
目次ひらく(全11章)
この記事の要点:耳が大きい猫の代表は、品種団体CFAの標準で「際立って大きい」とされるシャム・オリエンタル・デボンレックスなどです。当社の取扱品種で近いのは、「中〜大」のサイベリアンとノルウェージャンです。「耳が大きい猫」を調べると、品種名を並べた解説記事が見つかります。私たちが2026年10月1日に読んだ上位の解説記事4本は、どれも「どれくらい大きければ大きいのか」の基準を示さず、出典の欄もありませんでした。
そこでこの記事では、米国の猫の血統登録団体CFA(Cat Fanciers' Association)が公開している品種標準の英語の原文を開き、24品種の耳の記述と配点を並べました。耳が大きい理由と子猫の耳は、猫を調べた論文で確かめられたことと、確かめられなかったことを分けて書いています。
先にお断りします。Flowens Cat は9品種を扱う純血種専門のキャッテリーですが、CFAの標準を確認できた取扱7品種に、耳が「大きい」と書かれた品種はありません(マンチカンとミヌエットは、公式の品種標準で耳の記述を確認できませんでした)。耳が大きい猫が本命の飼い主さんには、取扱外の品種が中心の話になります。当キャッテリーで近いのは、サイベリアンとノルウェージャンフォレストキャットです。体重など体の大きさは、猫の大きさの記事にあります。
耳が大きい猫の種類は?標準で「大きい」以上と書かれた13品種

私たちが開いた24品種のうち、CFAの標準で耳が「大きい」(large)以上の言葉で書かれていたのは、シャム、オリエンタル、バリニーズ、カラーポイントショートヘア、デボンレックス、スフィンクス、アビシニアン、ソマリ、コーニッシュレックス、シンガプーラ、メインクーン、ターキッシュアンゴラ、ジャパニーズボブテイルの13品種です。ロシアンブルーも「やや大きい」(rather large)と書かれています。いちばん強い言葉の「際立って大きい」(strikingly large)が使われていたのは、シャムの仲間4品種とデボンレックスだけでした。CFAのサイトに載る品種は40ほどあり、この記事で開いたのは24品種です。
| 段階(原文の言葉) | 品種 | 耳の記述(原文の要点。日本語は私たちの訳) |
|---|---|---|
| 際立って大きい(strikingly large) | シャム・オリエンタル・バリニーズ・カラーポイントショートヘア | 先が尖り、根元が広く、頭のくさび形の線をそのまま延ばした形 |
| 際立って大きい(strikingly large) | デボンレックス | 非常に低い位置に付き、根元がとても広い。耳の外側の根元が、くさび形の線からはみ出す |
| 大きい〜非常に大きい(large to very large) | スフィンクス | 根元が広く、開いて直立する。耳の内側に毛がない |
| 大きい(large) | アビシニアン | 警戒した様子で、適度に尖る。根元が広く、お椀状(cupped) |
| 大きい(large) | ソマリ | 適度に尖り、根元が広いお椀状。耳の内側の飾り毛(tufts)が望ましい |
| 大きい(large) | コーニッシュレックス | 根元からしっかりして直立し、頭の高い位置に付く |
| 大きい(large) | シンガプーラ | 先はやや尖り、根元が広く開き、深いお椀状。小さい耳は重大な欠点(serious fault) |
| 大きい(large) | メインクーン | 飾り毛が豊富で、根元が広く、先が尖って見える。外側に開かない |
| 大きい(large) | ターキッシュアンゴラ | 根元が広く、尖って飾り毛がある。耳どうしが近く、頭の高い位置に垂直に立つ |
| 大きい(large) | ジャパニーズボブテイル | 直立して表情豊か。離れて付き、外に開かず頭に直角 |
| やや大きい(rather large) | ロシアンブルー | 根元が広く、先は丸より尖り。皮膚が薄く半透明で、内側の毛が少ない |
