
目次ひらく(全11章)
この記事の要点:シャム猫に似た猫は、色・体型・血筋の3種類に分けられます。「シャム猫もどき」は品種名ではなく、ポイント柄の雑種の通称です。ポイント柄は遺伝で出ますが、体型や性格は別に決まります。「シャム猫に似た猫」と検索すると、品種名を10種類ほど並べて終わる記事が多く、「何が似ていて、何が似ていないのか」までは書かれていません。この記事では、似ているところを「色」「体型」「血筋」に分けて、遺伝子の論文と猫の血統登録団体の品種基準を実際に開いて確かめました(2026年10月1日時点)。
Flowens Catはラグドールを含む9品種を扱う純血種専門のキャッテリーで、シャム猫は取り扱っていません。シャム猫を売り込む立場ではないので、「シャム猫もどき(シャム猫みたいな雑種)」を見かけた飼い主さんにも、似た品種を探している飼い主さんにも、確かめられたことと確かめられなかったことを分けて書きます。
シャム猫に似た猫は「色・体型・血筋」のどれが似ている?3つの軸で整理

結論から言うと、シャム猫に似て見える猫は「ポイント柄の色が同じ猫」と「シャム型の体つきが同じ猫」に分かれ、この2つは別の話です。色が同じ品種は複数ありますが、体つきまでシャムに近い品種は多くありません。
ポイント柄とは、顔・耳・足先・しっぽだけが濃く、体は淡い色になる柄で、目は青くなります(OMIA)。「シャム猫もどき」「シャム猫みたいな雑種」は品種名ではなく、このポイント柄をもつ雑種(ミックス)の通称です。
次の表は、シャム猫とよく挙がる猫を、色・体型・毛の長さで並べたものです。体型は、米国の猫の血統登録団体CFA(Cat Fanciers' Association)の品種ページの表現にそって、数字ではなく言葉で比べています。体重や寿命の数字は、この記事では比べません。
| 猫 | 色(ポイント柄) | 体型 | 毛の長さ | 当キャッテリー |
|---|---|---|---|---|
| シャム猫 | ポイント柄 | 細く長い体、長いくさび形の頭(CFA) | 短毛 | 取扱外 |
| オリエンタル | ポイント柄なし | シャム型(CFAは「ポイント模様のないシャム型の猫」と説明) | 短毛・長毛 | 取扱外 |
| トンキニーズ | シャムとバーミーズの中間の色(ミンク) | 細長すぎもずんぐりもしない、中間の体型の中型(CFA) | 短毛 | 取扱外 |
| ラグドール | 全頭がポイント柄(CFA) | 大きめの頭、重い骨格、長方形の体(CFA) | 中長毛 | 取扱あり |
| バーマン | ポイント柄に白い手袋 | 長めでがっしり(CFA) | 中長毛〜長毛 | 取扱外 |
| ヒマラヤン | ポイント柄(CFAではペルシャの色の区分の1つ) | ペルシャと同じ、脚が短くがっしりした体(CFA) | 長毛 | 取扱外 |
| バリニーズ | ポイント柄 | シャム型の細身 | 長毛 | 取扱外 |
| ネヴァマスカレード | ポイント柄 | サイベリアンと同じ | サイベリアンと同じ | サイベリアンは取扱あり |
| 雑種のシャム柄 | ポイント柄 | 猫ごとにさまざま | 猫ごとにさまざま | 雑種は取扱外 |
- 色が同じ:ラグドール、バーマン、ヒマラヤン、バリニーズ、ネヴァマスカレード。ポイント柄を出す同じ遺伝子(cs)が関わります。OMIAは、シャム・バーマン・ヒマラヤンはこの遺伝子で固定されていると記しています。
- 体型が同じ:オリエンタルとバリニーズです。オリエンタルは色が違うのに体つきはシャム型、というタイプで、シャムの見た目を体つきで探している飼い主さんはここに当たります。
- 血筋が近い:ヒマラヤンはペルシャにシャムのポイント柄を取り入れて作られた品種です(ペルシャとヒマラヤンの違い)。トンキニーズはシャムとバーミーズの血を引きます(トンキニーズの記事)。バリニーズは、シャムの子猫に混じって生まれた長毛の猫から別の品種になりました(後の章で説明します)。
色が同じでも、体つきは対照的です。CFAはシャムを「細く長い体」「長いくさび形の頭」、ラグドールを「重い骨格」「長方形の体」と説明しています。同じ色の猫を並べても、受ける印象はかなり違います。
