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飼育のコツ

猫の抱っこの仕方|正しい持ち方と品種別のコツ【2026】

猫の抱っこの仕方|正しい持ち方と品種別のコツ【2026】

猫の抱っこの仕方で本当に大事なのは「両脇とお尻を支える」という形だけではありません。猫が「自分でコントロールできている」と感じられるかどうかが、安心して身を預けられるかの分かれ目です。
愛猫を抱っこしようとして、体をよじって嫌がられた経験はありませんか。あるいは「うちの子は抱っこが苦手みたいだけど、嫌われているのかな」と不安になったことは。

日本語で見つかる抱っこの解説記事の多くは、「両脇とお尻を支える」という基本の持ち方と、「暴れる・鳴く・耳を伏せる」といった分かりやすい嫌がりサインを紹介して終わります。しかし査読を経た学術研究を具体的な数値付きで引用しているサイトはほとんど見当たりません。

Flowens Catでは関東5・中部3の全国8拠点で、小柄なマンチカンから大型のノルウェージャンフォレストキャットまで、現在9品種の子猫を継続飼育しています。見学にいらっしゃるお客様の79%は「初めて猫を飼う」方という当社アンケート(n=299)の結果もあり、抱っこに不慣れな方特有の失敗パターンをスタッフが日常的に観察できる立場にあります。この記事では、動物福祉科学の一次研究とブリーダーとしての現場観察を組み合わせ、「なぜその持ち方が猫にとって安心なのか」という根拠、そして品種の体格構造による支え方の違いまで踏み込んで解説します。

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猫にとって安心な抱っことは?——「コントロール感」というキーワード

両脇とお尻を面で支える正しい抱っこの姿勢
両脇とお尻を面で支える正しい抱っこの姿勢

基本の抱き方は「片手で胸〜前足の付け根を支え、もう片方の手でお尻〜後ろ足を支える」の2点支持です。ただし形以上に大切なのは、猫が「自分の体をコントロールできている」と感じられるかどうかです。

抱き上げる前には必ず声をかけ、驚かせるように急に体を持ち上げないことも基本です。そのうえで、以下の2点を意識します。

支える部位ポイント
胸〜前足の付け根片手を差し入れ、体の重さを面で受け止める
お尻〜後ろ足もう片方の手で下から支え、足が宙でぶらつかないようにする
全体の姿勢体を自分の胸元に軽く引き寄せ、猫の四肢が常に何かに触れている状態を作る
米国猫臨床医協会(AAFP)と国際猫医学会(ISFM)が2022年に共同発表した猫の取り扱いに関する国際ガイドラインでは、猫に「知覚されるコントロール感(perceived control)」を与えることが、恐怖反応を減らし信頼関係を築く中心的な考え方として位置づけられています(Rodan et al., 2022, *J Feline Med Surg* 24(11):1093-1132, PMID: 36259500)。本来は動物病院での猫の扱い方を対象にしたガイドラインですが、考え方は家庭での抱っこにもそのまま応用できます。

足が宙ぶらりんになる、体が斜めに傾く、逃げ場のない体勢で固定される——こうした状態は、猫から見れば「自分では姿勢を立て直せない」という感覚につながります。逆に、四肢のどこかが常に支えられていて、少し身動きすれば自由になれる余地がある持ち方は、猫にとって「コントロールを失っていない」と感じやすい状態です。基本の形そのものはシンプルですが、この「なぜ」を知っているかどうかで、日々の抱っこの質は変わってきます。

独立心が強いブリティッシュショートヘアのような品種は、この「コントロールを奪われている感覚」に特に敏感で、少しでも体勢が不安定だと早めに抱っこを切り上げたがる傾向があります。Flowens Catの現場観察では、性格の個体差以上に、こうした「コントロール感」を渡せているかどうかが、猫が抱っこを受け入れる時間の長さに影響していると感じています。

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その「首根っこを掴む」やり方、実は推奨されていません——スクラッフの科学的な評価

猫の首の後ろをつまむスクラッフの持ち方を示す手元
猫の首の後ろをつまむスクラッフの持ち方を示す手元

猫の首の後ろの皮膚をつまんで持つ「スクラッフ」は、査読研究において受動的な保定より猫にネガティブな反応を引き起こすことが確認されています。子猫になら安全という説にも、明確な科学的根拠はありません。