| 中〜大(medium to large) | ノルウェージャンフォレストキャット(当キャッテリーで取扱) | 先が丸く、根元が広い。耳の毛が豊富で、耳先の飾り毛(リンクスティップ)は望ましいが必須ではない |
| 中〜大(medium-large) | サイベリアン(当キャッテリーで取扱) | 丸みがあり、根元が広く、やや前に傾く |
- 解説記事で定番のアビシニアン・シンガプーラ・メインクーンは、「際立って大きい」ではなく、一段下の「大きい」です。 私たちが読んだ4本のうち、アビシニアンとシンガプーラは4本とも、メインクーンは3本で紹介されていました
- 「大きい」の中身は品種で違います。 先が尖る、お椀状、飾り毛がある、内側に毛がない、など、大きさ以外の特徴が品種ごとに書き分けられています
読むときの注意が3つあります。
- CFAは耳の大きさを「何cm」とは定義していません。私たちが開いた24品種の標準に、耳の長さをcmやインチで示した記述はなく、品種ごとの耳の長さを数字で示した公表データも、調べた範囲では見つかりませんでした
- 標準は「理想の姿」を言葉で書いたもので、個体の実測値ではありません
- 表の「段階」の並べ方は、各標準に使われている言葉を私たちが並べたもので、CFAが段階表を公表しているわけではありません。TICA(国際猫協会)などほかの団体の標準は、この記事では確認できていません
各品種の詳しい解説は、アビシニアン・シンガプーラ・メインクーン・デボンレックス・スフィンクス・シャムの記事にあります。シャム型の体つきで、ポイント柄のないオリエンタルは、シャム猫に似た猫の種類で整理しています。
品種団体の標準は「大きい」をどう書く?段階・配点・付き方

CFAの標準は、耳を「大きさ」だけでなく、頭への付き方・根元の幅・先の形・内側の毛まで書き分けています。耳だけの配点が書かれていた19品種では、100点満点のうち4〜15点でした。
次の表は、私たちが開いた24品種のうち、耳に個別の配点がある19品種を、点数の高い順に並べたものです。
| 耳の配点(100点満点) | 品種 | 配点の内訳・原文の注目点 |
|---|---|---|
| 15点 | ターキッシュアンゴラ | 大きさ5点+付き方10点。「耳どうしが近く、頭の高い位置」 |
| 12点 | デボンレックス | 「とても低い位置に付く」。頭全体の配点は40点 |
| 10点 | シンガプーラ | 大きさ4点+付き方4点+開き具合2点。小さい耳は重大な欠点 |
| 10点 | メインクーン・スフィンクス・ノルウェージャンフォレストキャット | 頭全体の配点は、メインクーン30点・スフィンクス35点・ノルウェージャン50点 |
| 7点 | アビシニアン・ソマリ | 頭全体の配点は25点 |
| 6点 | ベンガル | 「中〜小」。頭全体の配点は30点 |
| 5点 | コーニッシュレックス・ロシアンブルー・サイベリアン・ラグドール・ラガマフィン・ブリティッシュショートヘア | サイベリアン・ラガマフィンの頭全体は45点、ラグドールは40点、ブリティッシュは25点 |
| 4点 | シャム・オリエンタル・バリニーズ・カラーポイントショートヘア | 頭全体の配点は20点 |
この配点から言えることは、次の3点です。
- この24品種では、耳は点数で見ると小さな項目です。 ただし配点の低さは、重要でないという意味ではありません。CFAの読み物(審査員経験者のLiz Watsonさんによる2026年2月の記事)は、シャム系(4点)・コーニッシュレックス(5点)・ロシアンブルー(5点)は配点が少なくても、耳の大きさや付き方が崩れると猫全体の印象が崩れると書いています。審査席での筆者個人の見方だと、記事の中で断り書きがあります
- 「大きさ」より「付き方」に点を置く品種があります。 ターキッシュアンゴラは、大きさ5点に対して付き方が10点で、大きさの2倍です。シンガプーラも、大きさ4点・付き方4点と、付き方に同じだけの点があります
- 同じ「大きい」でも、付き方は品種で逆になります。 デボンレックスは「とても低く」、コーニッシュレックスは「高く」、ターキッシュアンゴラは「近く寄せて高く」、ジャパニーズボブテイルは「離して頭に直角に」と書かれています
