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この記事の要点:賃貸で猫を飼うなら、「ペット可」の表示より先に契約書の承諾欄・特約欄と退去費用の決まりを確かめ、書面の承諾を得てから子猫を迎えます。内緒で飼うと契約違反で、解除や費用の請求を受ける可能性があります。「賃貸で猫を飼う」と調べると、「ペット可の物件を選びましょう」「内緒で飼うのはやめましょう」という答えはどのページにも書いてあります。ところが、ペット可と書いてあれば契約書のどこを読めばいいのか、猫が壁を傷つけたら退去のときに誰がどこまで払うのかを、国の資料の原文まで開いて説明している記事は、私たちが読んだ範囲では多くありませんでした。この記事は、その部分を国土交通省・東京都・環境省の資料で確かめて書きました(資料はいずれも2026年10月1日に開いて内容を確認しています)。
Flowens Catは猫のブリーダーで、不動産や法律の専門家ではありません。ですので、契約書の読み方も退去費用の考え方も、国の資料に書かれている範囲にとどめ、個別の契約の解釈には踏み込みません。そのかわり、ブリーダーにしか書けない「いつ子猫を迎えるか」の順番まで書きました。実際の契約書は物件ごとに違います。この記事は、契約書を読むときの地図としてお使いください。
賃貸で猫を飼える?「ペット可」の中身は図面でなく契約書の3か所で確かめる

募集図面の「ペット可」と、契約書に書かれる飼育の条件は別のものです。東京都の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」(第4版・令和4年12月)は、交渉で約束してもらった「ピアノ可」や「ペット可」などの契約事項について、「口約束だけで済ませず、必ず契約書に記入してもらいましょう」と書いています(東京都の資料で、全国一律のルールではありません)。
ペット可の物件は、LIFULL HOME'Sの掲載物件で2025年3月時点に19.3%(2022年3月は12.9%)と、全体の2割に届いていません(LIFULL HOME'S「ペットとの住まい探しの実態調査」)。数が限られると、図面の表示だけで急いで決めたくなります。けれど、猫を迎えてから「聞いていた話と違う」となるのは、飼い主さんにも猫にも避けたい形です。猫を飼うかどうかを決める前の確認は、猫を飼いたいと思ったら最初に読むガイドにもまとめています。
確かめる書類は4つ
不動産会社を通して契約する場合は、契約の前に重要事項説明を受けます(東京都ガイドラインより)。次の4つを見ておくと、「ペット可」の中身が見えてきます。
| 確かめる書類 | 見ること |
|---|---|
| 募集図面・物件サイト | 「ペット可」「相談可」の表示。猫が含まれるか、頭数や大きさの条件があるかまでは書かれていないことがあります。「相談可」の意味に統一された基準があるかは、確認できませんでした |
| 重要事項説明書 | 契約前に渡される書類。東京都ガイドラインに載っている記入例には、「用途その他の利用の制限に関する事項」の欄に「ペットの飼育及びピアノの使用を禁止する」と書く例があります。ペットの可否はこの欄にも書かれます |
| 賃貸借契約書 | 禁止行為・承諾が必要な行為・特約(次の表) |
| 管理規約・飼育のルール | 環境省の資料(平成22年)は、ペット飼育可のマンションでも、規約で飼える動物の種類・大きさ・頭数が定められていることがほとんどだと説明しています |
契約書のどこを見る?国のひな形で分かる3か所
国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」(平成30年3月版・連帯保証人型)は、契約書づくりの参考として国が示しているひな形です。実際の契約書は物件ごとに違うので、ここでは「どこを探せばいいか」の地図として使ってください。ひな形を読むと、ペットの飼育に関わる記載は、次の3つの場所に出てきます。
| 場所 | ひな形での位置 | 書かれていること |
|---|---|---|
| 禁止の欄 | 第8条第3項・別表第1 | してはならない行為。ペットに関しては「猛獣、毒蛇等の明らかに近隣に迷惑をかける動物を飼育すること」で、犬や猫は載っていません |
