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この記事の要点:猫アレルギーでも飼える猫は、猫種の名前では決まりません。「出にくい」と言われる猫種でも根拠は弱く、猫ごとの差のほうが大きいからです。主治医、検査、見学、帰宅後の体調メモの順で、その子との相性を確かめます。
猫アレルギーでも飼える猫はいる?先に答えます

「この猫種なら大丈夫」と言い切れる猫種はありません。 飼えるかどうかは、猫種ではなく、その子と飼い主さんの組み合わせで決まります。
「サイベリアンは出にくい」「毛のない猫なら安心」といった話は、あちこちで見かけます。ところが当社で論文を開いて読み直すと、猫種の名前で量が決まる、という数字は出てきませんでした。同じ猫種の中でも、猫ごとの差が何倍もあります。
猫に反応する体質(検査で陽性になる人)は、世界の調べでは人口の5〜20%、呼吸器のアレルギーがある人では20〜30%以上とまとめられています。それだけ身近な悩みなのに、「猫種で選べる」という説明が先に広まっています。
この記事では、次の4つを書きます。
- 「出にくい」と言われる猫種が、何を根拠に言われているのか
- 猫ごとの差がどれだけ大きいのか(数字の表つき)
- 迎える前に、どの順番で確かめるか
- 当社で扱っている猫種を、アレルギーの目で見るとどうなるか
アレルギーの診断と治療は医療機関の仕事です。当社は医療機関ではありません。ぜんそくのある方、息苦しさやぜいぜいが出たことのある方は、迎える話を進める前に、まず主治医に相談してください。
「出にくい」と言われる猫種は、本当に出にくい?

猫種ごとに「出にくい」と言われる話は多いのですが、実際は数字で裏づけられているわけではありません。
低アレルゲン(アレルギーのもとが少ない、という意味の言葉)として売られてきた猫種として、2026年のまとめ論文は、スフィンクス、サイベリアン、ベンガル、バリニーズ、ロシアンブルー、コーニッシュレックス、デボンレックスの7つを挙げています。ネットの「出にくい猫ランキング」に並ぶ顔ぶれは、ほぼこの7つです。
その論文には、特定の猫種で平均の量が低いと示した研究もある、とあります。ただし猫種どうしの重なりが大きく、猫ごとの差が猫種の差を上回ることが多い、と続きます。アレルギーのもとが「いつも出ない猫種」は、示されていません。毛のないスフィンクスも、アレルギーのもと(Fel d 1というたんぱく質)を出します。
サイベリアンの根拠になった研究も、確かめました。サイベリアン4頭の遺伝子を見た2017年の論文で、唾液の量は、うち3頭の値があるだけです。ほかの猫種の猫とは比べていません。論文自身が、サイベリアンが低アレルゲンと考えられているのは一部のブリーダーの発言によるもの、と書いています。くわしい中身はサイベリアンと猫アレルギーの記事にまとめました。
「出にくい」と言われる理由として、毛が少ない、抜け毛が少ない、が挙げられることがあります。抜け毛の量とアレルギーのもとの量は別の話です。抜け毛の少ない猫の選び方は抜け毛が少ない猫の記事に書きました。
猫ごとの差は何倍?猫種で選べない3つの数字
猫種で選べない最大の理由は、同じ猫種でも猫によって量が大きく違うことです。サイベリアン3頭でも約4.6倍、家猫64頭では80倍以上の開きがありました。
| 調べたもの | いちばん少ない猫 | いちばん多い猫 | 開き |
|---|---|---|---|
| サイベリアン3頭の唾液(2017年の論文) | 0.48 | 2.19 | 約4.6倍(当社の計算) |
| 去勢・避妊した家猫64頭の唾液、年平均(2019年の論文) | 0.4 | 35 | 80倍以上 |
家猫64頭の研究から、さらに2つのことが分かります。
- 1頭の中でも、日によって大きく動く。 そのため、1回の唾液で猫の量を決めることはできません。4回分の唾液を見れば、量の少ない猫を約9割の確率で見分けられました。
- 見た目では見分けられない。 性別、毛色、体重と、量との関係は出ませんでした。
この64頭の研究は、ペットフード会社の研究所が行ったものです。対象は家猫のショートヘアで、サイベリアンは入っていません。2026年のまとめ論文は、量の少ない個体を選ぶほうが、猫種で選ぶより意味がある可能性がある、と書いています。猫種の看板より、「この子はどうか」を確かめる。それが、この記事の結論です。
毛の長さ・毛色・オスメスで決まる?

