この記事の要点(2026年4月時点): ブリティッシュショートヘアが特に注意すべき病気は「HCM(肥大型心筋症)」「PKD(多発性嚢胞腎)」「尿石症」「糖尿病」「皮膚病」「歯周病」の6カテゴリ。遺伝性リスクが高い2疾患(HCM・PKD)は、遺伝子検査済みの血統から迎えることでリスクを大幅に下げられます。
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療の代替とはなりません。愛猫の体調変化や疾患疑いについては必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。
監修: Flowens Cat ブリーダー(関東5・中部3の全国8拠点、ブリティッシュショートヘア繁殖歴10年以上)---
ブリティッシュショートヘアはどんな病気にかかりやすい?
ブリティッシュショートヘアは平均寿命14〜17歳と猫の中でも長寿な品種です。穏やかな性格とがっしりした体格が特徴ですが、その体型ゆえに特定の疾患リスクを抱えています。
特に注意が必要なのは、遺伝的背景をもつ心疾患と腎疾患です。「うちの子は元気だから大丈夫」と思っていても、HCMやPKDは初期症状がほとんど出ないまま進行することがあります。
Flowens Cat では関東5・中部3の全国8拠点でブリティッシュショートヘアを繁殖・販売してきました。10年以上にわたる繁殖実績の中で蓄積してきた知見と、国内外の査読論文・公的機関のデータをもとに、知っておきたい病気と予防のポイントをまとめました。
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HCM(肥大型心筋症)|最も警戒すべき遺伝性心疾患

HCM(Hypertrophic Cardiomyopathy)は、心臓の筋肉が異常に厚くなり、ポンプ機能が低下する疾患です。猫の心疾患の中で最多であり、ブリティッシュショートヘアはその遺伝的リスクが高い品種として獣医学的に認識されています。
猫のHCMに関する研究では、Kittleson ら(2006年、JVIM誌)がメインクーンのHCM有病率を約26%と報告しており、ブリティッシュショートヘアでも品種内での遺伝的素因が強く疑われています。国内ではアニコム損保の猫保険請求データにおいても、ブリティッシュショートヘアの心疾患関連請求が上位に挙がっています。
主な症状
- 口を開けて呼吸する(開口呼吸)
- 呼吸が浅く速い・息切れ
- 元気がなくじっとしている
- 食欲低下・体重減少
- 後肢の突然の麻痺(動脈血栓塞栓症を併発した場合)
発症時期の目安: 中〜高齢期(5歳以降)が多いですが、若齢(2〜3歳)での発症例も報告されています。
HCM遺伝子検査の意義と現状
ラグドールのHCMではMYBPC3遺伝子のA31P変異が同定されており、Meurs ら(2005年、JVIM誌)によって特定の変異と発症リスクの相関が示されています。一方、ブリティッシュショートヘアのHCMについては現時点で特定の遺伝子変異が確定されていません。
この点がブリティッシュショートヘアの繁殖管理を難しくしている要因のひとつです。「遺伝子検査をすれば完全にリスクをゼロにできる」という品種ではなく、定期的な心臓エコー検査(年1回推奨)を組み合わせた継続的なモニタリングが鍵となります。
Flowens Cat の取り組み: 当キャッテリーでは親猫に定期的な心臓聴診・エコー検査を実施しています。関東5・中部3の全国8拠点それぞれに定期訪問する提携獣医師が存在し、異常が認められた個体は繁殖に使用しません。親猫の検査結果はお迎え前に開示しており、過去3年間でHCM疑い所見により繁殖除外となった個体が複数います。---
PKD(多発性嚢胞腎)|腎臓の遺伝性疾患

PKD(Polycystic Kidney Disease)は腎臓に水を含んだ袋(嚢胞)が複数形成され、徐々に腎臓の機能を低下させる遺伝性疾患です。ペルシャ系の血を引く品種に多く報告されており、ブリティッシュショートヘアもペルシャとの交配歴があることからリスクがあるとされています。
ケンブリッジ大学獣医学部のネコ遺伝学研究グループは、PKD1遺伝子変異が常染色体優性遺伝で伝達されることを明確にしており、遺伝子検査未実施の繁殖集団では高い確率で変異が受け継がれると警告しています。TICA(国際猫協会)のブリティッシュショートヘア品種スタンダードにおいても、PKD検査の実施が奨励されています。
主な症状
| 病期 | 症状 |
|---|---|
| 初期 | ほぼ無症状(定期検査でのみ発見可能) |
| 中期 | 多飲多尿・食欲低下・体重減少 |
| 進行期 | 嘔吐・元気消失・脱水・口臭(尿毒症) |
Flowens Cat の取り組み: 当キャッテリーでは全繁殖個体にPKD1遺伝子検査を実施しており、陰性を確認した個体のみを繁殖に使用しています。子猫をお迎えいただく際に検査書類(検査機関名・日付入り)をお渡ししています。「ブリーダーがPKD検査をしているかどうかわからない」という相談を受けることが多いですが、Flowens Cat では問い合わせ段階からオープンに結果を共有しています。---
尿石症(尿路結石)|オス猫は特に要注意