「子猫のうちは首根っこを掴んでも平気」という説明を目にすることがありますが、この点を数値付きで検証した査読研究を扱う日本語の解説記事は見当たりません。

カナダ・ゲルフ大学のMoodyらの研究チームは2020年、猫の保定方法を「受動的な保定」「スクラッフ(首根っこを掴む保定)」「クリップを使った保定」「全身をしっかり押さえ込む保定」の4パターンに分け、猫の呼吸数・耳の位置・瞳孔の大きさ・鳴き声を比較しました。その結果、全身保定とクリップ保定は受動的保定と比べてp<0.01水準で有意な悪化がみられ、スクラッフも受動的保定より悪い反応を示したと報告されています(Moody et al., 2020, *Vet Rec*, PMID: 31586939)。研究チームは「全身保定・クリップ保定は推奨せず、スクラッフも可能な限り避けるべき」と結論づけています。

同じ研究グループが実施したカナダ・米国の動物病院を対象にした調査では、恐怖や攻撃性を示す猫への対応として、全身をしっかり押さえ込む保定が最も頻繁に使われている実態が報告されています(Moody, Dewey & Niel, 2020, *J Am Vet Med Assoc*, PMID: 32301660)。さらに新しいデータでは、ドイツ・フランス・スイスの獣医師516名を対象にした2025年の調査で、36.2%が今なおスクラッフィングを使用していると自己報告している一方、89.9%は猫がキャリーバッグから自発的に出てくるのを待つと回答し、51.9%は次回受診に向けて抗不安薬を処方していると報告しています(Griesser et al., 2025, *J Feline Med Surg*, PMID: 40008564)。獣医療の現場でさえ、「猫に配慮した扱い方」と「昔ながらのやり方」が今も混在している実態がうかがえます。

Flowens Catでは、子猫を持ち上げる際に首の皮膚をつまむ保定は行っていません。上記の研究結果を踏まえ、体を面で支える2点支持を基本としています。特に体重のあるラガマフィンノルウェージャンフォレストキャットのような大型種は、首の皮膚だけで体重を支えようとすると負荷が大きくなりやすく、スクラッフのリスクはより高まると考えられます。反対に足の細いマンチカンミヌエットは、驚いた飼い主が咄嗟に首の後ろをつまんでしまいやすい体格でもあり、どの品種であっても避けたい持ち方です。

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「暴れる・鳴く」の手前にあるサイン——猫グリマススケールで見る微細な緊張

抱っこ中の猫の耳とヒゲの角度を観察するクローズアップ
抱っこ中の猫の耳とヒゲの角度を観察するクローズアップ

猫が抱っこを我慢しているだけなのか、リラックスしているのかは、暴れる・鳴くよりずっと手前の段階で、耳・目・ヒゲの動きに表れます。

多くの解説記事は「暴れる」「鳴く」「爪を立てる」といった分かりやすいサインだけを紹介します。しかしこれらは、猫がすでに強いストレスを感じたあとに出る反応です。もっと手前の段階で気づく手がかりとして、猫の急性疼痛・ストレスを評価する検証済みツール「Feline Grimace Scale(猫グリマススケール)」の評価項目が参考になります。

カナダ・モントリオール大学のEvangelistaらの研究チームが2019年に科学誌『Scientific Reports』で発表したこのスケールは、以下の5つの表情パーツをそれぞれスコア化する仕組みです(Evangelista et al., 2019, *Sci Rep* 9:19128, PMID: 31836868)。

評価パーツ抱っこ中に見るポイント
耳の位置正面〜横向きから、徐々に横〜後ろに倒れていないか
眼窩の緊張目の周りがこわばり、細めたままになっていないか
口吻の緊張マズル(鼻先〜口周り)が張って固くなっていないか
ヒゲの向きヒゲが後ろに寝て、顔に張り付くようになっていないか
頭部姿勢頭を低く縮め、視線を逸らそうとしていないか
このスケールはもともと痛みの評価用に開発されたものですが、抱っこ中の猫が「固まって我慢しているだけ」なのか「本当に落ち着いている」のかを見分けるヒントとしても応用できます。ゴロゴロ鳴らしながら目を細めているのと、体を硬直させたまま目を細めているのとでは、同じ「目を細める」でも意味が違います。抱っこの最中にこうした微細な変化が見られたら、無理に続けず、そっと下ろしてあげることをおすすめします。

耳の大きいノルウェージャンフォレストキャットサイベリアンは、こうした耳の角度の変化がひと目でわかりやすい品種です。一方、耳が小さく丸みを帯びたブリティッシュショートヘアエキゾチックショートヘアは変化が控えめで気づきにくいため、耳だけでなく目やヒゲの様子も合わせて確認する必要があります。

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体格で変わる、正しい支え方——Flowens Cat取扱9品種で見るコツ