毛の長さや毛色では決まりません。差が出るのは、去勢していないオスが多め、というところまでです。
猫アレルギーのおもな原因は、毛そのものではなく、猫の唾液や皮脂からつくられるたんぱく質(Fel d 1)です。猫が毛づくろいをすると毛につき、フケや空気にのって家の中に広がります。猫に反応する人の最大96%が、このたんぱく質に反応するという整理があります。どの猫種、年齢、毛の長さ、性別の猫でも、このたんぱく質は出します。
よく聞く話と、論文で言えることを並べます。
| よく聞く話 | 論文で言えること |
|---|---|
| 毛が短い猫、毛が少ない猫は出にくい | 毛の長さには左右されない |
| 薄い毛色は出にくい | 去勢・避妊した64頭では、毛色で量に差は出なかった |
| オスよりメス | 去勢していないオスは多め。去勢・避妊した64頭では、性別で量は決まらなかった |
| 体が小さい猫は出にくい | 64頭では、体重と量に関係は出なかった |
| 年上の猫は出にくい | 年上ほど低い傾向がある |
子猫のうちは出ない?

子猫のときに症状が出なかったことが、大人になっても続くとは言えません。子猫と成猫の量を比べた研究が、今回開いた論文には載っていないからです。
家猫64頭を1年見た研究の対象は、1.2歳以上の成猫でした。2026年のまとめ論文にも、子猫と成猫の比較は書かれていません。分かっているのは、年上の猫ほど低い傾向があることと、1頭の中でも日によって量が動くことです。
つまり、子猫で確かめることには意味がありますが、子猫の反応がそのまま続くとは限りません。迎えたあとも、体調の変化に気を付けてください。
当社で扱っている猫種は、アレルギーの目で見るとどうなる?
当社の猫種のうち、「出にくい」と言われてきた7つに入るのはサイベリアンだけです。ただ、サイベリアンの根拠が弱いことは、上に書いたとおりです。
当社の子猫は、サイベリアン、マンチカン、ラグドール、ノルウェージャンフォレストキャットなど9品種です。どの猫種についても、「アレルギーが出にくい」と言える根拠は、論文にはありません。だからこそ、猫種で決めずに、その子に触れて確かめます。
バリニーズ、ロシアンブルー、デボンレックスなど、当社で子猫を探せない猫種もあります。それらも、猫種の名前だけで決められないことは同じです。
迎える前に確かめる5つの順番
猫アレルギーが心配なら、確かめる順番は、主治医、検査、見学、帰宅後の体調メモ、家族で決める、の5つです。
- ぜんそくや息苦しさの経験がある方は、先に主治医へ。 猫と暮らすことを、医師に伝えます。
- アレルギー科などで、猫に反応する体質かを調べる。 診断は、血液の特異的IgE(アレルギーに関わる抗体)の検査か、皮膚プリックテスト(皮膚に少量をのせて反応を見る検査)で行います。結果の数値と先生の見立てをメモします。
- 見学で、子猫に触れる。 触れている間と、触れたあとの、目、鼻、のど、皮膚の様子を見ます。いつも薬を飲んでいる方は、見学の日の飲み方を主治医に聞いておいてください。薬で症状が抑えられていると、反応が見えにくくなります。
- 帰宅してから翌日まで、体調を日付つきでメモする。 目のかゆみ、くしゃみ、鼻水、咳、皮膚の赤みを書きます。息苦しさやぜいぜいが出たら、様子を見ずに医療機関へ行ってください。
- 結果を持って、家族で決める。 家族の中にアレルギーの方が別にいるなら、その方も2〜4を同じようにします。迷いが残るなら、日を空けて、もう一度触れて確かめる方法もあります。
3と4を分けている理由があります。見学の約1時間で分かるのは、触れている間の反応です。猫アレルギーでぜんそくのある62人を調べた研究では、自然に近い環境でアレルギーのもとにさらしたあと、29人(47%)が3〜24時間のうちに、息の通りが落ちる遅い反応を示しました。ぜんそくのある人の話で、くしゃみや目のかゆみの話ではありません。ただ、時間がたってから症状が出る人もいる、という目安になります。
もう1つ、家の中の量の問題があります。猫のいる家のアレルギーのもとは、猫のいない家の80〜300倍が典型的と言われます。見学の1時間では、毎日暮らしたときの量は再現できません。