ポイント柄はなぜ出る?体の温度で色の出る場所が決まる仕組み

ポイント柄は、色素をつくる酵素が体の温かい場所では働かず、温度の低い耳・鼻先・足先・しっぽでだけ働くために出ます。
この酵素はチロシナーゼで、設計図にあたる遺伝子がTYRです。米国UC DavisのLyonsら(2005年)が、シャム猫のポイント柄に対応するTYRの変異を特定しました。雑種を含む200頭超・12品種を調べ、ポイント柄の猫は全頭がこの変異を2つ持っていました。別の研究チームのSchmidt-Küntzelら(2005年)も、同じ遺伝子の変異がシャム型の原因だと示しています。
体の場所と色の関係を整理すると、次のようになります。
| 体の場所 | 温度 | チロシナーゼ | 毛の色 |
|---|---|---|---|
| 胴・背中など体の中心 | 高い | 働かない | 白〜淡い色 |
| 耳・鼻先・足先・しっぽ | 低い | 働く | 濃い色 |
子猫がほぼ白で生まれるのも、同じ仕組みです。csを2つ持つ子猫は、母猫のおなかの中で全身が均一に温められ、酵素がずっと抑えられるため、ほぼ白で生まれます(Górskaら)。目が青いのも、色素がつくられないことの表れです(OMIA。目の青さの仕組みは青い目の猫の記事)。
遺伝子の記号は、シャムの頭文字をとって「cs」と書きます。完全なアルビノの「c」とは別の対立遺伝子で、OMIAは優先順位を「C > cb = cs > c」としています。csは劣性で、両親から1つずつ受け継いだときにだけ現れます。
季節についても触れておきます。温度が低いところで色が出る仕組みなので、体の表面が冷える冬は濃く、暑い季節は薄くなる方向に働くと考えられます。ただし、季節ごとの濃さを測った研究は、私たちが調べた範囲では確認できませんでした。
別々の品種で同じ変異が見つかったことも、Lyonsらは指摘しています。ヒマラヤンの家系を含む複数の品種で同じ変異が見つかったため、ポイント柄は品種ごとに別々に生まれたのではなく、共通の祖先に由来する可能性が高いと述べています。
シャム猫みたいな雑種はなぜ生まれる?「シャム猫もどき」と遺伝の組み合わせ

シャム猫みたいな雑種が生まれるのは、ポイント柄のもとになる遺伝子(cs)が劣性で、見た目に出ないまま親から子へ受け継がれるためです。csは「両親から1つずつ受け継いだときだけ」ポイント柄として現れます。見た目は普通でもcsを1つ持つ猫(保因猫)がいて、保因猫どうしの間では、平均して4頭に1頭がポイント柄になります。
親の組み合わせごとの割合は次のとおりです。いずれも「平均すると」の話で、1回の出産で生まれる数頭では、ばらつくのが普通です。
| 親の組み合わせ | ポイント柄の子 | csを1つ持つ子(見た目は普通) |
|---|---|---|
| 保因猫 × 保因猫 | 平均4頭に1頭 | 平均2頭に1頭 |
| 保因猫 × ポイント柄の猫 | 平均2頭に1頭 | 残りの全頭 |
| ポイント柄 × ポイント柄 | 全頭 | なし |
| ポイント柄 × csを持たない猫 | なし | 全頭 |
| 保因猫 × csを持たない猫 | なし | 平均2頭に1頭 |
「どれくらいの猫がcsを持っているのか」を、日本の猫について示した公表データは、私たちが調べた範囲では見当たりませんでした。「日本の猫の◯%が持つ」と書く記事もありますが、出典を示したものは確認できていません。参考になるのは、米国ミネソタ州のミネアポリスとセントポールの猫を調べたKleinら(1986年)で、csの頻度(その集団のcsの割合)を0.214と推定しています。同じ要旨には、シャム柄の猫がかなりの数見つかり、その猫たちは集団の中に長い歴史がある、とも書かれています。ただし1986年の米国の2つの都市の数字で、日本の猫の数字ではありません。
この0.214を0.2に丸めて、仮定の計算をしてみます。実測ではなく、考え方の例です。猫がランダムに交配している集団なら、100頭が生まれたときの内訳は次のようになります。
| 内訳 | 計算 | 100頭あたり |
