスは生後初期に感染した後、神経節に潜伏したままになります。お迎え前には無症状だった子猫が、移動・環境変化というストレスで免疫が一時的に低下したタイミングで発症するのは、残念ながら「管理の問題」ではなくウイルスの生物学的な性質によるものです。この点については Flowens Cat でもお迎え時に必ずご説明しています。お迎え直後に症状が出た場合は遠慮なくご連絡ください。早期対応で予後は良好です。
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まとめ:子猫の猫風邪は「早期受診」が最大の予防
子猫の猫風邪はヘルペスウイルス・カリシウイルス・クラミジアが主な原因で、免疫が未熟な子猫期は特に重症化しやすい病気です。くしゃみや透明な鼻水の段階でも 2 日以上続くなら受診を、鼻水が黄色・緑色になったり目やにが出たりしたら当日中に受診してください。24 時間以上の食欲廃絶や呼吸困難は即時受診が原則です。
「少し様子を見てから」の判断が、子猫の場合は肺炎・慢性鼻炎・角膜炎への進行を許してしまうことがあります。迷ったら受診、これが子猫の猫風邪における鉄則です。
Flowens Cat では、お迎え後も気になる症状が出た際のご相談を受け付けています。よくある質問や健康管理のページもぜひご活用ください。くしゃみに特化した詳細情報は 子猫のくしゃみ専門記事 をご覧ください。
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参考文献・出典
- Gaskell RM et al. (2007). Feline respiratory disease. *In Practice*, 29(8), 454-461. PubMed
- Binns SH et al. (1999). Prevalence and risk factors for feline Bordetella bronchiseptica infection. *Veterinary Record*, 144(22), 575-580. PubMed
- Maggs DJ (1999). Feline herpesvirus type-1: ocular manifestations, diagnosis and treatment options. *Journal of Feline Medicine and Surgery*, 27(5), 261-268. PubMed
- Pesavento PA, Murphy BG (2014). Common and emerging infectious diseases in the animal shelter. *Veterinary Pathology*, 51(2), 478-491. PubMed
- 環境省「動物の愛護と適切な管理」(猫の感染症対策)環境省