体格の異なる子猫を並べて支え方の違いを示す写真
体格の異なる子猫を並べて支え方の違いを示す写真

猫の体格構造によって、支え方の重心の置き方は変わります。品種名を3つ挙げる程度の解説はよく見かけますが、体格構造まで踏み込んで説明しているサイトはほとんどありません。

Flowens Catが現在取り扱う9品種を、体格の特徴で4タイプに分けて解説します。

短足・低重心タイプ——後ろ足の支えがより重要

  • マンチカン:足が短い分、体の重心が下寄りにあります。お尻〜後ろ足を支える手の位置がわずかにズレただけでも、通常の猫より不安定になりやすいと感じます。当キャッテリーでは足の短さに関わる遺伝的リスクを避ける交配管理を行い、健康な個体のみをお届けする方針を取っていますが、それでも骨格上、足の短さによる体重バランスの違いは変わりません。骨格の構造について詳しくはマンチカンの健康に関する記事もご参照ください。お尻の下にしっかり手のひら全体を当て、後ろ足全体を面で受け止めるように意識しています。抱いたときに後ろ足をだらんと伸ばしたまま浮かせず、軽く曲げた状態で乗せてあげると落ち着きやすい子が多い印象です。
  • ミヌエットマンチカンと同様に足が短く、丸みのある体つきが特徴です。体幹はしっかりしていますが、後ろ足だけで体重を支えようとする体勢になると踏ん張りが利きにくいため、マンチカンと同じくお尻全体を支える意識が大切です。丸顔で表情が控えめな品種でもあるため、前章の猫グリマススケールの観点でいえば、耳やヒゲの動きを普段からよく観察しておくと変化に気づきやすくなります。

大型・がっしりタイプ——両手でしっかり体重を分散

  • ノルウェージャンフォレストキャット:北欧の寒冷地で暮らしてきた歴史を持ち、体格ががっしりしています。片手で持ち上げようとすると体重を支えきれず、猫自身も踏ん張ろうとして体をよじりやすくなります。成猫では体重が5〜9kg前後になる子も珍しくなく、子猫のうちから両手で支える習慣をつけておくと、成長してからの抱っこもスムーズです。
  • サイベリアンノルウェージャンフォレストキャット同様に大柄で、活発な性格から体をよじって逃げようとする力も強めです。抱き上げる前に、両腕でしっかり体重を受け止める準備をしてから持ち上げるようにしています。豊かな被毛の下に見た目以上のがっしりした骨格があるため、見た目の柔らかさに油断せず、しっかり支える意識が必要です。
  • ラガマフィン:Flowens Cat取扱品種の中でも特に体格が大きい品種のひとつです。人懐っこく抱っこ自体は好む子が多いですが、体重があるぶん、支える手の面積が狭いと猫にとっても飼い主にとっても負担になります。長時間抱っこするより、こまめに体勢を整え直しながら短めに区切るほうが、双方にとって楽な場合が多いです。

脱力・体重を預けるタイプ——下からの支えを途切れさせない

  • ラグドール:抱っこすると脱力するという逸話で知られる通り、体幹の力を抜いて相手に体重を預けてくる傾向があります。体重を預けてくる分、下からの支えを一瞬でも途切れさせないことがより重要になります。自分で姿勢を立て直す動きが少ない品種だからこそ、支える側が常に主導権を持って体重を受け止める意識が求められます。

標準体型タイプ——基本の2点支持がそのまま活きる

  • ブリティッシュショートヘア:独立心が強くマイペースな性格で、抱っこ自体を好まない子もいます。無理に長く抱かず、短時間から慣らしていくのが向いています。がっしりした胴体と短い四肢を持つため、基本の2点支持であれば体格的な不安定さはほとんど感じません。
  • アメリカンショートヘア:活発で運動好きな性格から、抱っこ中も周囲が気になって体をよじることがあります。基本の2点支持を崩さず、落ち着くまで待つ姿勢が大切です。筋肉質でしっかりした体つきのため、体重そのものへの配慮より、興味の対象へ体を向けようとする動きへの対応がポイントになります。
  • エキゾチックショートヘア:がっしりとした体つきですが、性格は温厚でおっとりしています。標準的な支え方で問題なく安定することが多い品種です。短い鼻づらの構造から呼吸の様子が変わりやすい面もあるため、抱っこ中に息が荒くなっていないかもあわせて確認すると安心です。

体格構造そのものが、猫の「安心して身を預けられるかどうか」に直結します。愛猫の品種の傾向を知っておくだけで、抱っこの質は大きく変わります。

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見学現場で見てきた「初めて抱っこする人」特有の失敗と、子猫期のハンドリングが将来を決める理由

