TL;DR - 3種・5種・7種混合ワクチンの違いと選び方
3種混合(コアワクチン)は全猫種に推奨。5種混合は多頭飼い・外出ありの子に、7種混合は獣医師と相談のうえで判断。室内飼い一頭飼いなら3種混合で十分なケースがほとんどです。
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猫のワクチンを調べると「3種」「5種」「7種」と出てきて、どれを選べばいいか迷う方は多いです。単に「種類が多いほど良い」わけではなく、猫の生活環境・感染リスク・WSAVA(世界小動物獣医師会)のガイドラインに沿って選ぶことが大切です。
この記事では、各ワクチンが予防する病気の詳細・コアワクチンとノンコアワクチンの違い・室内飼い向きの選び方を、ブリーダーとしての実体験も交えて解説します。接種スケジュールの詳細は子猫のワクチン完全スケジュールガイド、費用については猫のワクチン費用ガイドをあわせてご覧ください。
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コアワクチンとノンコアワクチンとは何か? - WSAVA基準を理解する
コアワクチンとは、すべての猫種・生活環境に関係なく接種が推奨されるワクチンです。WSAVA(世界小動物獣医師会)が定めるガイドラインでは、感染した場合の重篤度・感染のしやすさ・公衆衛生上の観点から、以下の3疾患をコアワクチンとして指定しています。
| 区分 | 対象疾患 | 推奨対象 |
|---|---|---|
| コアワクチン | 猫汎白血球減少症・猫ウイルス性鼻気管炎・猫カリシウイルス感染症 | 全ての猫 |
| ノンコアワクチン | 猫白血病ウイルス(FeLV)・クラミジア・猫免疫不全ウイルス(FIV)など | 生活環境・リスクに応じて |
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3種混合ワクチンが予防する3つの病気
3種混合はコアワクチンのみで構成されており、完全室内飼いの猫の基本中の基本です。
猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)
猫汎白血球減少症は、パルボウイルスによる非常に致死率の高い感染症です。白血球が急激に減少し、嘔吐・下痢・脱水が進行します。致死率は50〜90%に達するともいわれ(特に子猫)、ワクチン未接種の子猫では命に関わります。
ウイルスは環境中で長期間(数ヶ月〜1年以上)生存するため、室内飼いでも飼い主さんの衣服・靴底から持ち込まれるリスクがあります。コアワクチンの中でも最も「接種しないことのリスクが高い」病気です。
猫ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペスウイルス感染症)
猫ヘルペスウイルス(FHV-1)が引き起こす上気道感染症です。くしゃみ・鼻水・眼やに・発熱が主な症状で、重症化すると角膜炎・失明につながることもあります。
一度感染したウイルスは体内に潜伏し、ストレスや免疫低下時に再発する特徴があります(ヒトの口唇ヘルペスと同じメカニズム)。ワクチンで感染を完全には防げませんが、重症化を大幅に抑えられます。
猫カリシウイルス感染症
猫カリシウイルス(FCV)も上気道に影響する感染症で、ヘルペスと合わせて「猫風邪」の主要原因となります。口内炎・舌の潰瘍・発熱が特徴です。まれに重症型(virulent systemic FCV)では全身性炎症・高致死率を示す株も報告されています(2000年代以降の海外事例)。
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5種混合ワクチンで追加される2疾患
5種混合は3種混合の3疾患に加えて、以下の2つを予防します。
猫白血病ウイルス感染症(FeLV)
FeLV(猫白血病ウイルス)は、感染猫との唾液・鼻汁・血液・母乳を通じた直接接触で広がります。感染すると白血病・リンパ腫・免疫抑制状態を引き起こし、発症後の平均余命は2〜3年ともいわれる深刻な疾患です。
WSAVA基準ではノンコアに分類されますが、屋外外出の可能性がある猫・多頭飼育猫・繁殖猫には強く推奨されます。Flowens Cat でも多頭飼いを予定されている飼い主様には獣医師との相談をお勧めしています。
感染経路が「直接接触」であるため、完全室内一頭飼いなら感染リスクは極めて低く、3種混合で十分なケースがほとんどです。
クラミジア感染症
クラミジア・フェリス(Chlamydophila felis)による結膜炎・眼やに・鼻水が主な症状です。多頭飼育・キャッテリー環境で広がりやすく、特に子猫に影響が出やすい疾患です。
単独で致死的になることは少ないですが、慢性的な目の炎症が繰り返されるため生活品質への影響があります。WSAVA基準ではノンコアですが、多頭・外出環境では検討価値があります。
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7種混合ワクチンとは?- FIVを含む構成
7種混合は5種混合にさらに疾患を追加したもので、国内では以下の組み合わせが一般的です。
| 種類 | 予防対象(代表例) |
|---|---|
| 3種混合 | 猫汎白血球減少症・鼻気管炎・カリシ |
| 5種混合 | 3種 + FeLV・クラミジア |
| 7種混合 | 5種 + 猫免疫不全ウイルス(FIV)・猫伝染性腹膜炎(FIP)など |
猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)- いわゆる「猫エイズ」
FIVは感染猫との喧嘩による咬傷が主な感染経路です。ヒトのHIVと同様に免疫を徐々に低下させますが、適切な管理下では長期間(10年以上)の生存例も報告されています。
FIVワクチンは日本国内でも提供されていますが、接種後に抗体検査(FIV抗体テスト)で偽陽性が出るという課題があります(ワクチン由来の抗体と自然感染の区別がつきにくい)。この点からWSAVAでは非コアとして位置づけており、獣医師との十分な相談が必要です。
完全室内飼い・他の猫と喧嘩しない環境では感染リスクがほぼゼロのため、多くの場合7種混合は必要ありません。
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室内飼いの猫には何種が適切か? - 生活環境別早見表
| 生活環境 | 推奨ワクチン | 理由 |
|---|---|---|
| 完全室内 / 一頭飼い | 3種混合 | コアのみでFeLV・FIV感染リスクが低い |
| 完全室内 / 多頭飼い(全員室内) | 3種混合 〜 5種混合 | FeLV感染リスクは低いが、導入時の検査推奨 |
| 外出あり(ベランダ・お散歩) | 5種混合 | FeLVリスクが上がるため獣医師相談 |
| 繁殖猫 / キャッテリー | 5種混合(FeLV必須) | 外部猫の導入・多頭環境でリスク高い |
| 屋外フリー / 野良猫と接触あり | 5〜7種混合(要獣医師判断) | FIVリスクも考慮 |
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ワクチン接種後の副反応はどんな種類がある?
