
目次ひらく(全12章)
この記事の要点:ペルシャ猫の寿命は13〜14歳台が目安。日本の保険データでは13.3〜14.3歳、英国で亡くなった猫の年齢の中央値は13.5〜14.1歳。「16〜18歳」を裏づける公表データは見つかりませんでした。
ペルシャ猫の寿命は何年? 結論は13〜14歳台です

ペルシャ猫の寿命は、13〜14歳台が目安です。アニコム損保の「家庭どうぶつ白書2025」(2023年度)では、ペルシャが13.3歳、ペルシャ(チンチラ)が14.3歳、猫全体が14.5歳でした。英国の診療記録を調べた論文では、亡くなったペルシャの年齢の中央値が13.5歳(2019年の論文)と14.1歳(2015年の論文)です。猫全体と比べて、同程度か、やや短い。公表データから確かめられたのは、ここまでです。
検索すると「16〜18歳」「15〜20歳」という数字もよく見かけます。「ペルシャ猫 寿命」の検索で出てくるページを当社で18本開いて確かめたところ(2026年10月)、寿命の数字に調査名や年が添えられていたのは2本だけで、英国の診療記録を調べた研究に触れているページは1本もありませんでした。そこで今回は、白書のPDFと論文を開き、数字を一つずつ確かめて書いています。
先にお伝えしておくことがあります。当社はブリーダーですが、お渡しした子猫の生涯を追いかけた寿命のデータは持っていません。ペルシャも、定期的には繁殖しておらず、ごくまれに生まれる品種です。ですのでこの記事では、「当社の子は何歳まで生きます」とは書きません。公表されたデータの範囲で、数字の読み方まで含めてお答えします。
まず、確かめた4つの調査を並べます。同じ「寿命」と呼ばれていても、測っているものが違います。
| 調査 | 対象 | 測った数字 | ペルシャの結果 |
|---|---|---|---|
| アニコム損保「家庭どうぶつ白書2025」(日本・2023年度) | 保険に入っている猫 | 0歳時点の平均余命 | ペルシャ13.3歳/ペルシャ(チンチラ)14.3歳/エキゾチックショートヘア13.5歳(猫全体14.5歳) |
| 英国 VetCompass(O'Neill ら 2019) | 2013年に診療を受けたペルシャ3,235頭のうち、死亡が記録された575頭 | 死亡時の年齢の中央値 | 13.5歳(4頭に1頭は9.9歳以下、4頭に1頭は16.0歳以上) |
| 英国(O'Neill ら 2015) | 死亡が確認された猫から無作為に選んだ4,009頭のうち、ペルシャ70頭 | 死亡時の年齢の中央値 | 14.1歳(雑種は14.0歳) |
| スウェーデンの保険猫(Egenvall ら 2009) | 13歳未満の保険猫49,450頭。「ペルシャ系」はペルシャ・チンチラ・カラーポイント・エキゾチックショートヘアの合算 | その年齢まで生き残った割合(2003〜2006年) | 10歳まで76%、12.5歳まで52%(家猫は80%、62%) |
「16〜18歳」はどこから来た数字? 数字が割れる3つの理由

「16〜18歳」「15〜20歳」は、よく言われる数字ですが、私たちが調べた範囲では、その出どころとなる公表データは見つかりませんでした。間違いだと言い切れるわけではありません。ただ、日本と英国の統計は13〜14歳台で重なり、16〜18歳を支える数字は確認できませんでした。ペルシャの寿命の数字が、検索結果の上では12歳から20歳までに割れる理由は3つあります。
理由1:測っているものが違う
上の表のとおり、保険に入った猫の平均余命、亡くなった猫の死亡時年齢の中央値、生き残った割合は、別の物差しです。亡くなった猫だけを集めた数字は、いま元気に生きている猫が入らないため、低めに出やすいと考えられます(論文に書かれていることではなく、当社の読み方です)。保険の数字は、保険に入った猫の話で、入っていない猫は含まれません。
理由2:同じ調査でも、年によって動く
アニコムの白書は毎年出ています。5年分のペルシャの数字を並べてみます。