|---|---|---|
| シャム柄(csを2つ) | 0.2 × 0.2 | 4頭 |
| 見た目は普通の保因猫(csを1つ) | 2 × 0.2 × 0.8 | 32頭 |
| csを持たない猫 | 0.8 × 0.8 | 64頭 |
ただし、現実の猫は、この計算のようにランダムには交配していません。都市の野良猫の9つの群れを調べたSayら(2003年)は、毛色の遺伝子の頻度が群れの間で大きく違い、その様子は、よそから来た猫を激しく排除する・近親交配が起きる・移動が非常に少ない、という群れの社会構造から予想されるものと合っていた、と報告しています。地域や群れごとに、csの多さが大きく違っても不思議ではありません。ただし、この論文の要旨にcsの名前は出てこないので、csだけの結果かどうかは分かりません。
日本でシャム柄の雑種が見られる経緯として、かつてのシャム猫の人気や、避妊去勢が進んでいなかったことを理由に挙げる記事があります。ただ、これを裏づける公表データは見当たらず、年代の書き方も記事ごとに食い違っていました。確かに言えるのは、csが劣性なので、見た目に出ないまま何世代も受け継がれうる、というところまでです。
最後に、見分け方の限界です。ポイント柄に見えるのに目の青さがはっきりしない猫は、csを2つ持つ猫とは別の組み合わせかもしれません。たとえばトンキニーズのミンクは、cbとcsを1つずつ持つ組み合わせです(OMIA)。ただ、見た目から見分けたときの的中率を示す公表データは確認できていないので、見た目だけで決めることはできません(猫の雑種の記事でも同じ点を整理しています)。
シャム猫に似た長毛の猫|バリニーズと「ポイント」「毛の長さ」は別々に決まる

毛が長くてシャム柄の猫は、「ポイント柄の遺伝子」と「長毛の遺伝子」の両方がそろった猫です。2つは別の遺伝子で、どちらも両親から1つずつ受け継いだときにだけ現れます。
- ポイント柄:TYR遺伝子(染色体D1。Schmidt-Küntzelら、2005年)
- 毛の長さ:FGF5遺伝子(染色体B1)。26品種などを調べたKehlerら(2007年)は、4つの独立した変異が、劣性の遺伝(両親から1つずつ受け継ぐと現れる)で長毛を決めると報告しました
Drögemüllerら(2007年)も、長毛は短毛に対して劣性だとしています。同じ変異を2つ持つ長毛の猫として、ソマリ・ペルシャ・メインクーン・ラグドール・雑種で確認されました。
純血種の「長毛のシャム」にあたるのが、バリニーズです。CFAのバリニーズのページには、長毛の遺伝子は劣性なので、1900年代初頭からシャムの子猫に長毛の猫が生まれていた、と書かれています。1940年代に、シャムのブリーダーが別の品種として育て始めました。長毛のシャムは、突然変異で急に現れたのではなく、昔からシャムの子猫に混じって生まれていた猫から始まっています。
2つの遺伝子は別の染色体にあるので、それぞれ独立して受け継がれます。仮に、両親が両方の遺伝子を1つずつ持つ猫どうしだったとすると、子が「長毛のシャム柄」になるのは、平均して16頭に1頭(4分の1 × 4分の1)です。これも考え方の例です。長毛のシャム柄は、ポイント柄の猫のうち、さらに長毛の組み合わせをもった猫なので、ポイント柄の猫全体より多くなることはありません。
当キャッテリーのミヌエットでも、同じ一腹から長毛タイプと短毛タイプが混ざって生まれることがあります。同じ両親の兄弟で毛の長さが違う、という場面は、ブリーダーとして日々の繁殖で目にしています(毛の長い猫の種類の記事で詳しく書いています)。
そのほかの長毛でポイント柄の猫も、同じ組み合わせです。ヒマラヤンは、CFAではペルシャの7つの色の区分の1つ(ポイント柄のペルシャ)として扱われます。バーマンの白い手袋は、ポイント柄とは別の「バイカラー遺伝子」によるとCFAは説明しています。
色が同じなら性格も似る?5,726頭の調査で確かめた
ポイント柄と性格を結びつけた研究は、私たちが調べた範囲では見当たりませんでした。同じポイント柄の遺伝子を持つ品種どうしでも、気質の調査では別々のグループに入っています。