見学時に子猫を初めて抱っこする来場者とスタッフ
見学時に子猫を初めて抱っこする来場者とスタッフ

見学時に子猫を初めて抱っこする方には共通した失敗パターンがあります。また、子猫期にどれだけ人の手に触れられたかが、成猫になってからの抱っこへの耐性に影響します。

Flowens Catの見学では、来場者に実際に子猫を抱いていただく機会が日常的にあります。前述の通り見学者の79%は初めて猫を飼う方(当社アンケート、n=299)で、抱っこに不慣れな方特有の失敗パターンをスタッフが繰り返し観察してきました。

もっとも多いのが、子猫が身をよじった瞬間に、反射的に力を込めてしまうパターンです。猫が体勢を立て直そうとしただけなのに、それを「逃げようとしている」と捉えて強く抱き込むと、猫にとっては本当にコントロールを奪われた状態になり、かえって激しくもがく結果になります。次に多いのが、驚いた拍子に首の後ろを咄嗟に掴んでしまうケースです。これは先述のスクラッフに近い動作で、猫にはネガティブな反応として伝わりやすい持ち方です。悪循環に入る前に、猫が少し身動きしても大丈夫なように、常に手のひら全体で面を作っておくことをスタッフから都度お伝えしています。

体格の大きいラガマフィンノルウェージャンフォレストキャットの子猫を初めて抱っこされる方は、重さに驚いて逆に力を込めすぎてしまう場面をよく見かけます。反対に足の細いマンチカンミヌエットを前にすると、「壊れそうで怖い」と及び腰になり、かえって手のひらが浮いた不安定な支え方になってしまう方も少なくありません。どちらの失敗も根っこは同じで、猫の体格に対して手の当て方が定まっていないことが原因です。

子猫期の経験も大きく影響します。生後5〜8週齢は社会化期と呼ばれ、この時期にどれだけ人の手による扱いに慣れているかが、その後の対人耐性に影響することが知られています。Flowens Catの各施設では、この社会化期間中に複数のスタッフが毎日子猫と接し、抱き上げる・体に触れるといったハンドリングを日常的に行うようにしています。社会化期に十分なハンドリングを受けた子猫は、お迎え後の環境変化にも比較的落ち着いて対応できる傾向がある、というのがブリーダーとしての実感です。

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抱っこの正しい「下ろし方」——見落とされがちな最後のステップ

子猫をゆっくり床に下ろすブリーダーの手元
子猫をゆっくり床に下ろすブリーダーの手元

抱っこの「下ろし方」を独立した項目として扱っているサイトはごくわずかです。持ち上げ方と同じくらい、下ろし方も猫の安心感に関わります。

多くの解説記事は「正しい持ち方」で終わり、下ろし方まで触れていません。しかし猫にとっては、抱っこの終わり方こそ「次も安心して抱っこされていいか」を判断する材料になります。

下ろすときのポイントは次の通りです。

  • 高い位置から手放さず、床や台に足が届く高さまでゆっくり体を下げる
  • 後ろ足から先に接地させ、猫が自分で踏ん張れる状態を作ってから力を抜く
  • 猫が体をひねって自分から離れようとしたら、無理に抱え直さずそのまま行かせる

前述の「コントロール感」の考え方は、下ろす瞬間にも当てはまります。急に手を離す、高い位置から着地させる、猫が離れたがっているのに抱え直す——こうした行動は、猫から「自分で降りるタイミングを選べない」という感覚を奪います。逆に、猫が自分の意思で降りるタイミングを選べるように余地を残しておくと、次の抱っこへの抵抗感も少なくなりやすいというのが現場での実感です。

体重のあるラガマフィンノルウェージャンフォレストキャットは、床に足が届くまでの距離をより慎重に見極める必要があります。脱力して体重を預けてくるラグドールは、下ろす瞬間に体の軸がぶれやすいため、最後まで手のひらの支えを緩めないことが大切です。

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お迎え後、いつから抱っこしていい?——お迎え初日ガイドとの役割分担

お迎え初日は抱っこを控えるのが基本です。この記事で扱っているのは、初日を過ぎて猫が新しい環境に慣れてきた段階での抱っこ技術です。

お迎え初日の過ごし方については、子猫お迎え初日の過ごし方ガイドで詳しく解説しています。到着直後の抱っこは避け、猫が自分から近づいてくるのを待つのが基本という考え方は、そちらの記事に譲ります。