品種団体の標準は、耳を大きさだけでなく、付き方・根元の幅・先の形・飾り毛の組み合わせで見ています。写真で品種を見分けるときも、大きさに加えて、付き方と先の形を見ると手がかりが増えます。
当キャッテリーの取扱品種の耳|サイベリアンとノルウェージャンが近い

CFAの標準を確認できた取扱7品種で、耳がいちばん大きい言葉で書かれているのは、サイベリアン(medium-large)とノルウェージャンフォレストキャット(medium to large)の「中〜大」です。ラグドール・ラガマフィン・アメリカンショートヘア・ブリティッシュショートヘアは「中くらい」、エキゾチックショートヘアは「小さい」です。マンチカンとミヌエットは、公式の品種標準で耳の記述を確認できなかったため、表に入れていません。
| 品種 | 段階 | CFAの原文(耳)の要点 |
|---|---|---|
| ノルウェージャンフォレストキャット | 中〜大 | 先が丸く、根元が広い。頭の側面と上の両方に付き、耳の外側の線が頭の側面からあごへの線に沿う。耳の毛が豊富で、耳先の飾り毛は望ましいが必須ではない |
| サイベリアン | 中〜大 | 丸みがあり、根元が広く、やや前に傾く。頭の側面と上の両方に付く。耳の後ろの毛は短く薄く、耳の中ほどから飾り毛が長くなって耳の根元をおおう |
| ラグドール | 中 | 離れて付き、適度に外へ開く。根元が広く、先は丸く、前に傾く |
| ラガマフィン | 中 | 頭の側面と上の両方に付く。先は丸く、毛は適度 |
| アメリカンショートヘア | 中 | 先がやや丸く、根元は開きすぎない。耳の間隔は目の間隔の2倍 |
| ブリティッシュショートヘア | 中 | 根元が広く、先が丸い。離れて付き、丸い頭の輪郭におさまる |
| エキゾチックショートヘア | 小さい | 先が丸く、前に傾く。離れて、頭の低い位置に付く |
耳が大きめの子に会いたいときは、サイベリアンとノルウェージャンフォレストキャットの品種ページと、子猫一覧をご覧ください。子猫の在庫は日々変わります。見学は事前予約制です。
耳が大きい理由は?確かめられたことと、確かめられなかったこと

「聴力のため」「体温調節のため」「洋猫の血が入っているから」という3つの説明を、猫を調べた論文で確かめました。耳の働きを調べた研究はありましたが、品種ごとの耳の大きさを比べて、聴力や暑さへの強さを調べた研究は、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。
2026年10月1日に、PubMedで、猫・耳介(耳の外側の部分)・耳の大きさ・品種・聴力・体温調節・耳の病気・子猫の耳と成猫のサイズを組み合わせた検索を数通り行い、ヒットした論文の題名を確認しました。PubMed以外は見ていないので、「存在しない」ではなく「見つからなかった」と書いています。
| よく言われる理由 | 確かめられたこと | 確かめられなかったこと |
|---|---|---|
| 聴力が優れている | 猫の可聴域は広い(48 Hz〜85 kHz)。方向の手がかりの一部は、耳の形で作られる | 耳が大きい品種ほど聴力が高い、という比較。「人の4倍」「8倍」の出典 |
| 体温調節のため | 眠っている猫の耳の皮膚温と気温を調べた研究が1本ある | 耳が大きい品種ほど暑さに強い、という比較 |
| 洋猫の血が入っているから | なし(中世の日本の絵巻にも描かれたとされるジャパニーズボブテイルは、CFAの標準で「大きい」) | 洋猫の血で耳が大きくなる、という話の出典 |
| 子猫の一時的な特徴 | 論文では、耳の寸法が頭の寸法より先に成猫の値に達した | 見た目の比率を測った研究(次の章。そこでの計算は私たちの推論) |
聴力|確かめられたのは「猫は聞こえる音の範囲が広い」こと
Heffnerらの1985年の研究は、2匹の猫の行動実験で、70 dB SPLの音に対する可聴域を48 Hz〜85 kHzと報告し、哺乳類の中で最も広いものの1つだとしています。これは猫という種の性質で、耳の大きさや品種の話ではありません。