「ポイント柄の猫は甘えん坊でおしゃべり」と書く記事は多いのですが、読み比べた範囲では、根拠となる研究を示したものはありませんでした。念のため、2026年10月1日にPubMedで「cat coat colour behaviour」を検索すると51件がヒットしました。51件の題名をすべて確認し、毛色と行動に関係する4件は要旨も読みましたが、ポイント柄を扱う論文は見当たりませんでした。「colorpoint cats behavior temperament」の検索は0件でした。全文まで読んだわけではないので、「無い」とは言い切らず「見当たらなかった」と書いています。
代わりに確かめられるのが、フィンランドの研究チームのSalonenら(2019年)です。飼い主アンケートの5,726頭を、品種と品種グループ19に整理して解析し、気質は4つのグループに分かれました。
| 品種 | ポイント柄の遺伝子 | 気質のグループ(Salonenら) |
|---|---|---|
| ラグドール | 全頭が持つ(CFA) | 攻撃性・外向性・恐怖性が最も低いグループ |
| バーマン(論文の表記はSaint Birman) | 固定(OMIA) | 同上 |
| シャム・バリニーズ・オリエンタル・セイシェルワ | シャムとバリニーズは持つ。オリエンタルは色が違う | 別のグループ(ORI群) |
読むときの注意が3つあります。
- シャム単独の結果ではない:ORI群は、シャム・バリニーズ・オリエンタル(短毛・長毛)・セイシェルワ(短毛・長毛)を束ねて解析されています
- 飼い主へのアンケート:著者自身が、気質を測る方法の検証はこれからだと書いています
- 原因までは分からない:この調査は、ポイント柄を要因として解析したものではありません
ポイント柄の遺伝子を持つラグドール・バーマンと、シャムを含むORI群が別のグループに入っている以上、柄だけで気質を言い切ることはできない、と私たちは読んでいます(当方の読みです)。気質が近かったのは、柄が同じ品種ではなく、系統が同じ(東洋系)品種どうしだった、とも読めます。ただし、そこまでは調査が確かめたことではありません。
当キャッテリーは、性格には柄よりも品種や個体差のほうが大きく影響すると考えています(考えであって、数字で示せるデータではありません)。シャムの気質の詳しい内容はシャム猫の性格の記事で、同じ調査の数字を使って整理しています。
ラグドールはシャム柄の遺伝子を持つ雑種から作られた品種

ラグドールは、1960年代の米国で、ポイント柄の遺伝子を持つ白い長毛の雑種などから作られた品種です。「雑種にシャム柄が出る」ことと「ラグドールがポイント柄」であることは、同じ遺伝子でつながっています。
CFAのラグドールのページによると、ラグドールは1960年代に、カリフォルニア州リバーサイドのブリーダー、アン・ベイカーが、慎重に選んだ長毛の雑種(domestic longhairs)から作りました。土台になった猫のジョセフィーンは、「カラーポイント遺伝子を持つ白い長毛の雑種」でした。
CFAのラグドールの記述で、シャム柄との近さに関わる点は次のとおりです。
- 全頭がカラーポイント遺伝子を持ち、体はいつも頭・足・しっぽより淡い色になる
- 4つのパターンのうち3つは、バイカラー遺伝子も持つ。ミテッド・バイカラー・バンのパターンでは、ポイントの一部に白が重なる
- 瞳は鮮やかなブルー
- ゆっくり成長する猫で、完全な毛色になるのは2歳、体の大きさと体重が完成するのは4歳
当キャッテリーの子猫ページに出る毛色名にそって、シャム柄との近さを整理します。
| パターン | 毛色名の例 | 見た目 | シャム柄との近さ |
|---|---|---|---|
| カラーポイント | シールポイント、ブルーポイント | 顔・耳・足・しっぽが濃く、体は淡い。白は入らない | いちばん近い |
| ミテッド | シールポイントミテッド | ポイント柄に、足先の白が加わる | 近いが、白が加わる |
| バイカラー | シールポイントバイカラー、ブルーポイントバイカラー | ポイント柄に、顔の逆V字の白などが加わる | 近いが、白が加わる |