尿路内に結石が形成される「尿石症」は、猫全般で多い疾患ですが、ブリティッシュショートヘアはシュウ酸カルシウム結石のリスクが高いとされています。特にオス猫は尿道が細いため閉塞しやすく、緊急対応が必要になることもあります。
注意すべきサイン
- トイレに何度も行くが尿が出ない・出にくい
- 血尿(赤〜ピンク色の尿)
- 排尿時に鳴く・様子がおかしい
- トイレ以外の場所で排尿する
予防のポイント
- 水分摂取を増やす: ウェットフードの活用・飲水ファウンテンの設置
- 低ミネラルフードを選ぶ: カルシウム・リン・マグネシウムの過剰摂取を避ける
- 定期尿検査: 年1回の尿pH・結晶確認
一度発症すると再発しやすいため、食事管理と定期検査の継続が不可欠です。
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糖尿病|肥満が最大のリスク因子

ブリティッシュショートヘアは食欲旺盛で運動量が少ない個体が多く、肥満になりやすい体質をもちます。肥満が続くとインスリン抵抗性が高まり、糖尿病を発症するリスクが上がります。
アニコム損保のペット保険データによると、ブリティッシュショートヘアは「太りやすい品種」として上位に位置づけられており、代謝疾患・内分泌疾患の請求件数が全猫種比で高い水準にあります。
初期症状
- 食欲があるのに体重が減る(多食性体重減少)
- 水をよく飲む・尿量が増える(多飲多尿)
- 毛並みが悪くなる
予防は体重管理が最重要
| チェック項目 | 目安 |
|---|---|
| 成猫の理想体重 | オス 4〜8 kg / メス 3〜6 kg |
| 体重測定の頻度 | 月1回(自宅体重計で可) |
| フードの給与量 | 袋の目安量 ± 獣医師のアドバイスで調整 |
| おやつの割合 | 1日の総カロリーの10%以内 |
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皮膚病|ダブルコートゆえのケアが必要

ブリティッシュショートヘアの密なダブルコートは魅力ですが、皮膚疾患のリスクも内包しています。アレルギー性皮膚炎・脂漏症・ノミアレルギー性皮膚炎などが報告されており、特に白色被毛の個体は日光皮膚炎(光線過敏症)に注意が必要です。
気をつけたいサイン
対策
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歯周病|意外と見落としがちな口腔疾患
猫の3歳以上の約70%が何らかの歯周病を抱えているというデータがあり(日本獣医師会 猫の口腔内疾患レポート参照)、ブリティッシュショートヘアも例外ではありません。口臭・食欲低下・よだれが増えてきたら歯周病のサインかもしれません。
予防の基本は毎日の歯磨き。難しい場合は、デンタルジェル・デンタルガム・飲水への添加剤などを組み合わせて対応しましょう。歯の状態は年1回の健康診断で必ず確認してもらうことをおすすめします。
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疾患別・症状・予防一覧表
| 疾患 | 主な症状 | 予防・対策 |
|---|---|---|
| HCM(肥大型心筋症) | 開口呼吸・元気消失・後肢麻痺 | 年1回の心臓エコー・親猫検査済みのブリーダー選び |
| PKD(多発性嚢胞腎) | 多飲多尿・体重減少・嘔吐 | 遺伝子検査(PKD1)済みの血統選び |
| 尿石症 | 血尿・頻尿・排尿困難 | 水分摂取促進・低ミネラルフード |
| 糖尿病 | 多食・体重減少・多飲多尿 | 肥満予防・月1体重チェック |
| 皮膚病 | 脱毛・赤み・かゆみ | 定期ブラッシング・ノミ予防 |
| 歯周病 | 口臭・食欲低下・よだれ | 毎日の歯磨き・年1回歯科チェック |
年齢別ケア:子猫期・成猫期・シニア期でやるべきことが違う