| 承諾の欄 | 第8条第4項・別表第2の三 | 貸主の書面による承諾なしにしてはならない行為。「観賞用の小鳥、魚等であって明らかに近隣に迷惑をかけるおそれのない動物以外の犬、猫等の動物」の飼育がここに入ります |
| 特約の欄 | 第19条(特約条項)・別表第5の「例外としての特約」 | 個別に決める事項。例として、ペット不可の物件でペットの飼育を認める場合の内容や、「居室内でのペット飼育を認める代わりに、壁クロスの張替費用全額を借主の負担とする場合」が挙げられています |
ここまでは国のひな形の話です。国土交通省の原状回復ガイドライン自身が「一部ではこれ以外の契約書も使われている」と書いています。自分の契約書で「ペット」「犬」「猫」「動物」の語を探し、別表と特約欄を開いてみてください。
ひな形には、別表第2の行為について貸主に承諾を願い出る「承諾書(例)」も付いています。借主が2通を出し、貸主が承諾の欄に記入して1通を返す形で、行為の内容は具体的に書くよう注記があります。猫なら「猫1匹の飼育」のように頭数まで書いておくと、あとで食い違いにくくなるはずです(当方の提案です)。
契約前に聞いておきたい3つの質問
- 猫の飼育は、契約書のどこ(本文・別表・特約)に書かれていますか
- 頭数・大きさ・種類の条件はありますか
- 猫を飼う場合に、別に払うお金や、退去時の特別な決まりはありますか
3つ目の「別に払うお金」は、返ってくるお金かどうかも聞いてください。東京都のガイドラインは、契約時にリフォーム代など特定の名目で払うお金は「敷金とは違い、原則として退去時に返金されない」と書いています。
「ペット可は敷金が1〜2か月分上乗せされる」とよく言われますが、私たちが調べた限り、その根拠になる全国の統計や公的な資料は見当たりませんでした。額は物件ごとに違うと考え、見積もりを書面でもらうのが確実です。LIFULL HOME'Sの調査では、ペット可物件の掲載賃料の平均は112,771円、ペット不可は78,253円で、差は34,518円でした。ただし築年・広さ・立地の違いを含む掲載物件全体の平均です。「ペット可にすると家賃が3.4万円上がる」という意味ではありません。
猫が壁や床を傷つけたら、退去費用は誰がどこまで払う?経過年数で負担は減る

原則は「通常の使い方による傷みは貸主、猫による傷やにおいは借主の負担になりうる」です。ただし負担は経過年数と範囲で小さくなり、ペット可の物件では特約で変わることがあります。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年8月)は、費用負担の一般的な基準を示すもので、法的な拘束力はないと明記しています。令和5年3月の参考資料によると、令和2年4月施行の改正民法(621条)で、通常の使用による損耗と経年変化は借主が直す義務を負わないことが明文化されました。賃貸住宅の相談は消費生活センターに毎年3〜4万件ほど寄せられ、そのうち敷金・原状回復のトラブルが3〜4割を占めるとも書かれています。
| 項目 | 国の資料の考え方 | 猫と暮らす飼い主さんが押さえたいこと(当方の整理) |
|---|---|---|
| 通常の使用による損耗・経年変化 | 借主に直す義務はない | 猫がいても、日焼けや家具を置いたへこみなど通常の損耗まで借主が負担するわけではない(ガイドラインでは、家具の設置による床のへこみ・設置跡は貸主負担の例) |
| 飼育ペットによる柱等のキズ・臭い | ガイドラインの「借主の負担となるもの」の例に挙がっている | 爪とぎ・粗相・においが当てはまりやすい |
| 経過年数 | 借主負担でも、年数が長いほど負担割合は下がる。壁のクロスの耐用年数は6年 | 長く住むほど、クロスの張替え費用の負担は小さくなる |
| 負担の範囲 | クロスは、毀損した箇所を含む「一面分」の張替えまでは借主負担としてもやむをえない | 部屋全体の張替えが当然に借主負担になるわけではない |
| 障子紙・襖紙・畳表 | 消耗品で、経過年数は考慮されない | 猫が爪を立てやすい素材。傷めると年数による減額が効かない(当方の推論) |
| ペット可物件の特約 | 「ひどいキズや汚れは経過年数を考慮せず借主負担」「消毒・消臭費用を定額で徴収」といった特約が設けられる場合がある。有効性は個別に判断 | 契約前に特約欄を確認する(前の章) |
計算例:クロスの負担は6年で1円に近づく