ペット情報サイトでは、猫の聴力が「人の4倍」「人の8倍」と書かれていますが、数字がサイトごとに違い、何を基準にした倍数かも書かれていません。この記事では倍数を使いません。
耳の外側は、音の方向の手がかりをつくります。Musicantらの1990年の研究は、麻酔した猫の鼓膜の近くで音の大きさを測り、8〜18 kHzの領域に出る谷(切れ込み)が、主に耳の外側の音響特性によると報告し、方向を知る手がかりになりうると提案しました。耳の大きさの違う猫を比べた研究ではありません。
砂漠にすむスナネコの研究は、「耳が大きければ聴力がいい」という単純な図式への注意になります。Huangらの2002年の研究では、スナネコの耳の外側(耳介)の面積は飼い猫と同程度でしたが、耳道の寸法と中耳の空気の空間は、どちらも飼い猫の約2倍でした。2 kHz以下の音への感度は、飼い猫より約8 dB高いと推定されています。違いとして測られたのは、耳の外側の大きさではなく、耳道と中耳でした。野生のネコ科1種の研究なので、飼い猫の品種にあてはめることはできません。同じ研究グループのネコ科11種の測定(2000年)は、体の大きさが聴覚の特徴を部分的に説明すると報告していますが、これも耳の外側の大きさの話ではありません。
体温調節|「大きな耳から熱を逃がす」を品種で比べた研究は見つからず
AIの回答や解説記事では、大きな耳の表面から熱を逃がす、と説明されることがあります。猫の品種を耳の大きさで比べて、暑さへの強さを調べた研究は、見つかりませんでした。
見つかったのは、眠っている猫の耳の皮膚温を、さまざまな気温のもとで記録した古い研究(Parmeggianiら、1977年)です。要旨によると、いわゆるレム睡眠(fast wave sleep)のあいだは、寒いと耳の皮膚温が上がり、暑いと下がり、体温を保つ向きとは合いませんでした。耳の血管が体温調節に使われる場面を前提に、それが働かない状態を調べた研究と、私たちは読みました。大きな耳が熱を逃がすことを示した結果でも、耳の大きい品種が暑さに強いことを示した結果でもありません。
洋猫の血|出典は見つからず、日本由来の品種にも「大きい」がある
「洋猫は耳が大きい」と言い切る記事や回答は見かけますが、出典を示したものは、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。CFAの標準では、ジャパニーズボブテイルの耳は「大きい(large)」です。CFAの品種ページは、この品種が中世の日本の絵巻や版画にも描かれ、6世紀に朝鮮半島から渡ってきたと考えられている、と書いています。「日本の猫は耳が小さい」と単純には言えません。
耳が大きい雑種の猫の血筋を、耳の大きさから決めることもできません。見た目から品種や「何ミックスか」を言い切れない理由は、猫の雑種の記事にまとめています。
子猫の耳が大きく見えるのはなぜ?成長の測定データから考えたこと

論文で確かめられたのは、子猫の耳の寸法が、頭の寸法より先に成猫の値に達することです。「その間は、頭に対して耳が大きく見えるのではないか」というのは、その数字から私たちが考えた推論で、論文自体の主張ではありません。
TollinとKokaの2009年の研究は、聴覚が始まる生後約1.5週から成猫になるまで、猫の頭と耳(耳介)の寸法を測りました。要旨によると、頭の寸法は約2倍、耳の寸法は約2.5倍になり、成猫の値に達したのは、頭が約23週、耳が約16週でした。
次の表は、この数字から私たちが計算したものです(成猫を100として、1÷2と1÷2.5)。論文に載っている表ではありません。
| 時期 | 頭の寸法(成猫を100とする) | 耳の寸法(成猫を100とする) | 頭に対する耳の大きさ(私たちの計算) |
|---|---|---|---|
| 聴覚の開始(約1.5週) | 約50 | 約40 | 成猫の約0.8倍(耳が相対的に小さい) |
| 約16週(4か月弱) | 100未満(数字は要旨にない) | 100 | 成猫の比より大きくなりうる |
| 約23週(5か月強) | 100 | 100 | 成猫と同じ |