ワクチンは非常に安全性が高いですが、ごくまれに以下の反応が出ることがあります。
| 反応の種類 | 頻度 | 対応 |
|---|---|---|
| 注射部位の軽い腫れ・痛み | よくある | 1〜2日で自然に軽快 |
| 一時的な食欲低下・元気なし | 時々 | 当日のみなら経過観察 |
| 嘔吐・下痢 | まれ | 翌日まで続くなら病院へ |
| 顔の腫れ・呼吸困難(アナフィラキシー) | 非常にまれ | 接種後30分以内・すぐ病院へ |
| ワクチン関連肉腫(FISS) | 非常にまれ(1/10,000〜1/30,000) | 注射部位の硬いしこりが続く場合は要診察 |
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Flowens Catでのお渡し時ワクチン接種内容
Flowens Cat では、すべての子猫をお渡し前に獣医師健康診断 + 1回目のワクチン接種(3種混合)を完了した状態でお引き渡ししています。
- 接種内容: 3種混合コアワクチン(猫汎白血球減少症・鼻気管炎・カリシ)
- お渡し後: 3〜4週後に2回目・生後16週頃に3回目(推奨)を動物病院で接種
- 5種混合の追加: 多頭飼いを予定されている場合は、かかりつけ獣医師に相談のうえ2回目から5種混合に切り替えることも可能です
接種記録はすべてお渡し時にご提供するため、新しいかかりつけ医でも引き継ぎがスムーズです。現在お迎え可能な子猫は子猫一覧、健康管理への取り組み全体は健康管理ページでご確認ください。
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よくある質問 - 猫のワクチン種類で迷ったとき
Q. 「7種混合がいちばん良い」と思っていましたが、違うのですか?
種類が多い=優れたワクチンとは限りません。WSAVA(世界小動物獣医師会)の推奨では、感染リスクに合ったワクチンを選ぶことが基本です。リスクのない疾患へのワクチンは、費用だけでなく副反応やワクチン関連肉腫のリスクを不必要に上げる可能性があります。
Q. 室内飼いでも5種混合を勧められましたが必要ですか?
獣医師が勧める背景には、「将来的に外出する可能性がある」「多頭飼いを検討している」などの判断があることが多いです。完全室内かつ一頭飼いが確定しているなら3種混合で十分なケースがほとんどですが、迷ったら生活環境を詳しく説明した上で再確認してみてください。
Q. FeLVワクチンを打っていれば猫白血病にならない?
ワクチンで感染リスクを大幅に下げられますが、100%防げるわけではありません(有効率80〜90%程度とされています)。FeLV接種に加えて新しい猫を導入する前の血液検査(FeLVスクリーニング)が最も確実な予防策です。
Q. FIVワクチン(猫エイズ)は打った方がいい?
完全室内飼いで他の猫と喧嘩しない環境なら、一般的に不要です。ただし接種後は抗体検査で陽性反応が出るという課題があるため(ワクチン由来抗体と自然感染の区別困難)、万が一迷い猫の保護などを検討している場合は獣医師と十分に相談してから判断してください。
Q. コアワクチンとノンコアワクチンはどこで確認できますか?
WSAVA(World Small Animal Veterinary Association)が無料で公開するガイドラインが最も信頼性の高い情報源です。日本では日本獣医師会もWSAVA基準を参考に指導しています。かかりつけ獣医師に「WSAVA基準でいうと何種が適切ですか?」と聞くとスムーズな相談ができます。
Q. 毎年打つ必要がある種類はどれですか?
猫のコアワクチン(3種混合)は初回シリーズ完了後、WSAVA基準では3年に1回の追加接種が推奨されています。ただし日本国内では年1回を標準としている動物病院が多く、シニア猫・持病のある子は獣医師が接種間隔を調整することがあります。接種スケジュールの詳細は子猫のワクチン完全スケジュールガイドをご覧ください。
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まとめ - 猫のワクチン種類の選び方ポイント
- 3種混合(コアワクチン): 全ての猫に推奨。完全室内一頭飼いならこれで十分
- 5種混合(+ FeLV・クラミジア): 多頭飼い・外出あり・繁殖猫に検討
- 7種混合(+ FIV等): 外出フリー・野良猫接触リスクがある場合に獣医師と相談
- 選び方の軸: 種類の多さではなく「感染リスクに合ったWSAVA基準の選択」
Flowens Cat の子猫は、お渡し前に3種混合コアワクチンを接種した状態でお引き渡しします。お迎え後の2回目以降のスケジュールや種類の追加については、接種記録をもとにかかりつけ獣医師と相談してください。費用の目安は猫のワクチン費用ガイド、お迎えの流れやよくある質問も合わせてご参照ください。