ガイドラインは、耐用年数が過ぎた設備の残存価値が1円になる直線で、借主の負担割合を考えます。国交省の参考資料の例では、入居時にクロスが新品なら、3年後に退去する場合の負担割合は50%、4年8か月後なら約22%、耐用年数の6年を過ぎれば1円(ほぼ0%)です。たとえば張替え費用が仮に10万円なら、3年後の退去で借主負担は5万円という計算になります。10万円は説明のための仮の数字で、相場ではありません。入居時にクロスが新品でなければ、入居時点の経過年数を足して考えます。
特約があると、この原則は変わりうる
国交省の資料は、借主に特別な負担を課す特約が有効に成立するための要件として、次の3つを挙げています。
- 特約の必要性があり、暴利的でないなどの客観的・合理的な理由がある
- 借主が、通常の原状回復義務を超える義務を負うことを認識している
- 借主が、義務を負担する意思表示をしている
つまり、サインの前に特約の中身を理解して納得していることが前提です。ペット可の物件の特約については、同じ資料が「契約前によく確認しておくことが重要」と書いています。
ガイドラインに載っている判決を1つ挙げます。平成14年の東京簡易裁判所の事例18は、ペット可の部屋で小型犬のチワワを約3か月ケージで飼った借主に対し、貸主がクロスの張替え費用やクリーニング費用など計50万745円を請求した事件です。裁判所は、ペット消毒を代わりに行うクリーニング費用5万円を借主が負担する特約は有効としましたが、クロスの張替えは認めず、借主の負担は合計5万9,640円でした。犬の事例で、24年前の簡易裁判所の1件ですから、猫の一般則ではありません。それでも、請求された金額がそのまま払う金額になるとは限らない実例です。
金額の相場は、公表データが見当たりません
猫のいた部屋の退去費用について、ネットでは「家賃1か月分+10〜20万円」といった数字を見かけます。私たちが調べた限り、こうした金額を示す全国の統計や国の資料は見つかりませんでした。国の資料が示しているのは金額ではなく、傷の部位・範囲・経過年数・特約で決まるという計算の考え方です。「相場はいくらか」より、「自分の契約の特約はどうなっているか」「請求書の内訳はどうなっているか」が判断の材料になります。
令和4年11〜12月の管理会社アンケートでは、原状回復でトラブルになりやすい部位は、クロスが73.5%、フローリングが52.4%、カーペット・クッションフロアが33.4%でした(N=437)。ペットに限らない集計ですが、猫の爪とぎや粗相が当たる部位と重なるというのが当方の見立てです。トラブルの解決方法は話し合いが96.1%で、請求の内訳や経過年数の根拠に疑問があれば管理会社に聞いてよい、と資料は案内しています。
賃貸で猫を飼う不安は「家の汚れ」|入居日から退去日までにやる4つのこと

家の汚れへの備えは、猫のグッズを選ぶより先に、入居日の写真、入居中の連絡、退去時の立会い、請求の内訳の確認という、記録と連絡の習慣が土台になります。
猫を迎えたい方の不安も、鳴き声よりも「家が汚れること」のほうがずっと多く挙がっていました。当社の過去の見学客アンケートのうち、猫だけを希望された方の回答(43人・複数回答)です。
| 不安に思うこと | 人数(割合) |
|---|---|
| 健康面 | 39人(90.7%) |
| しつけ | 24人(55.8%) |
| 留守番 | 22人(51.2%) |
| 家が汚れること(床・壁・家具など) | 16人(37.2%) |
| 抜け毛 | 10人(23.3%) |
| 金銭面 | 9人(20.9%) |
| 鳴き声 | 2人(4.7%) |
この備えを、国の資料に出てくる段取りに沿って、時系列に並べました。
- 入居の日:壁・床・建具の傷や汚れを、日付入りの写真で残します。入居前からあった傷は借主の原状回復義務の対象外ですが、入居時の状態が分からないとトラブルの元になる、と国交省の資料は説明しています。物件の状況を確認するリストがあれば一緒に記録します
- 入居中:修繕が必要な傷や汚れに気づいたら、速やかに管理会社へ連絡します。無断で直すと、退去時にトラブルになる可能性があるとも書かれています
- 退去の日:令和4年の管理会社アンケートでは、立会いのもとで点検するという回答が約6割でした。立会いがない場合は、退去前に写真を撮っておきます