読むときの注意が3つあります。
- 音の伝わり方を調べた研究です。 頭と耳の寸法は、音の通り道との関係で測られていて、見た目の比率を論じたものではありません
- 要旨しか確認していません。 どの寸法を測ったのか、実験の猫の品種は、要旨に書かれていません。上の計算は、頭と耳の寸法の増え方を同じ尺度で比べられるという前提です
- 16週・23週は、成猫の値に達した時期の数字です。 途中の成長の様子は、要旨にありません
品種の標準にも、子猫の耳に触れたものがありました。CFAのベンガルの標準は、許容事項(ALLOWANCES)に「子猫は耳がやや大きい(Slightly larger ears in kittens)」と書いています。私たちが開いた24品種の標準で、子猫の耳に触れていたのはベンガルだけです。
「耳の大きい子猫は大きく育つ」という話も目にしますが、子猫の耳の大きさと成猫のサイズ(体重)を結びつけた論文は、PubMedの検索では見つかりませんでした。保護した子猫の耳が大きく見えるときも、耳の大きさだけで血筋や将来の姿を決めることはできません。
耳が小さい・丸い猫の種類|エキゾチックは「小さい」、ブリティッシュは「中くらい」

CFAの原文で耳が「小さい(small)」と書かれているのは、エキゾチックショートヘアとペルシャで、記述は同じ文章です。ブリティッシュショートヘアは「中くらい」で、小さいとは書かれていませんが、先が丸く、丸い頭の輪郭におさまる付き方で、付き方が重要(ear set is important)とされています。
| 段階(原文の言葉) | 品種 | 耳の記述(原文の要点) | 当キャッテリー |
|---|---|---|---|
| 小さい(small) | エキゾチックショートヘア・ペルシャ | 先が丸く、前に傾き、根元は開きすぎない。離れて、頭の低い位置に付き、丸い頭の輪郭におさまる | エキゾチックは取扱あり。ペルシャは定期的には繁殖していませんが、ごくまれに生まれます |
| 中〜小(medium to small) | ベンガル | 根元が広く、先が丸いのが望ましい。離れて付く。房状の飾り毛は望ましくない | 取扱外 |
| 中(medium) | ブリティッシュショートヘア | 根元が広く、先が丸い。離れて付き、丸い頭の輪郭におさまる。付き方が重要 | 取扱あり |
「耳が小さい」が、品種によっては欠点になることにも注意してください。シンガプーラの標準は、小さい耳を重大な欠点と書いています。「耳が小さい」ことが理想の品種と、欠点の品種があります。エキゾチックとブリティッシュの違いは、ブリティッシュショートヘアとエキゾチックショートヘアの違いの記事にあります。
耳の形が変わる品種(折れ耳・カール)は、大きさとは別の話
スコティッシュフォールドの折れ耳やアメリカンカールの巻き耳は、耳の大きさではなく、耳の形が変わる品種です。「耳の形」で調べて、この2つにたどり着く飼い主さんもいます。
CFAの読み物によると、スコティッシュフォールドの折れ耳は、耳の軟骨に起きた突然変異で、優性遺伝です。折れ耳にする遺伝子は、骨と軟骨の発育にも影響しうると書かれていて、折れ耳どうしの交配は勧められないとされています。耳が折れないストレート耳の子も生まれ、CFAは2022年にストレート耳を競技に迎えました。この読み物が引用する標準では、折れ耳は「小さい」、ストレート耳は「中〜小」と書かれています。当キャッテリーは折れ耳の品種を取り扱っておらず、おすすめもしていません。健康面はスコティッシュフォールドのかかりやすい病気にまとめています。
同じ読み物によると、耳の配点は、ストレート耳のスコティッシュフォールドで25点、アメリカンカールで30点で、この記事で比べた24品種の4〜15点より大きくなっています。アメリカンカールについて、読み物は、耳の巻きに由来する遺伝的な影響のない、とても健康な品種だと書いています。これはCFAの記述で、私たちが独自に確かめたものではありません。それ以外の根拠は、この記事では調べていません。
耳が大きい猫は耳の病気になりやすい?