| 年度(出典の白書) | ペルシャ | ペルシャ(チンチラ) | エキゾチックショートヘア | 猫全体 |
|---|---|---|---|---|
| 2019年度(白書2021) | 12.3歳 | 14.3歳 | 11.3歳 | 14.3歳 |
| 2020年度(白書2022) | 13.7歳 | 14.3歳 | 12.2歳 | 14.4歳 |
| 2021年度(白書2023) | 15.1歳 | 14.2歳 | 12.8歳 | 14.6歳 |
| 2022年度(白書2024) | 14.1歳 | 14.9歳 | 13.4歳 | 14.5歳 |
| 2023年度(白書2025) | 13.3歳 | 14.3歳 | 13.5歳 | 14.5歳 |
ペルシャは5年で12.3〜15.1歳と、2.8歳も動いています。1年分だけを切り取れば、「15歳」とも「12歳」とも書けてしまいます。ペルシャ(チンチラ)の動きは14.2〜14.9歳で、0.7歳です。白書2025が集計した猫274,324頭のうち、ペルシャは2,727頭(1.0%)、ペルシャ(チンチラ)は3,969頭(1.4%)、エキゾチックショートヘアは3,151頭(1.1%)です。頭数が少ないぶん年ごとにぶれやすいのでは、というのは当社の推測で、アニコムは理由を書いていません。品種を比べるための数字ではなく、目安として読むのが安全です。
理由3:「ペルシャ」の範囲が違う
アニコムは「ペルシャ」と「ペルシャ(チンチラ)」を別の品種として集計しています。この区分の定義は、白書の中に見当たりませんでした。英国の2019年の論文は、ヒマラヤンやチンチラなどの色の違いも「ペルシャ」に含まれている可能性がある、と断ったうえでまとめています。スウェーデンの研究はさらに広く、エキゾチックショートヘアまで含めて「ペルシャ系」です。同じ「ペルシャ」の数字でも、範囲が同じとは限りません。
では「16〜18歳」は、何にあたる数字なのか
英国の2019年の論文では、亡くなったペルシャの上位4分の1が16.0歳以上でした。2015年の論文(70頭)では17.0歳以上です。「16〜18歳」は平均ではなく、長生きできた子たちの水準に近い数字と読めます。ただし、これも当社の読み方で、そう書いているサイトがあるわけではありません。
同じ論文の反対側も見ておく必要があります。4頭に1頭は、9.9歳までに亡くなっていました。13〜14歳台という目安の背後には、10歳前に亡くなる子から20歳を超える子までの幅があります。
ペルシャ猫は短命なのか? 猫全体と比べると

極端な短命とは言えません。やや短いか、同程度です。猫全体と比べた結果を並べます。
| 調査 | ペルシャ | 猫全体 | 差 |
|---|---|---|---|
| アニコム(2023年度) | ペルシャ13.3歳/ペルシャ(チンチラ)14.3歳 | 14.5歳 | 1.2歳短い/0.2歳短い |
| 英国(2019年) | 13.5歳 | 14.0歳(論文が2015年の研究の値を引用) | 0.5歳短い |
| 英国(2015年) | 14.1歳(70頭) | 雑種14.0歳(3,621頭) | 0.1歳長い |
| スウェーデン(2003〜2006年) | 10歳まで76%、12.5歳まで52% | 家猫は80%、62% | 4ポイント低い/10ポイント低い |
この比較には、気をつけたい点が3つあります。
- 英国の2019年の論文はペルシャだけを調べていて、猫全体との比較には別の研究の数字を使っています。
- スウェーデンのデータは1999〜2006年と古く、ペルシャ系にエキゾチックショートヘアを含みます。同じ調査で、ペルシャ系の年齢調整した死亡率は1万猫年あたり627と、猫全体(462)の約1.4倍でした。
- 10歳まで生き残る割合は、スウェーデンのペルシャ系で1999〜2002年の57%から2003〜2006年の76%へ改善しています。古い数字ほど厳しく出ます。
ペルシャ猫は何が原因で亡くなることが多い?

