まず確認してください
急によだれが増えた・よだれに血が混じる・よだれと同時に嘔吐・震え・意識がもうろうとしているなど気になる症状がある場合は、この記事を読む前にすぐ動物病院へ連絡してください。特に中毒が疑われる場合は1分でも早い対応が命を救います。
この記事の要点:猫のよだれの原因は口内炎・歯周病が約60〜70%を占め、中毒・腎臓病など命に関わるケースもある。急激な増加や血混じりは当日中に受診すること。
免責事項・監修について:本記事は2026年4月時点の獣医学的知見にもとづき、Flowens Cat(関東5・中部3の全国8拠点)のブリーダーが執筆・監修した情報提供コンテンツです。個別の診断・治療方針は必ず担当獣医師にご相談ください。本記事の情報を根拠に医療判断を行うことは推奨しません。
猫のよだれで知っておくべき3つのこと
- よだれ=口腔疾患の初期サインであることが多い。口内炎・歯周病が原因の約60〜70%を占める。
- 急激なよだれの増加・血混じり・震えを伴う場合は中毒の可能性あり。タマネギ・チョコレートなど誤食がないか即確認。
- 生理的なよだれ(リラックス・ごはん前など)は問題ないが、1日以上続くよだれは必ず獣医師に診てもらうこと。
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猫のよだれは正常ですか?生理的なよだれとは

結論:一時的・状況依存のよだれは正常範囲です。継続するよだれは異常のサインです。
猫が常にだらだらとよだれを垂らしているイメージはないかもしれませんが、以下のケースでは生理的(正常)なよだれが出ることがあります。
- リラックス・ゴロゴロ時:気持ちよく撫でられている最中にポタポタ垂れる。自律神経の副交感神経が優位になり唾液分泌が増えるため。
- 食事前・においを嗅いだとき:パブロフ反射(条件反射)。食欲旺盛なサインで問題なし。
- 乗り物酔い・緊張時:動物病院やドライブ中に一時的によだれが増えることがある。
一方で、場所・時間に関係なくよだれが垂れ続ける・急に増えた・食欲が落ちた・体重が減ったなどが加わる場合は、以下の病的原因を疑う必要があります。
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原因・付随症状・緊急度 早見表

| 原因 | 代表的な付随症状 | 緊急度 |
|---|---|---|
| 口内炎・歯肉炎 | 口臭、食欲低下、口を気にする仕草 | 中(数日以内に受診) |
| 歯周病 | 口臭、歯石、歯茎の赤み・出血 | 中(早めに受診) |
| 中毒(タマネギ・チョコ等) | 嘔吐、震え、下痢、呼吸困難 | 最高(今すぐ受診) |
| 腎臓病(慢性腎不全) | 多飲多尿、体重減少、元気消失 | 高(当日〜翌日受診) |
| 異物誤飲 | 嘔吐しようとする、前足で口をかく | 高(当日受診) |
| ストレス・不安 | 隠れる、食欲低下、粗相 | 低〜中(経過観察) |
| ウイルス感染(猫カリシウイルス等) | くしゃみ、鼻水、発熱、口内潰瘍 | 中〜高(早めに受診) |
この表はあくまで目安です。複数の症状が重なる場合は緊急度が上がります。判断に迷ったら動物病院に電話相談することをお勧めします。---
よだれの最多原因:口内炎・歯周病との関係

よだれが増えたとき、最初に疑うべきは口腔内の疾患です。
猫の口内炎(猫慢性口内炎、LPGS:口唇・口蓋・歯肉口内炎)は非常に痛みが強く、食事のたびに激痛が走るため唾液が飲み込めずよだれとなって垂れます。原因は猫カリシウイルス・猫ヘルペスウイルスへの免疫過剰反応が主体と考えられており、完治が難しい疾患です。*JAVMA* に掲載された研究(Lommer & Verstraete, 2003)によれば、全臼歯・全歯抜歯後の猫慢性口内炎の60〜80%で臨床症状の改善が認められており、重症例では抜歯が有力な選択肢のひとつとなっています。
歯周病もよだれの大きな原因です。3歳以上の猫の約70〜85%に歯周病の兆候があるとされ(米国獣医歯科学会 AVDC)、炎症が進むと痛みでよだれを飲み込めなくなります。
口内疾患によるよだれのサイン
- 口の周りや前足が常に濡れている
- ご飯を前にして食べようとするがやめてしまう(口が痛い)
- 口臭が急に強くなった
- 歯茎が赤く腫れ、触ると出血する
口臭とよだれが同時に出ている場合は口腔疾患の可能性が高いです。猫の口臭の原因と対策もあわせてご覧ください。日頃の歯磨きが最大の予防策であり、詳しいやり方は猫の歯磨き完全ガイドをご参照ください。
Flowens Cat で多い口内炎の相談パターン
当キャッテリーには、関東5・中部3の全国8拠点でお迎えいただいたオーナー様からのアフターフォローの問い合わせが定期的に届きます。よだれに関する相談で最も多いのは「生後1〜2歳のラグドールやノルウェージャンフォレストキャットで、食事中に突然食べ渋りが出てよだれが増えた」というパターンです。早期に動物病院を受診いただいた事例では、口内炎の初期段階で発見・治療でき、重症化を防げたケースが複数ありました。よだれの微細な変化を見逃さないためにも、日頃からの観察習慣が重要です。
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緊急性が最高:中毒によるよだれ