耳が大きい猫がなりやすい病気を書いた記事はありますが、耳の大きさや品種を比べて、耳の病気の多さを調べた研究は、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。
耳の病気の割合を調べた研究は、次の2つがありました。どちらも耳の大きさや品種は比べていません。
| 研究 | 調べた猫 | 結果(要旨より) |
|---|---|---|
| Peregoら(2014年) | 北イタリアで捕獲された野良猫187頭 | 細胞診で外耳炎の所見があったのは55.1%。外耳炎全体では、年齢・性別・生息環境・季節に危険因子は見つからず(マラセチアが関わるものでは、都市の生息環境と冬が危険因子)。耳ダニ(単独または他の原因との組み合わせ)が外耳炎の主な原因だった割合は53.3% |
| Tylerら(2020年) | 英国(イングランドとウェールズ)の保護施設の猫と専門病院の症例(要旨では検査頭数が332頭、割合の分母が341頭と書かれている) | 耳ダニは341頭中3頭(0.9%)。マラセチア(酵母様の真菌)は341頭中129頭(37.8%) |
耳の病気は、耳の大きさに関わらず、日ごろの観察で気づけます。耳の中が赤い、黒っぽい耳垢が多い、においがする、頭を振る、耳を掻く、片耳だけ下がったままなどの様子があるときは、動物病院に相談してください。ふだんの見方・お手入れ・耳が熱いときの見分け方は耳掃除の記事に、片耳が下がったままの見分け方はイカ耳の記事にあります。
当キャッテリーの子猫は、獣医師の健康診断(視診・触診・聴診。獣医師が診断書を発行)を受けてからお迎えになります。耳の病気が気になるときの詳しい診断は、かかりつけの動物病院にご相談ください。
よくある質問
Q. 耳が大きい猫はどの品種ですか?
私たちが開いたCFAの標準で、耳が「際立って大きい」とされるのは、シャム・オリエンタル・バリニーズ・カラーポイントショートヘア・デボンレックスです。「大きい」は、スフィンクス・アビシニアン・ソマリ・コーニッシュレックス・シンガプーラ・メインクーン・ターキッシュアンゴラ・ジャパニーズボブテイルなどです。当キャッテリーの取扱品種では、「中〜大」のサイベリアンとノルウェージャンフォレストキャットが近い品種です。
Q. 子猫の耳が大きいのはなぜですか?
子猫を調べた論文(TollinとKoka、2009年)では、耳の寸法は約16週、頭の寸法は約23週で成猫の値に達しました。耳のほうが先に成猫の大きさになるため、その間は頭に対して耳が大きく見えるのではないかと、私たちは考えています(数字からの推論で、論文の主張ではありません)。耳の大きさから将来の姿を予測できるという公表データは、見つかりませんでした。
Q. 耳が大きい猫は聴力が優れていますか?
猫の可聴域は、70 dB SPLの音で48 Hz〜85 kHzと広いと報告されています(2匹の実験)。ただし、これは猫という種の性質です。耳の大きい品種ほど聴力が高いという研究は、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。「人の4倍」「8倍」などの倍数は、出典のないものが目立つので使いません。
Q. 耳が大きい猫は暑さに強いですか?
「大きな耳から熱を逃がす」という説明は見かけますが、耳の大きさが違う品種を比べて、暑さへの強さを調べた研究は、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。あるのは、眠っている猫の耳の皮膚温を調べた古い研究だけです。耳の大きさを理由に、暑さ対策を減らさないでください。
Q. 耳が大きい雑種の猫は、洋猫の血が入っていますか?
耳の大きさだけでは決められません。「洋猫の血で耳が大きくなる」という話に出典は見つかりませんでした。CFAの標準では、中世の日本の絵巻にも描かれたとされるジャパニーズボブテイルも、耳が「大きい」と書かれています。
Q. 耳がでかい猫みたいな動物(サーバルなど)は飼えますか?
サーバルとカラカルは、動物愛護管理法の特定動物(環境省のリスト)で、飼養・保管には、都道府県知事(政令市は市長)の事前の許可が必要です(埼玉県の案内)。家庭で気軽に飼える猫ではありません。愛玩目的での飼養の扱いは確認していません。当キャッテリーは取り扱っていません。
Q. 耳が小さい猫はどの品種ですか?
私たちが開いたCFAの標準で、耳が「小さい」とされるのは、エキゾチックショートヘアとペルシャです。ブリティッシュショートヘアは「中くらい」ですが、先が丸く、頭の丸い輪郭におさまる付き方です。ベンガルは「中〜小」です。