ポイント柄の子猫に出会える品種|当キャッテリーの掲載で確かめた

ポイント柄の子猫を探すなら、当キャッテリーではラグドールです。ラガマフィンとサイベリアンは、ポイント柄を目当てに選ぶ品種ではありません。
2026年10月1日に、3品種のページに載っている子猫の毛色名を確かめた結果は、次のとおりです。在庫は日々変わるので、頭数は書きません。お探しのときの掲載を、子猫一覧で確認してください。
| 品種 | ポイント柄 | 2026年10月1日の掲載で確かめたこと |
|---|---|---|
| ラグドール | 品種として全頭(CFA) | 毛色名は、シールポイントバイカラー、ブルーポイントバイカラー、シールポイントミテッド、シールポイント、ブルーポイントでした |
| ラガマフィン | CFAは「ポイントを除くすべての色」と紹介 | ポイント系の毛色名は、ごく一部でした。ポイント柄を目当てに選ぶ品種ではありません |
| サイベリアン | 毛色の1つにポイント柄(ネヴァマスカレード)がある | ポイント柄の毛色名は、掲載にありませんでした |
ラガマフィンは、CFAが「ラグドールの歴史と深く結びついている」と説明する品種です。CFAのラガマフィンのページは、ポイントの猫を「繁殖専用で、ショーには出せない」扱いと書いています。ほかの団体の扱いは確認していません。ポイント柄が目当てなら、ラグドールのほうが選びやすい、というのが当キャッテリーの見方です。
サイベリアンのポイント柄は「ネヴァマスカレード」(ネバマスカレードと書かれることもあります)と呼ばれます。Górskaら(2026年)によると、名前は、サンクトペテルブルクを流れるネヴァ川と、顔のポイントが作る「仮面(マスク)」の見た目に由来します。サイベリアンとネヴァマスカレードは遺伝子のプールが同じで、csが現れるかどうかの違いです。FIFe・ACF・CCCAは別の姉妹品種として扱い、ほかの多くの団体は同じ品種とみなしています。通常の色の猫とポイント柄の猫の交配は認められています。当キャッテリーのサイベリアンのページには、ネヴァマスカレードは「生まれる頭数が少なく高値になりやすい」とだけ書いています。
ポイント柄の子猫を迎えるときに、知っておきたいことが2つあります。
- 子猫のうちは色が変わっていく:ラグドールが完全な毛色になるのは2歳です(前の章)。特に生後3か月ごろまでは変化の途中なので、将来の色が気になるときは、見学のときに聞いてください
- 毛色の遺伝子検査はしていない:当キャッテリーが行っている遺伝子検査は、繁殖に使う親猫のものだけです。子猫個体への検査も、ポイント柄の濃さを調べる検査も行っていません。「将来どのくらいの濃さになりますか」には、成長を見守っていただくしかない、というのが正直なお答えです
シャム・トンキニーズ・バーマン・ヒマラヤン・バリニーズは取り扱っていません。ペルシャは定期的には繁殖していませんが、ごくまれに生まれることがあります。それぞれの内容は、シャム猫の性格、シャム猫の値段、トンキニーズ、バーマンの性格、ペルシャとヒマラヤンの違いで解説しています。見学を考えるときは、事前予約制です(お迎えの流れ)。
雑種のシャム柄の猫を迎えたいときは|見た目が似ていても血筋は別の話
雑種のシャム柄の猫を迎えるなら、「シャム猫の血が入っているか」よりも、「どこから来た猫か」と「いまの健康状態」を確かめることが大切です。雑種に優劣はありません。
Flowens Catは純血種専門で、雑種の猫は取り扱っていません。自治体の譲渡、保護団体や里親募集、見つけた猫を迎える道については、猫の雑種の記事と猫の里親とブリーダーの違いにまとめています。この記事の内容から言えるのは、次の2つです。
- 見た目が似ていても、血筋は別の話:シャム柄に見える猫が、シャム猫の血を引いているとは限りません。csは、雑種の猫にも、見た目に出ないまま受け継がれうる遺伝子です
- 白っぽい子猫の将来の柄は、成長を待たないと分からないことがある:白い子猫の見分けは青い目の猫の記事で整理しています。迎えたあとは、かかりつけの動物病院で、年齢の見立てと健康を必ず相談してください