よだれ+嘔吐・震え・ふらつきは中毒を最優先で疑ってください。
猫に有害なものを誤食すると、消化管への刺激や神経毒性によって大量のよだれが出ます。特に注意が必要なのは以下の食品です。
タマネギ・ネギ類中毒
タマネギ・ネギ・ニラ・ニンニクなどに含まれる有機硫黄化合物が猫の赤血球を酸化・破壊し、溶血性貧血を引き起こします。よだれ・嘔吐・元気消失・舌や粘膜が白っぽくなる(貧血)が典型的な症状です。加熱しても毒性は消えません。米国動物虐待防止協会(ASPCA アニマル・ポイズン・コントロール)はタマネギ類全般を猫・犬に対し有毒食品として明示しています。詳しくは猫とタマネギ中毒をご覧ください。
チョコレート中毒
チョコレートに含まれるテオブロミン・カフェインは猫には代謝できません。よだれ・嘔吐・下痢・興奮・心拍数増加・けいれんを起こし、重症では死亡することもあります。ダークチョコレートほど危険度が高くなります。詳しくは猫とチョコレート中毒をご覧ください。
ユリ科植物中毒
テッポウユリ・カサブランカ・オニユリなどのユリ科植物は、猫において極めて毒性が高く、花びら・葉・茎・花粉・花を生けた水のいずれを少量摂取しただけでも急性腎不全を引き起こします。ASPCA は毒性植物リストでユリ科を「猫に対して最高危険度」に分類しています。よだれ・嘔吐・元気消失が数時間以内に現れ、24時間以内に腎障害が進行するため、室内への持ち込みを禁止することが最善策です。
その他の中毒原因(代表例)
- 消毒用エタノール・芳香剤(特にエッセンシャルオイル)
- 一部の観葉植物(ポトス・アロエ等)
- キシリトール(ガム・一部のサプリメント)
誤食から時間が経っていても「たぶん大丈夫」と判断せず、動物病院に電話して指示を仰いでください。
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よだれ+多飲多尿:腎臓病の可能性
アンモニア臭のするよだれと多飲多尿が重なったら、腎臓病を強く疑ってください。
慢性腎不全(CKD)が進行すると、本来尿として排泄される尿素窒素が血液中に蓄積し(尿毒症)、消化管の粘膜を刺激して口内炎・よだれ・嘔吐を引き起こします。よだれがアンモニア臭・おしっこのような臭いを帯びている場合、この尿毒症性口内炎が原因であることがあります。
10歳以上の猫の約30〜40%に慢性腎不全が認められると報告されており(国際腎臓学会 IRIS ステージング基準)、中高齢猫ではよだれの原因として見逃せません。また、猫の CKD の臨床像と進行パターンについては PubMed に掲載された横断研究(Elliot & Barber, 1998, *JSAP*)でも記録されており、多飲多尿・体重減少・食欲不振が初期から三大症状として現れることが示されています。定期的な血液・尿検査による早期発見が重要です。
腎臓病の詳しい病期分類・食事療法については猫の腎臓病(CKD)完全ガイドをあわせてご覧ください。
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よだれとストレスの関係
引越し・環境変化・新しいペットの導入直後によだれが増えることがあります。
ストレスを受けると自律神経が乱れ、唾液分泌量が変動します。ただし、ストレスだけで大量のよだれが1日以上続くことは少なく、他の原因が隠れていないか慎重に見極める必要があります。
ストレス性のよだれの場合、以下のサインが同時に現れることが多いです。
- 隠れ場所に引きこもる
- 食欲は落ちているが水は飲む
- トイレの失敗・粗相
環境変化後のよだれは1〜2日以内に改善するのが一般的です。改善しない・悪化する場合は他の原因を疑い受診してください。
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今すぐ動物病院へ:受診タイミングの判断フロー