腎臓の病気が、いちばん多い死因です。英国の2019年の論文では、死因が分かった435頭のうち、腎臓の病気が102頭(23.4%)で最多でした。
| 順位 | 死因(英国・ペルシャ435頭) | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 腎臓の病気 | 23.4%(102頭) |
| 2位 | 腫瘍 | 8.5%(37頭) |
| 3位 | しこり(腫瘤に関連する病気) | 8.0%(35頭) |
日本の保険データも、方向は同じです。アニコム損保「家庭どうぶつ白書2023」(2021年度)には、8歳以上で亡くなった猫3,378頭の死亡原因が出ています。1位が「その他の泌尿器疾患」950頭、2位が「慢性腎臓病」939頭、3位が元気喪失236頭、4位が心筋症169頭でした。これはペルシャだけの数字ではなく、猫全体です。死亡原因は、亡くなる30日以内に動物病院で受けた保険金請求の内容として集計されています。
ここで大事なのは、ペルシャで腎臓の病気が多い理由は、遺伝病だけでは説明しきれない可能性があることです。英国の論文は、理由は分かっていないとしたうえで、多発性嚢胞腎(腎臓に液体の袋がたくさんできる遺伝病。次の章で説明します)の記録は22頭(0.7%)にとどまると書いています。スウェーデンの論文でも、ペルシャ系の尿路の死亡のうち、多発性嚢胞腎は約20%でした。著者は、高い死亡率のうち、既知の嚢胞腎の素因で説明できるのは一部だろうと述べています。
腎臓の遺伝病は、親猫の検査でどこまでわかる?

親猫の遺伝子検査でわかるのは、既知の変異を持っているかどうかです。その猫が将来、腎臓の病気になるかどうかや、どのくらい重くなるかまでは、わかりません。
多発性嚢胞腎(PKD)は、腎臓に液体のたまった袋(嚢胞)がいくつもでき、少しずつ大きくなって、腎臓の働きが落ちていく遺伝病です。変異を片方の親から受け継ぐだけで発症する遺伝の形で、嚢胞は生まれつきあり、年齢とともに数と大きさが増えます。症状が出る年齢は平均7歳で、3〜10歳の幅があるとされています(Schirrer ら 2021)。
一般にこの病気の遺伝子検査は、PKD1遺伝子のエクソン29にある既知の変異を調べます。陽性の猫を繁殖に使わなければ、その変異は広がりにくくなります。英国には、繁殖に使うペルシャの検査を求める血統登録団体もあります(O'Neill ら 2019)。
「46%」と聞いたことがある方へ
ペルシャの嚢胞腎の割合として、3つの数字が見つかりました。調べた猫の集まり方が違うので、桁がそろいません。
| 数字 | 調べた猫 | 何の割合か | 出典 |
|---|---|---|---|
| 0.7%(22頭) | 英国の一般の動物病院を2013年に受診したペルシャ3,235頭 | 診療記録に、この病気の名前が書かれていた割合 | O'Neill ら 2019 |
| 10.8%(4頭) | 東京大学の動物医療センターに来院した猫のうち、ペルシャ37頭 | 既知の遺伝子変異を持っていた割合 | Shitamori ら 2023 |
| 46%(36頭) | 検査を依頼された猫(超音波で嚢胞が見つかった猫・その関係猫・高リスク品種)のうち、ペルシャ79頭 | 既知の遺伝子変異を持っていた割合 | Sato ら 2019(岩手大学) |
英国の0.7%について、論文の著者は、検査による淘汰の成果を示すものと解釈しています。ただし、一部の症例を見逃している可能性にも触れています。10.8%は37頭中4頭という割合で、頭数が少なすぎます。どの数字も、足したり平均したりはできません。
検査の限界
遺伝子検査には、はっきりした限界があります。
- 重症度や進行は予測できません。 Shitamori らは、遺伝子検査は重症度や進行を予測できないので、超音波検査と併用すべきだと述べています。嚢胞を直接確認できるのは超音波検査で、総説も、診断と進行の確認には超音波検査を第一に選ぶ方法として挙げています。
- 既知の変異が無くても、嚢胞のある猫がいます。 東京大学の調査では、嚢胞腎と診断されたのに既知の変異が無い猫が6頭いて、エクソン15に別の変異が4つ見つかりました(候補の段階です)。総説にも、変異が無いのに嚢胞が見つかった猫が5%前後いたとする報告の紹介があります。
- 変異があっても、腎臓に嚢胞が見つからない猫がいます。 東京大学の調査で、既知の変異を持つ23頭のうち、超音波で嚢胞を確認できたのは16頭、嚢胞なしが4頭(うち2頭は1歳未満)、超音波未実施が3頭でした。