症状が出ている人にとって、猫を家から離すことがいちばん確実に量を減らす方法だと、獣医師向けのまとめ論文は書いています。手放す選択は、飼い主さんにも猫にもつらいものです。迎える前に確かめてほしい理由は、ここにあります。
迎える前にそろえておく準備

準備は1つでは足りません。いくつかを重ねて使います。
- 空気清浄機(HEPAフィルター)。 空気中のアレルギーのもとを減らすのに役立つとされます。ほかの対策と合わせて使います。
- 寝室は猫が入らない部屋にする。 ただ、それだけでは足りない可能性が高い、とまとめ論文は書いています。フケの性質上、ほかの対策と重ねます。
- 猫を洗う。 効果は短く、1週間ほどで元に戻ります。続けるものではなく、補助と考えてください。
- 去勢・避妊の時期。 獣医師と相談して決めます。
迎えたあとの掃除やお手入れのくわしいやり方は、この記事では書きません。犬との違いは犬アレルギーと猫アレルギーの違いにあります。
症状が出たときと、病院へ行く目安

息苦しさやぜいぜいは、受診を優先してください。くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、皮膚の赤みは、猫に触れたあとに出ます。
診断も治療も、医療機関の仕事です。自己判断で市販の薬を使い続けると、症状に気づきにくくなることがあります。症状の見分け方と、受診の目安の詳細は、猫アレルギー症状の記事にあります。
猫を飼う中で猫自身がアレルギーになることもありますが、人の猫アレルギーとは別の話です。この記事では扱いません。
アレルギーが心配な方が、当社で見学するとき
当社の見学は、事前予約制で、無料、所要は約1時間です。子猫に触れていただけます。その場で決めていただく必要はありません。オンライン見学もできますが、画面ごしでは体の反応は確かめられません。反応を見るのは、実際に会う見学です。
アレルギーの方の見学のために、特別な準備はしていません。見学のあいだ、様子に気を付けて見ています。気になることは、予約のときや当日にお伝えください。
子猫の体調が良ければ、見学の当日にお迎えもできます。ただ、アレルギーが心配な方は、その日に決めず、帰宅してから翌日まで体の様子を見てから決めてください。
当社が行っている親猫の遺伝子検査は、病気の検査です。アレルギーの出やすさを調べるものではありません。
よくある質問
猫アレルギーでも飼える猫はいますか?
「この猫種なら大丈夫」と言い切れる猫種はありません。「出にくい」と言われる猫種はありますが、猫ごとの差が猫種の差より大きいことが多いと、論文は書いています。主治医、検査、見学、帰宅後の体調の順で、その子との相性を確かめてください。
サイベリアンなら大丈夫ですか?
サイベリアンなら大丈夫、とは言い切れません。「出にくい」の根拠になった研究は、サイベリアン4頭の遺伝子を見たもので、ほかの猫種と量を比べていません。サイベリアンの中でも、猫ごとに約4.6倍の差がありました。詳細はサイベリアンと猫アレルギーの記事をご覧ください。
見学で症状が出なければ大丈夫ですか?
大丈夫とは言い切れません。見学は約1時間で、毎日の暮らしとは別です。ぜんそくのある62人を調べた研究では、29人が3〜24時間のうちに遅れて反応しました。当日に決めず、帰宅してから翌日までの体調を見てください。
子猫のうちは出ない、と聞きましたが本当ですか?
言い切れません。子猫と成猫を比べた結果は論文に載っておらず、年上の猫ほど低い傾向があることしか分かっていません。子猫のときの量が、大人になっても続くとは限りません。
アレルギーの検査はどこで受けられますか?
アレルギー科や内科、耳鼻科で受けられます。血液の特異的IgEの検査か、皮膚プリックテストで調べます。検査の結果が出ても、見学で触れて確かめることと、帰宅後の体調メモは省かないでください。
猫を手放したあとも、症状が続くのはなぜですか?
猫のいなくなった家にも、アレルギーのもとが残るからです。猫のいる家のアレルギーのもとが、猫のいない家の水準に戻るまで、4〜6か月以上かかることがあるとまとめ論文は書いています。
ぜんそくがあっても飼えますか?