以下のフローで判断してください。ひとつでも「はい」に該当したら、その段階で受診を決断してください。
STEP 1:有害物への接触があったか?
- タマネギ・チョコレート・ユリ科植物・観葉植物・薬品などに触れた/食べた形跡がある
- → 「はい」なら今すぐ電話・来院(誤食から時間が経っていても同様)
STEP 2:意識・全身症状が出ているか?
- 震え・けいれん・ふらつき・口を開けての呼吸・ぐったりしている
- → 「はい」なら今すぐ来院(救急動物病院を探す)
STEP 3:よだれに血が混じっているか?
- よだれが赤い・ピンク色・褐色がかっている
- → 「はい」なら当日中に来院
STEP 4:2日以上よだれが続いているか?
- 食欲低下・口臭悪化・口を気にする仕草を伴う
- → 「はい」なら翌日以内に予約受診
STEP 5:上記すべて「いいえ」の場合
- リラックス時・移動中・食事前のみのよだれで、数時間で止まり、元気・食欲とも正常
- → 経過観察。数日以内に変化があれば受診
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Flowens Cat のお迎え時の口腔チェックと予防

当キャッテリーでは、子猫をお渡しする前に以下の口腔内チェックを担当獣医師とともに実施しています(2026年4月時点)。
- 歯茎・口腔粘膜の色と腫れの確認
- 乳歯の本数・生え方の確認
- 口内炎・潰瘍の有無の確認
- 口臭の程度の確認
Flowens Cat の関東5・中部3拠点では、各施設での日常観察の記録をお渡し時に保護者の方へ共有しています。「子猫時代に食事の際によだれを垂らしていたことがある」「ストレスで一時的によだれが出た」などの経過をお伝えすることで、お迎え後の早期異変発見につなげていただけます。よだれや口腔疾患の多くは、子猫期からの適切なケアと早期発見で予防・軽症化が可能です。健康管理ページでは日常ケアの詳細を紹介しています。現在お迎え可能な子猫は子猫一覧からご確認いただけます。
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よくある質問
Q1. 猫がよだれを垂らして寝ているのは大丈夫ですか?
熟睡中・深いリラックス状態では筋肉が緩み、よだれが垂れることがあります。起きてからは普通に飲み込んでいて食欲も正常なら経過観察で問題ありません。毎日垂れていて量も多い場合は一度受診を検討してください。PubMed の行動学研究でも、健康な猫がパーディングやニーディング(ふみふみ)中に少量の唾液分泌が増加することが記録されており、リラックス由来の唾液は病的なものとは性質が異なります。
Q2. 子猫でよだれが多いのはなぜですか?
生後3〜7ヶ月の換歯期(乳歯から永久歯への生え替わり)は歯茎に軽い炎症が生じ、よだれが増えることがあります。多くは永久歯が生えそろうと自然に落ち着きます。ただし歯茎の強い赤み・食欲不振を伴う場合はウイルス感染や歯肉炎の可能性があり受診を推奨します。当キャッテリーでも換歯期に一時的なよだれを経験した子猫は珍しくなく、前後の体重・食欲推移を記録してオーナー様にお伝えしています。
Q3. 猫のよだれは歯磨きで予防できますか?
口内炎・歯周病が原因のよだれは、毎日の歯磨きが最も効果的な予防策です。中毒・腎臓病・ウイルス感染によるよだれは歯磨きでは防げないため、誤食防止の環境整備(ユリ科植物の室内持ち込み禁止・タマネギ類の保管管理)と定期健康診断がセットで必要です。
Q4. よだれが急に増えました。緊急ですか?
急激なよだれの増加は緊急サインである可能性があります。同時に嘔吐・震え・元気消失があれば今すぐ動物病院へ連絡してください。食欲は少し落ちているが元気はある、という場合でも翌日には受診することを強く推奨します。迷ったときは「受診してよかった」より「受診しなくてよかった」の方が後悔しにくいため、早めの判断をお勧めします。
Q5. 猫のよだれを減らす家庭でのケアはありますか?
口腔疾患が原因の場合は歯磨きと定期的なデンタルチェックが有効です。中毒対策としてはタマネギ・チョコレート・ユリ科植物・エッセンシャルオイルなどを猫の届かない場所に保管すること。ストレス性の場合は環境を安定させ、隠れ場所を確保することで改善することがあります。いずれも「よだれが出てから対処」ではなく、日常的な予防習慣の積み重ねが重要です。
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まとめ:よだれは猫の体からの警告サイン
猫のよだれは「よだれっ子だから」では済まされない症状です。口腔疾患の初期サインとして現れることが最も多く、放置すると歯周病・口内炎の悪化につながります。また中毒・腎臓病など命に関わる疾患の症状として現れることもあるため、急激な変化には迅速な対応が必要です。
Flowens Cat では関東5・中部3の全国8拠点でお迎えいただいた子猫のアフターフォローを継続しており、よだれを含む口腔トラブルの早期発見に関する情報を随時ご案内しています。
日頃から口周りを観察する習慣をつけ、変化に気づいたら早めに動物病院へ。健康管理の詳細は健康管理ページをご参照ください。口臭が気になる場合は猫の口臭の原因と対策もあわせてご覧いただけると、より詳しい情報が得られます。