- 変異があっても、経過には幅があります。 Sato らの調査では、変異を持つ猫のクレアチニン値(腎臓の働きの目安)は3歳超で高い猫が増え、7歳超でさらに増えます。それでも9歳以上で高くない猫が数頭いました。
当社では、繁殖に使う親猫の遺伝子検査を、全品種でPKD・HCM(肥大型心筋症の2種類)・PK欠損症について行い、ペルシャの親猫はオリゴ糖蓄積症も加えています。HCM陽性の親猫は、繁殖ペアから外します。当社のペルシャとエキゾチックショートヘアの親猫は、PKDの遺伝子検査で陰性を確認しています。ただ、これは「既知の変異を親猫が持っていないことの確認」です。子猫が将来、腎臓の病気にならない保証ではありません。当社が検査しているのは親猫の遺伝子で、子猫個体の検査はしていません。詳しくは健康管理のページに書いています。
寿命より暮らしの質に効く、目・歯・被毛のこと
ペルシャの病気は、寿命より、日々の手入れや通院の多さとして表れやすいようです。英国の2019年の論文では、診察を受けた1年間に何らかの病気が記録されたペルシャは64.9%でした。
| 病気 | ペルシャ3,235頭での割合(英国・2013年) |
|---|---|
| 何らかの病気が記録された | 64.9% |
| 眼科の病気(グループ) | 15.3%(猫全体6.7%、純血種全体9.3%) |
| 被毛の病気 | 12.7% |
| 歯周病 | 11.3% |
| 伸びすぎた爪 | 7.2% |
| 目やに | 5.8% |
歯の数字は、調べ方で大きく変わります。全身麻酔をかけて口の中のレントゲンまで撮った50頭(ペルシャ42頭・エキゾチックショートヘア8頭)では、歯周病が88%、不正咬合が72%、歯の吸収が70%に見つかりました(Mestrinho ら 2018)。診療記録の11.3%は、診断された分だけの数字です。ところがフィンランドの猫の調査(Vapalahti ら 2024・8,115頭のうち、歯や口の病気と診断されて鎮静下で検査や手術を受けた944頭を分析)では、エキゾチックショートヘアとペルシャの群は、歯の吸収のリスクがむしろ低く出ています(オッズ比0.28)。結果が割れているので、「ペルシャは歯が悪い」「悪くない」のどちらも言い切れません。口の中は、麻酔下で調べないと分からない部分があります。
心臓の病気は、診断される年齢に品種の差があります。フランスの心臓専門施設の344頭(5品種)の解析では、心筋症が見つかった年齢の中央値は、メインクーンが2.5歳、ペルシャが11.0歳でした(Trehiou-Sechi ら 2012)。専門施設に来た症例の数字で、ペルシャは41頭ですから、一般化はできません。ただ、ペルシャの心筋症は高齢になってから見つかる傾向があるようです。当社の健康診断には心エコー検査は含まれていないので、高齢期に入ったら、心臓の検査が必要かどうかを、かかりつけの獣医師に相談してください。
顔の作りで、呼吸や目の負担は変わるのか

目と歯の負担は、顔の短さの程度で変わる傾向があります。呼吸では、はっきりした関係が見られたのは鼻の入口の高さだけです。そして、顔の作りと寿命の関係を直接調べたデータは、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。
ドイツのCT計測(ペルシャ69頭)では、顔が短く平らな程度が強いほど、眼球が眼窩から出ている部分が大きく、鼻の骨の入口が低く、上あごの小臼歯のずれが多くなりました(Sieslack ら 2021)。一方、鼻の通り道のほかの部分は、顔の短さの程度と関係が見られませんでした。個体差は広く、短毛の猫と数値が重なるペルシャもいました。別の研究(ペルシャ92頭)では、極端に鼻の短いピークフェイスは、ドールフェイスより頭蓋骨の変形と脳室の拡大が多く、論文は、極端な短頭を選ぶ繁殖は見直すべきだと結論づけています(Schmidt ら 2017)。
こうした負担が、寿命にどう響くのかは、まだ分かっていません。ですので、「顔が平らだから短命」とも「関係ない」とも書けません。
迎える側の調査もあります。英国の研究チームが募集した1,367人(回答者は英国・米国などに住む人)へのアンケートでは、極端な短頭の猫(ペルシャ・エキゾチックショートヘア)の飼い主85人は、ほかの純血種の飼い主と比べて、購入前に手入れや健康上の問題を調べた人が少なく(品種を調べなかった人が41.2%、ほかの純血種は23.0%)、自分の猫を健康と考える割合も低めでした。特に目と皮膚です(Plitman ら 2019)。母数の小さな調査ですが、著者は、見た目が健康より重く見られている点に注意が必要だと書いています。