飼えるかどうかは、ブリーダーではなく主治医が判断することです。まず主治医に相談してください。息苦しさやぜいぜいが出たら、必ず受診してください。
まとめ
猫アレルギーでも飼える猫は、猫種の名前では決まりません。「出にくい」と言われる猫種の根拠は弱く、猫ごとの差のほうが大きいからです。主治医、検査、見学、帰宅後の体調メモの順で、その子との相性を確かめてください。
当社のサイベリアンは品種ページで、いま会える子は子猫一覧で確認できます。見学は見学のご案内から、事前予約制・無料・所要約1時間です。お迎えまでの流れはお迎えの流れをご覧ください。
この記事は、Flowens Cat の子猫を育てるブリーダーが、論文を開いてまとめた一般的な情報で、診断ではありません。(2026年10月21日時点)アレルギーの検査・診断・治療は、医療機関でお受けください。
出典
数字は2026年10月21日に、論文の本文または要旨を開いて確かめました。英語の引用の日本語は、当社の訳です。
- Sparkes AH. Human allergy to cats: A review for veterinarians on prevalence, causes, symptoms and control. J Feline Med Surg 2022;24(1):31-42. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34622710/ (全文 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8721530/ で確認。品種ごとの「出にくい」を裏づける科学的データは無いこと、感作は5〜20%・呼吸器アレルギーの人は20〜30%以上、去勢していないオスは多いこと、年上の猫で減る可能性、猫のいる家は猫のいない家の80〜300倍、元に戻るまで4〜6か月以上、HEPAフィルターはほかの対策と合わせて役立つこと、部屋を分ける対策だけでは足りないこと、猫を洗う効果が短いこと、診断は血清特異的IgEまたは皮膚プリックテストであることを引用)
- Guillet C, Lüthi A, Šošić L ほか. Taming pet allergens: strategies to make furry cats less allergenic. Front Allergy 2026;7:1930696. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42719600/ (全文 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC13555257/ で確認。低アレルゲンとして売られてきた7品種、品種どうしの重なりが大きく猫ごとの差が品種の差を上回ることが多いこと、量の少ない個体を選ぶほうが意味がある可能性、子猫と成猫の比較が書かれていないことを引用)
- Hilger C, Janssen-Weets B, Swiontek K. Hypoallergenic animals: A promise of hope for allergic patients? Allergol Select 2024;8:64-69. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38549813/ (全文 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10975736/ で確認。低アレルゲンの猫の品種があるという科学的な証拠は無いこと、毛のないスフィンクスも出すことを引用)
- Bastien BC, Gardner C, Satyaraj E. Influence of time and phenotype on salivary Fel d1 in domestic shorthair cats. J Feline Med Surg 2019;21(10):867-874. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31135257/ (全文 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6764004/ で確認。去勢・避妊済みの家猫64頭、1年間、1頭の年平均0.4〜35 µg/mL、性別・毛色・体重との関係、4回の採取で約9割を見分けたこと、1.2歳以上の成猫が対象であること、ペットフード会社の研究所による研究であることを引用)
- Sartore S, Landoni E, Maione S ほか. Polymorphism Analysis of Ch1 and Ch2 Genes in the Siberian Cat. Vet Sci 2017;4(4):63. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29194349/ (全文 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5753643/ で確認。サイベリアン4頭、うち3頭の唾液の値2.19・1.66・0.48 µg/mL、「一部のブリーダーの発言」、ほかの品種と量を比べていないことを引用。約4.6倍は当社の計算)
- Satyaraj E, Wedner HJ, Bousquet J. Keep the cat, change the care pathway: A transformational approach to managing Fel d 1, the major cat allergen. Allergy 2019;74(Suppl 107):5-17. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7156987/ (全文で確認。Fel d 1 が猫への感作の最大96%を占めること、猫種・年齢・毛の長さ・性別を問わず出すことを引用。著者の1人はペットフード会社の研究所所属)
- Arvidsson MB, Löwhagen O, Rak S. Early and late phase asthmatic response in lower airways of cat-allergic asthmatic patients -- a comparison between experimental and environmental allergen challenge. Allergy 2007;62(5):488-494. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17441789/ (要旨のみ確認。猫アレルギーでぜんそくのある62人のうち、自然に近い環境での負荷のあと29人(47%)が3〜24時間のうちに遅い反応を示したことを引用)
- Flowens Cat の見学の運用(事前予約制・無料・所要約1時間・オンライン見学あり):見学のご案内ページ https://cat.flowens.jp/visit
※ 記事内の画像はイメージです。実際にお迎えいただける子猫の写真は子猫一覧でご覧いただけます。