Q. 耳が長い猫はどの品種ですか?耳は何cmですか?
CFAの標準に、耳の長さをcmで示した記述は、私たちが開いた24品種にはありませんでした。「長い」と感じる耳は、耳先の飾り毛が目立っていることもあります。CFAの読み物は、メインクーンの耳先の飾り毛が、長いもので1インチ(約2.5cm)以上になることがあると書いています。
まとめ
耳が大きい猫の代表は、CFAの標準で「際立って大きい」シャム・オリエンタル・デボンレックスなどで、「大きい」はアビシニアン・シンガプーラ・メインクーンなどです。標準は大きさだけでなく、付き方や根元の幅も見ています。耳が大きい理由は、聴力・体温調節・洋猫の血のどれも、品種で比べた研究は見つかりませんでした。子猫の耳は、論文の数字から見ると頭より先に成猫の大きさになるので、頭に対して大きく見える時期があるのではないか、と私たちは考えています。
耳が大きい猫を探している飼い主さんには、当キャッテリーの取扱品種ではサイベリアンとノルウェージャンフォレストキャットがいちばん近い品種です。子猫一覧で、今いる子を見てください。見学は事前予約制です。
出典
以下は2026年10月1日に、記載のURLを開いて内容を確認したものです。論文は要旨のみ、CFAの標準はPDFの本文(耳の記述と配点表)を確認しました。標準の日本語訳は私たちの訳です。
- Tollin DJ, Koka K. "Postnatal development of sound pressure transformations by the head and pinnae of the cat: monaural characteristics." J Acoust Soc Am. 2009;125(2):980-994. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19206874/ ※要旨を確認
- Heffner RS, Heffner HE. "Hearing range of the domestic cat." Hear Res. 1985;19(1):85-88. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/4066516/ ※要旨を確認
- Musicant AD, Chan JC, Hind JE. "Direction-dependent spectral properties of cat external ear: new data and cross-species comparisons." J Acoust Soc Am. 1990;87(2):757-781. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2307774/ ※要旨を確認。麻酔した猫での測定
- Huang GT, Rosowski JJ, Ravicz ME, Peake WT. "Mammalian ear specializations in arid habitats: structural and functional evidence from sand cat (Felis margarita)." J Comp Physiol A. 2002;188(9):663-681. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12397438/ ※要旨を確認。野生のネコ科1種の研究
- Huang GT, Rosowski JJ, Peake WT. "Relating middle-ear acoustic performance to body size in the cat family: measurements and models." J Comp Physiol A. 2000;186(5):447-465. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10879948/ ※要旨を確認。ネコ科11種(野生種を含む)の中耳の測定
- Parmeggiani PL, Zamboni G, Cianci T, Calasso M. "Absence of thermoregulatory vasomotor responses during fast wave sleep in cats." Electroencephalogr Clin Neurophysiol. 1977;42(3):372-380. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/65272/ ※要旨を確認。1977年の研究
- Perego R, Proverbio D, Bagnagatti De Giorgi G, Della Pepa A, Spada E. "Prevalence of otitis externa in stray cats in northern Italy." J Feline Med Surg. 2014;16(6):483-490. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24226755/ ※要旨を確認
- Tyler S, Swales N, Foster AP, Knowles TG, Barnard N. "Otoscopy and aural cytological findings in a population of rescue cats and cases in a referral small animal hospital in England and Wales." J Feline Med Surg. 2020;22(2):161-167. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30880543/ ※要旨を確認
- Cat Fanciers' Association「The Ears Have It」(Liz Watson、2026年2月26日。配点の見方、折れ耳・カール、メインクーンの飾り毛、ペルシャの耳)https://cfa.org/cat-talk/the-ears-have-it/
- Cat Fanciers' Association「Japanese Bobtail」(品種ページ。中世の絵巻や版画に描かれ、6世紀に朝鮮半島から渡ってきたと考えられている)https://cfa.org/breed/japanese-bobtail/
- 環境省「特定動物リスト」(ねこ科にサーバル・カラカルが載っている)https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/sp-list.html
- 埼玉県「特定動物(危険な動物)とは」(飼養・保管には都道府県知事または政令市の長の事前の許可が必要)https://www.pref.saitama.lg.jp/a0706/doubutu-touroku/tokutedoubutu.html
- Cat Fanciers' Association 品種標準(Show Standard)PDF 24品種。括弧内は各PDFに書かれた改訂年です。
※ 記事内の画像はイメージです。実際にお迎えいただける子猫の写真は子猫一覧でご覧いただけます。