迎える前に確かめたいこと
一般論として、次の点を確かめておくと安心です。
- 安静にしているとき、口を開けて息をしていないか。いびきやガーガーという呼吸音が強くないか
- 涙の量と目頭の汚れ。目が開きにくそうでないか
- 歯並びとあごのずれ、口のにおい
- どんな顔立ちの親から生まれたか
- 遺伝子検査は、どの病気を、親猫と子猫のどちらに、いつ行ったのか。結果をどう見せてもらえるか
何歳からシニア? 年齢の区切りと受診の目安
猫は10歳を超えるとシニアで、受診は最低でも半年に1回が目安です。2021年のAAHA/AAFPの指針は、猫の一生を子猫(生後1年まで)、若い成猫(1〜6歳)、成猫の中高年(7〜10歳)、シニア(10歳超)、終末期に分け、全年齢で最低でも年1回、シニアは少なくとも6か月ごとの受診を勧めています(Quimby ら 2021)。中高年以降は、腎臓の病気の早期発見に特に気を配るよう求めています。
ペルシャのデータを、この区切りの上に重ねてみます。
| 年齢 | 何があるか | 出典 |
|---|---|---|
| 3〜10歳(平均7歳) | 嚢胞腎の症状が出る年齢 | Schirrer ら 2021 |
| 7〜10歳 | 成猫の中高年(年1回以上の受診) | AAHA/AAFP 2021 |
| 9.9歳 | 英国で亡くなったペルシャの4頭に1頭が、ここまでに亡くなっていた | O'Neill ら 2019 |
| 10歳超 | シニア(受診は6か月ごと) | AAHA/AAFP 2021 |
| 11歳 | 心筋症が見つかる年齢の中央値(専門施設の41頭) | Trehiou-Sechi ら 2012 |
| 13.5歳 | 英国で亡くなったペルシャの年齢の中央値 | O'Neill ら 2019 |
| 16.0歳 | 長生きできた上位4分の1の水準 | O'Neill ら 2019 |
腎臓の病気は、見つかった段階で、その後の経過が大きく変わります。腎臓の病気(慢性腎臓病)の猫211頭を調べた研究では、診断時のステージ別に、生存期間の中央値がステージIIbで1,151日、IIIで778日、IVで103日でした(Boyd ら 2008)。診断時の段階が軽いほど、生存期間が長い傾向です。ペルシャだけの数字ではなく、2000〜2002年の症例なので、今の治療と同じとは限りません。また、早く見つけたから延びたのか、もともと進みの遅い経過だったのかは、この調査だけでは分かりません。
日々のサインも覚えておいてください。嚢胞腎の症状は腎不全の症状と同じで、元気がない、食欲が落ちる、体重が減る、毛づやが悪くなる、水をよく飲んで尿の量が増える、消化器の不調が出る、といった様子だと総説にまとめられています(Schirrer ら 2021)。気づいたら、年齢にかかわらず早めに動物病院を受診してください。
当社のペルシャについて|親猫の検査と健康診断
当社では、ペルシャを定期的に繁殖している品種には入れていません。ごくまれに生まれたときだけ、ペルシャの品種ページでご案内しています。
当社が行っているのは、繁殖に使う親猫の遺伝子検査と、お渡し前の健康診断です。親猫の遺伝子検査は上に書いたとおりで、子猫個体の検査はしていません。健康診断は、提携の獣医師による視診・触診・聴診で、獣医師の署名入りの診断書を1頭ずつ発行し、体重と体温も記録します。血液検査や尿検査、心エコー検査は含まれません。お迎えの後も、かかりつけの動物病院で定期的に診てもらってください。
猫を探して見学に来られた43人に、お迎えの不安を聞いたアンケート(2024〜25年に実施)では、「健康面」を挙げたのが39人(90.7%)で、いちばん多い回答でした。小さな集計ですが、寿命と病気の不安が、お迎えを考える方の中心にあることは伝わってきます。
ペルシャとショートヘアの交配から生まれた、ペルシャによく似た短毛の品種に、当社が取り扱っているエキゾチックショートヘアがあります。同じ丸顔で、腎臓の遺伝病や歯・目の注意点が重なる部分があります。寿命の数字はエキゾチックショートヘアの寿命の記事に、性格はペルシャの性格の記事に、毛色の呼び名はチンチラペルシャの記事に、値段はペルシャの値段の記事にまとめています。
よくある質問
ペルシャ猫は短命ですか?