- 請求が来たら:金額だけでなく、内訳と、経過年数の根拠を確認します。不明な点があれば管理会社に内訳を聞いてよい、と資料は案内しています
承諾書や特約の控えも、一緒に保管しておくと安心です。猫の側の対策は、猫の爪とぎの選び方、突っ張り型を賃貸で使うときの注意を含むキャットタワーの選び方、賃貸でも穴をあけずにできる玄関の対策を含む猫の脱走防止にまとめています。
賃貸で猫を内緒で飼うとどうなる?入居後に飼いたくなったらどうするか

契約でペットを認められていないのに飼うと、解除や損害賠償を求められる可能性があると、国の資料は書いています。ただし、ひな形の条文では、見つかったら即退去という作りではありません。
東京都のガイドラインは、入居中の事例の1つに「契約書では「ペット禁止」。でもこっそり猫を飼っている」を挙げ、「明らかな契約違反ですから、契約の解除、退去を求められるケースもあります」「動物特有のにおいの除去や消毒等が必要となる場合もあり、原状回復費用が多額に請求されることにもなりかねません」と説明しています。国交省の令和5年の資料も、ペット不可の物件での飼育は「契約の解除や損害賠償を請求される可能性もあります」という書き方です。
国のひな形(第10条第2項)で、貸主が契約を解除できるのは、義務違反について相当の期間を定めて催告しても履行されず、契約を継続することが困難と認められるに至ったときです。つまりひな形の上では、まず是正を求める段階があります。ただし、これは見つかっても大丈夫という意味ではありません。是正を求められたとき、取れる道は、承諾をもらう、飼育をやめる、猫と一緒に転居するのいずれかで、どれも猫に負担がかかります。猫を迎えてからその選択に追い込まれるのは、猫にとっても、飼い主さんにとっても、いちばんつらい形です。
どれくらいの割合で気づかれるのかを示す公表データは、私たちが調べた限り見当たりません。LIFULL HOME'Sの不動産事業者アンケートでは、ペットに関するトラブル相談の内容として「飼育禁止のペットを飼っている」が43.2%挙がっており、管理の現場で実際に起きていることの一端が分かります。
入居後に飼いたくなったら、承諾を書面で取る
契約書にペットの記載がない、またはペット不可の物件で入居後に飼いたくなったときは、ひな形の考え方に沿って、貸主に承諾を願い出て、書面で返してもらうのが筋道です。環境省の資料も、借家や社宅は所有者の許可が必要だと書いています。ひな形の特約の例にも「居室内でのペット飼育を禁止している物件について、ペットの飼育を認める場合、その内容」とあり、認める場合の条件を特約として書く形が想定されています。認めてもらえるかどうかは貸主しだいで、断られることもあります。
貸主が心配しているのは主に修繕費です。LIFULL HOME'Sの不動産事業者アンケートで、オーナーから聞いたことがあるペット不可の理由は「破損や汚れが発生し、修繕費や回復期間が長くなる可能性があるため」が74.2%で最多でした。承諾をお願いするときは、この不安に答える形(爪とぎや保護の対策、退去時の費用の取り決めを書面にすること)で話すと、相談が進めやすいと考えられます(当方の見立てです)。個別の契約で迷ったときは、管理会社や貸主、お住まいの地域の消費生活センター、必要なら弁護士などの専門家に相談してください。
子猫を迎える順番は?書面の承諾、成約、入居、お迎え

ブリーダーとしてお勧めする順番は、①書面で承諾をもらう、②見学と成約、③入居、④お迎えです(当社の考え方です)。今のお住まいで迎える場合は、③の入居は要りません。承諾が書面で手元に届く前に、子猫の成約へ進まないでください。
理由は、当社の条件にあります。内金(基本2万円)を入れた時点で事実上の成約となり、お客様都合のキャンセルでは内金は返金されません。成約後は、最大1か月お預かりできます(全猫舎共通。お預かりの期間が長くなる場合は、内金の額も増えることがあります)。承諾が出る前に内金を入れてしまうと、承諾が出なかったときに、お客様都合のキャンセルとなって内金が戻らない事態になりかねません。それを避けるための順番です。承諾が出たあとなら、お預かりの最大1か月の範囲で、お迎え日を入居日や荷ほどきの予定に合わせて決められます。入居日がまだ先なら、成約も後ろにずらして、成約から入居・お迎えまでが1か月に収まるようにしてください。内金の条件の詳細は子猫のお迎え時期が未定でも相談していい理由にまとめています。