ブリティッシュショートヘアの健康管理は、年齢によって優先順位が大きく異なります。「子猫のうちは元気だから何もしなくていい」という考えは危険で、特にHCMとPKDは若い時期からのモニタリングが発症後の予後を大きく変えます。
子猫期(生後〜1歳):基礎をつくる時期
- ワクチン接種・駆虫・最初の血液検査を確実に実施
- 体重推移を毎月記録(成猫期の肥満予防は子猫期から始まる)
- PKD遺伝子検査書類をブリーダーから引き継ぎ・確認
- 社会化期(生後2〜7週)にどれだけ適切に扱われたかがストレス耐性を決める
当キャッテリーではお渡し前に獣医師による健康診断を実施し、書類一式(ワクチン証明・遺伝子検査結果・獣医師診断書)をセットでお渡ししています。「書類がなくて不安」という相談をお迎え後に受けることが時折ありますが、Flowens Cat ではこの点を徹底しています。
成猫期(1〜5歳):見た目の元気に油断しない時期
- 年1回の身体検査・心臓聴診・尿検査を継続
- 体重を毎月測定し、体重増加傾向を早期にキャッチ
- HCMの初期変化は聴診だけでは見落としやすいため、3歳以降は心臓エコーを推奨
- 歯磨きを習慣化(3歳を超えると歯周病が急増する)
シニア期(6歳以降):腎臓と心臓を集中モニタリング
6歳以降はHCMと慢性腎臓病(CKD)の発症リスクが急上昇します。腎臓の早期マーカーであるSDMA(対称性ジメチルアルギニン)は、クレアチニンが上昇する前の段階で腎機能低下を検出できるため、6歳以降の定期血液検査に組み込むことを強くお勧めします。
当キャッテリーからお迎えいただいた子のシニア期については、飼い主様から相談を受けた際に「次の検査でSDMAを追加してほしい」「心臓エコーの頻度を上げてほしい」と具体的にアドバイスするようにしています。過去に7歳でHCMが疑われた個体の飼い主様が、定期相談の中で早期に気づいて治療を開始できたケースがありました。
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予防と早期発見:定期健診スケジュール目安
ブリティッシュショートヘアに適した健診スケジュール
| 年齢 | 推奨検査内容 |
|---|---|
| 子猫(〜1歳) | ワクチン・駆虫・血液検査・遺伝子確認(PKD書類チェック) |
| 若齢(1〜5歳) | 年1回の身体検査・心臓聴診・尿検査 |
| 中高齢(5歳〜) | 年1〜2回の心臓エコー・腎臓マーカー(SDMA)・血圧測定 |
| シニア(7歳〜) | 年2〜3回の血液検査・BUN/クレアチニン/SDMA・眼底検査も検討 |
- 体重を毎月測定し記録する
- 呼吸が速くないか・口を開けていないか確認
- 食欲・水の飲む量・排尿の様子に変化がないか
- 毛並み・皮膚の状態・口臭の有無
小さな変化を見逃さないことが、早期発見・早期治療につながります。
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FAQ:ブリティッシュショートヘアの病気に関するよくある質問
Q1. ブリティッシュショートヘアはHCMになりやすい猫種ですか?
はい、遺伝的なリスクが高い品種のひとつです。ただし「リスクがある=必ず発症する」ではありません。定期的な心臓エコー検査を受け、異変を早期に発見することが最も重要な対策です。親猫の心臓検査実績を開示しているブリーダーから迎えることも重要な選択基準です。
Q2. PKD遺伝子検査はどこで受けられますか?
繁殖猫のPKD1遺伝子検査は、かかりつけ獣医師を通じて国内の遺伝子検査機関に依頼できます。信頼できるブリーダーは親猫の検査結果を開示していますので、迎える前に必ず確認しましょう。Flowens Cat でも親猫の検査状況を問い合わせ段階からオープンに開示しています。
Q3. 尿石症は一度なったら繰り返しますか?
再発しやすい疾患です。治療後も療法食・水分摂取管理・定期尿検査を継続することが再発予防の基本となります。フードの変更は必ず獣医師の指導のもとで行ってください。
Q4. ブリティッシュショートヘアの肥満予防で大切なことは何ですか?
月1回の体重測定と給餌量の定期見直しが基本です。おやつを多く与えすぎないこと、中齢以降はカロリーを控えたシニア用フードへの切り替えを検討することも有効です。おもちゃを使った遊びで運動量を確保するのもおすすめです。
Q5. ペット保険はHCMやPKDをカバーしますか?
保険商品によって「先天性・遺伝性疾患」は免責事項になる場合があります。加入前に各社の約款を確認し、遺伝性疾患をカバーするプランを選ぶことをお勧めします。子猫のうちに加入しておくと待機期間なく備えられるケースが多いです。アニコム損保の品種別データでは、ブリティッシュショートヘアの保険請求傾向も参照できます。
Q6. ブリティッシュショートヘアの健康診断はどのくらいの頻度で受けるべきですか?
1〜5歳は年1回、5歳以降は年1〜2回を目安にしてください。特に5歳を超えたら心臓エコー・腎臓マーカー(SDMA)・血圧測定を含む検査を強くお勧めします。7歳以降は年2〜3回に増やすことが理想です。
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まとめ:健康なブリティッシュショートヘアを迎え、長く一緒に暮らすために
ブリティッシュショートヘアは遺伝的リスクを理解したうえで適切にケアすれば、14〜17年という長い時間を一緒に過ごせる品種です。HCMとPKDという遺伝性疾患については、親猫の検査を実施しているブリーダーから迎えることが最初の大きな一歩になります。
Flowens Cat では関東5・中部3の全国8拠点で親猫の健康状態・遺伝子検査結果を丁寧に開示し、お迎え後も健康相談をお受けしています。現在ご縁をつないでいる子猫は子猫一覧でご確認ください。ブリティッシュショートヘアの性格・寿命についてはブリティッシュショートヘアの紹介ページ、健康管理全般については健康管理ページもあわせてご覧ください。お迎えの流れが気になる方はお迎えの流れからどうぞ。