よくある質問
Q. シャム猫に似た猫の種類は?
色(ポイント柄)が同じなのは、ラグドール・バーマン・ヒマラヤン・バリニーズ・ネヴァマスカレードです。体型がシャム型なのはオリエンタルとバリニーズ、血筋が近いのはトンキニーズとヒマラヤンです。「似ている」の中身が違うので、色・体型・毛の長さを並べた表で比べるのが確実です。
Q. シャム猫みたいな雑種はいますか?「シャム猫もどき」とは何ですか?
います。「シャム猫もどき」は品種名ではなく、ポイント柄をもつ雑種の通称です。ポイント柄の遺伝子(cs)は劣性で、両親から1つずつ受け継ぐと出ます。見た目が普通でもcsを持つ猫がいるため、キジトラの兄弟にシャム柄が混じることもあります。ただし見た目が似ていても、シャム猫の血筋とは限りません。
Q. 長毛のシャム猫はいますか?
純血種ではバリニーズが「長毛のシャム」にあたります。CFAによると、長毛の遺伝子が劣性のため、1900年代初頭からシャムの子猫に長毛の猫が生まれ、1940年代に別の品種として育て始められました。雑種でも、ポイント柄と長毛の両方がそろえば現れます。2つは別の遺伝子です。
Q. シャム柄の猫は、成長すると色が変わりますか?
変わります。csを2つ持つ子猫はほぼ白で生まれ(Górskaら、2026年)、成長とともに耳・鼻先・足先・しっぽに色が出ます。Górskaらの論文には、ポイント柄のサイベリアン1頭を、生後1日・5週・14週・7か月で撮った写真が載っています。ただし、色が出る時期や落ち着く時期の公的な数値は確認できませんでした。CFAは、ラグドールが完全な毛色になるのは2歳と書いています。
Q. ラグドールとシャム猫は何が違いますか?
ポイント柄は同じ遺伝子の仲間ですが、体型と気質の調査での位置が違います。CFAは、シャムを細く長い体、ラグドールを骨格が重い長方形の体と説明しています。気質の調査(Salonenら、2019年)では、ラグドールは攻撃性・外向性・恐怖性が最も低いグループでした。シャムを含むORI群は別のグループで、シャム単独の結果ではありません。
Q. トンキニーズとシャム猫は何が違いますか?
シャムはcsを2つ持つ猫で、ポイント柄になります。トンキニーズのミンクは、cbとcsを1つずつ持ち、毛色がシャムとバーミーズの中間になります(OMIA)。詳しくはトンキニーズの記事をご覧ください。