極端な短命とは言えません。アニコムの保険データ(2023年度)で、ペルシャ13.3歳、ペルシャ(チンチラ)14.3歳、猫全体14.5歳。英国の診療記録でも、亡くなったペルシャの年齢の中央値13.5歳は、猫全体の14.0歳と大きく違いませんでした。ただし4頭に1頭は、9.9歳までに亡くなっています。
ペルシャ猫は20年生きられますか?
ごく一部の猫は20年を超えます。英国の記録で、亡くなったペルシャの最高齢は24.0歳(575頭)と21.2歳(70頭)でした。ただ、16〜17歳以上まで生きれば、亡くなったペルシャの上位4分の1に入ります。20年は、目安にはならない数字です。
チンチラペルシャの平均寿命は?
アニコム白書2025(2023年度)では14.3歳で、5年分では14.2〜14.9歳の範囲です。アニコムは「ペルシャ」と別に集計していますが、その区分の定義は白書に見当たりませんでした。
オスとメスで、ペルシャの寿命は違いますか?
英国の診療記録では、亡くなったときの年齢の中央値が、メス14.0歳、オス13.1歳で、約0.9歳の差がありました(統計的に意味のある差)。ただし1つの研究の結果で、性別だけで個々の猫の寿命は決まりません。
去勢・避妊で寿命は変わりますか?
ペルシャでは、差は見つかっていません。英国の論文では、1歳より後に亡くなった猫で、手術をしていない猫は13.9歳(62頭)、した猫は13.4歳(395頭)で、統計的な差はありませんでした。手術をしていない猫の頭数が少ない点には注意が要ります。手術の判断は、寿命だけでなく行動や繁殖の事情も含めて、かかりつけ医と決めてください。
ペルシャとエキゾチックショートヘアでは、どちらが長生きですか?
どちらとも言えません。上の5年分の表では、2019〜2022年度はペルシャのほうが上で、2023年度だけエキゾチックショートヘアが0.2歳上でした。頭数が少なく年ごとにぶれる数字なので、優劣には使えません。
まとめ
ペルシャ猫の寿命は、13〜14歳台が目安です。日本の保険データでも英国の診療記録でも重なり、「16〜18歳」を支える公表データは見つかりませんでした。最も多い死因は腎臓の病気で、親猫の遺伝子検査でわかるのは既知の変異だけです。診断時の段階で経過が大きく変わるため、7歳ごろを節目に、定期的な受診をおすすめします。
ペルシャの品種ページのほか、近い品種のエキゾチックショートヘア、ご見学からお迎えまでの手順はお迎えの流れをご覧ください。
この記事は一般的な情報です。ペルシャ猫の寿命や、うちの子の健康についての個別のご相談は、かかりつけの獣医師にお願いします。
出典
数字は2026年10月3日に、白書のPDFと各論文の本文または要旨を開いて確かめました。
- アニコム損保「家庭どうぶつ白書2025」第2部 p.67(猫の平均寿命の推移と猫種別・2023年度)。https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202512_2_4.pdf
- アニコム損保「家庭どうぶつ白書2025」第1部 p.5(猫の品種別の頭数)。https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202512.pdf
- アニコム損保「家庭どうぶつ白書2024」第2部 p.64(2022年度)。https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202412_2_5.pdf
- アニコム損保「家庭どうぶつ白書2023」第2部 p.62(2021年度)。https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202312_2_4.pdf
- アニコム損保「家庭どうぶつ白書2022」第2部 p.62(2020年度)。https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202212_2_4.pdf
- アニコム損保「家庭どうぶつ白書2021」p.55(2019年度)。https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202112_2_3.pdf
- アニコム損保「家庭どうぶつ白書2023」第2部 p.66(8歳以上の猫の死亡原因・2021年度)。https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202312_2_5.pdf
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