本記事で扱っているのは、その後——猫が新しい環境に少しずつ慣れ、こちらに近づいてくるようになった段階での、正しい抱っこ技術です。正確な集計データはありませんが、現場の実感としては、多くの子猫は環境に慣れ始める1週間前後から、短時間の抱っこを少しずつ受け入れられるようになる傾向があります。最初は数秒〜数十秒、猫が嫌がる素振りを見せたらすぐに下ろす、を繰り返すところから始めるのがおすすめです。

体格が大きく力の強いサイベリアンラガマフィンの子猫ほど、慣れるまでの間は短時間から慎重に様子を見る飼い主様が多い印象です。子猫の育て方全般については初心者向けの猫の飼い方ガイドもあわせてご覧ください。

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よくある質問

Q. 猫を抱っこするとき、首根っこを掴む「スクラッフ」はしてもいいですか? A. おすすめしません。査読研究では、スクラッフは受動的な保定と比べて猫によりネガティブな反応を引き起こすことが確認されています(Moody et al., 2020, PMID: 31586939)。「子猫のうちは平気」という説にも明確な科学的根拠はなく、Flowens Catでも通常の抱っこでは行っていません。体重のあるラガマフィンノルウェージャンフォレストキャットほど、首の皮膚だけで支えたときの負担は大きくなると考えられます。

Q. 子猫はいつ頃から抱っこに慣れますか? A. 生後5〜8週齢の社会化期に人の手によるハンドリングを多く経験した子猫ほど、その後の抱っこへの耐性がつきやすい傾向があります。Flowens Catの各施設ではこの時期に複数スタッフが毎日子猫と接するようにしています。ただし個体差が大きく、正式な集計データがあるわけではありません。体格の大きいサイベリアンや活発なアメリカンショートヘアのように運動欲求が強い品種は、じっとしている時間そのものを苦手とする子もいるため、慣れるまでの過程にも個性が出やすい印象です。

Q. 抱っこを嫌がる微細なサインには何がありますか? A. 暴れる・鳴くといった分かりやすいサインの手前に、耳が徐々に横〜後ろに倒れる、目の周りがこわばる、ヒゲが後ろに寝るといった微細な変化が現れます。これは猫の疼痛・ストレス評価ツール「猫グリマススケール(Feline Grimace Scale)」の評価項目とも重なります(Evangelista et al., 2019, PMID: 31836868)。耳の大きいノルウェージャンフォレストキャットサイベリアンは変化に気づきやすい一方、ブリティッシュショートヘアエキゾチックショートヘアのように耳が小さい品種は、目やヒゲの様子も合わせて確認するとよいでしょう。

Q. マンチカンなど体格が異なる品種は抱っこの仕方が違いますか? A. はい。足が短く重心が低いマンチカンミヌエットはお尻全体を面で支えることがより重要で、体格の大きいノルウェージャンフォレストキャットサイベリアンラガマフィンは両手でしっかり体重を分散させる必要があります。基本の2点支持は共通ですが、体格に応じて力の配分を調整することが大切です。

Q. 抱っこから正しく下ろす方法は? A. 床や台に足が届く高さまでゆっくり体を下げ、後ろ足から先に接地させてから力を抜くのが基本です。高い位置から手放したり、猫が離れたがっているのに抱え直したりすると、猫の「自分でタイミングを選べる」という感覚を奪ってしまいます。体重のあるラガマフィンや脱力しやすいラグドールは特に、着地の瞬間まで手のひらの支えを緩めないよう意識してください。

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まとめ

猫の抱っこの仕方でいちばん大切なのは、「両脇とお尻を支える」という形そのものより、猫が「自分でコントロールできている」と感じられるかどうかです。首根っこを掴むスクラッフは査読研究でもネガティブな反応が確認されており、暴れる・鳴くといった分かりやすいサインの手前には、耳・目・ヒゲに表れる微細な緊張のサインがあります。体格構造は品種によって異なり、マンチカンミヌエットのような短足タイプ、ノルウェージャンフォレストキャットサイベリアンラガマフィンのような大型タイプ、ラグドールのような脱力タイプでは、支える手の位置や力の配分もそれぞれ変える必要があります。そして、持ち上げ方と同じくらい、下ろし方も猫の安心感を左右します。

行動学シリーズとして、頭突きの意味ふみふみの意味もあわせてお読みください。甘えん坊な性格の猫については猫の甘えん坊気質を解説した記事でも詳しく紹介しています。

抱っこの練習を重ねながら、愛猫との信頼関係を少しずつ育てていってください。品種ごとの体格や性格をふまえて子猫をお迎えしたい方は、Flowens Catの子猫一覧品種一覧もぜひご覧ください。

参考文献・出典5

  1. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36259500/
  2. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31586939/
  3. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32301660/
  4. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40008564/
  5. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31836868/

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