Q. ポイント柄の猫は、甘えん坊でおしゃべりですか?
「ポイント柄の猫は甘えん坊でおしゃべり」と書く記事は多いのですが、ポイント柄と性格を結びつけた研究は、私たちが調べた範囲では見当たりませんでした。気質の調査(Salonenら、2019年)では、同じポイント柄の遺伝子を持つラグドールとバーマンが、シャムを含むORI群とは別のグループに入っています。柄だけで性格は言い切れない、と私たちは読んでいます(当方の読みです)。
まとめ
シャム猫に似た猫は、色が同じ猫、体型が同じ猫、血筋が近い猫の3種類に分けられます。ポイント柄は同じ遺伝子(cs)で出ますが、体型・毛の長さ・性格は別々に決まり、柄から性格を言い切る根拠は見つかりませんでした。雑種にシャム柄が出るのは、csが劣性で、見た目に出ないまま受け継がれるためです。
ポイント柄の子猫に会いたい飼い主さんは、ラグドールの品種ページと子猫一覧をご覧ください。子猫一覧の毛色名で、ポイント柄の子を確認できます。
出典
以下は2026年10月1日に、記載のURLを開いて内容を確認したものです。論文は、要旨のみを確認したものと、全文を確認したものを分けて書いています。
- Lyons LA, Imes DL, Rah HC, Grahn RA. "Tyrosinase mutations associated with Siamese and Burmese patterns in the domestic cat (Felis catus)." Anim Genet. 2005;36(2):119-126. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15771720/ ※要旨を確認
- Schmidt-Küntzel A, Eizirik E, O'Brien SJ, Menotti-Raymond M. "Tyrosinase and tyrosinase related protein 1 alleles specify domestic cat coat color phenotypes of the albino and brown loci." J Hered. 2005;96(4):289-301. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15858157/ ※要旨を確認
- OMIA(Online Mendelian Inheritance in Animals)「OMIA 000202-9685」(猫のTYR関連、遺伝様式は常染色体劣性、シャム・バーマン・ヒマラヤンはcsで固定) https://www.omia.org/OMIA000202/9685/
- Górska A, Zieniuk B, Wojciechowska M. "Colour Variants in Siberian Cats: A Comprehensive Review of Phenotype, Genetics, and Breed Registry Standards." Genes (Basel). 2026;17(2):208. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41751592/ ※PMCの全文(https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12941195/)を確認
- Kehler JS, David VA, Schäffer AA, et al. "Four independent mutations in the feline fibroblast growth factor 5 gene determine the long-haired phenotype in domestic cats." J Hered. 2007;98(6):555-566. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17767004/ ※要旨を確認
- Drögemüller C, Rüfenacht S, Wichert B, Leeb T. "Mutations within the FGF5 gene are associated with hair length in cats." Anim Genet. 2007;38(3):218-221. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17433015/ ※要旨を確認
- Salonen M, Vapalahti K, Tiira K, et al. "Breed differences of heritable behaviour traits in cats." Sci Rep. 2019;9:7949. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31138836/ ※PMCの全文(https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6538663/)を確認
- King RA, Townsend D, Oetting W, et al. "Temperature-sensitive tyrosinase associated with peripheral pigmentation in oculocutaneous albinism." J Clin Invest. 1991;87(3):1046-1053. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1900307/ ※要旨を確認。人での測定
- Klein K, Wong L, Olson J, Amundson S. "Mutant allele frequencies in cats of Minneapolis-St. Paul." J Hered. 1986;77(2):132-134. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3711642/ ※要旨を確認。米国の2都市の1986年の推定値
- Say L, Bonhomme F, Desmarais E, Pontier D. "Microspatial genetic heterogeneity and gene flow in stray cats (Felis catus L.): a comparison of coat colour and microsatellite loci." Mol Ecol. 2003;12(6):1669-1674. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12755894/ ※要旨を確認
- Cat Fanciers' Association「Ragdoll」(成り立ち、カラーポイント遺伝子、パターン、完全な毛色は2歳、完全な大きさは4歳) https://cfa.org/breed/ragdoll/
- Cat Fanciers' Association「Siamese」(細く長い体、長いくさび形の頭) https://cfa.org/breed/siamese/
- Cat Fanciers' Association「Balinese」(長毛遺伝子は劣性、1900年代初頭からシャムの子猫に長毛が生まれていた、1940年代に別品種として育成) https://cfa.org/breed/balinese/
- Cat Fanciers' Association「Birman」(白い手袋はバイカラー遺伝子による) https://cfa.org/breed/birman/
- Cat Fanciers' Association「Oriental」(ポイント模様のないシャム型の猫) https://cfa.org/breed/oriental/
- Cat Fanciers' Association「Persian」(ヒマラヤンはペルシャの7つの色の区分の1つ) https://cfa.org/breed/persian/
- Cat Fanciers' Association「Ragamuffin」(ラグドールの歴史と深く結びつく、ポイントを除くすべての色、ポイントの猫は繁殖専用) https://cfa.org/breed/ragamuffin/
- Cat Fanciers' Association「Tonkinese」(シャムとバーミーズの中間、細長すぎもずんぐりもしない中間の体型の中型) https://cfa.org/breed/tonkinese/
※ 記事内の画像はイメージです。実際にお迎えいただける子猫の写真は子猫一覧でご覧いただけます。