承諾を待つあいだに、気になっていた子が先に決まることはあります。承諾の返事がいつごろ出るかを、先に管理会社へ聞いておいてください。その日程に合わせて見学の予定を組むのが現実的です。見学は事前予約制で、見学だけでも問い合わせて大丈夫です。当社のよくある質問でも、マンションやアパートについては「お住まいの賃貸契約でペット可かどうかを事前にご確認ください」とご案内しています(よくある質問)。
お迎えの日と引っ越しの日は、離しておくのがお勧めです。引っ越しの日は人の出入りが増え、玄関が開く回数も増えるので、荷ほどきが落ち着いてから迎えるほうが、猫にも飼い主さんにも余裕が生まれます(ブリーダーとしての考えです)。引っ越し前後の猫のケアは猫の引っ越しストレス、お迎え当日の過ごし方は子猫お迎え初日の過ごし方をご覧ください。
数年後の引っ越しも考えておく
環境省の資料は、今の住まいで猫を飼える環境でも、転居や転勤の予定があるなら慎重な判断が必要だと書いています。LIFULL HOME'Sの調査(犬または猫の飼育経験者1,100人)では、ペットとの住まい探しで不便を感じた経験があるのは91.6%で、理由の1位は「ペット可物件の数の少なさ」(34.4%)でした。次の住まいを探すときも、同じ手順で承諾を確かめることになります。
当社の子猫は、マイクロチップを装着し、初期登録を済ませた状態でお引き渡ししています。お迎えのあとは飼い主さんの名義への変更登録が要り、引っ越して住所が変わったときも、登録情報の変更が必要です。手順は猫のマイクロチップ完全ガイドで解説しています。
集合住宅で猫と暮らす近所づきあいと、品種の選び方

集合住宅で猫と暮らすときは、上下左右の部屋への知らせと、騒音への注意を、契約と同じくらい大事にします。LIFULL HOME'Sの調査で、ペットと住んで近隣から注意や要請を受けた経験があるのは66.5%でした(犬または猫の飼育経験者の合算で、猫だけの数字ではありません)。
環境省の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」(平成22年)が集合住宅向けに挙げている点を、猫に当てはめて抜き出します。
- 上下左右の部屋の居住者には、犬や猫を飼っていることを必ず知らせる
- 鳴き声や、室内での走り回りなどの騒音に注意する
- 共用部分のベランダには、猫を出さない
- 不妊去勢手術をすると、落ち着いた穏やかな性格になり、発情期の大声やマーキングが少なくなって飼いやすくなる
不妊去勢手術の時期や発情期の様子は、猫の発情期はいつから?で解説しています。
「静かな品種」を断言しない理由
結論から言うと、「この品種なら鳴き声が静か」と言い切れる根拠は、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。品種を選ぶ段になると、「鳴き声の静かな品種はどれですか」という質問が出てきますが、Salonenら(2019年)は、フィンランドの飼い猫5,726頭(40品種を19のグループにまとめて分析)の飼い主アンケートで、品種による行動の違いを調べています(Salonen M ら, Sci Rep 2019)。品種差が確認された項目の1つが活動性で、最も活発だったのはコーニッシュレックス・コラット・ベンガル、最も低かったのはブリティッシュショートヘアでした(考察では、ラグドール・セイントバーマンも低い側として挙げられています。名称は論文の表記)。
ただし、この研究が調べた10項目に、鳴き声は入っていません。活動性も飼い主の回答で、足音の大きさや運動量を測ったものではありません。品種ごとの鳴き声の大きさを比べた査読論文は、私たちが探した範囲では見つけられませんでした(網羅的な文献調査ではありません)。
そのため、この記事では「静かな品種ベスト◯」のようなランキングは作りません。品種より先に、不妊去勢手術と部屋の使い方、近隣への挨拶を考えるほうが現実的です。そのうえで品種を選ぶなら、5つの基準を当キャッテリーの経験で評価した飼いやすい猫の種類ランキング(研究データではなく経験に基づく評価です)と、品種一覧をご覧ください。一人暮らしの方は一人暮らしで猫は飼える?、留守番の時間が気になる方は猫の留守番は何時間まで大丈夫?も参考になります。
よくある質問
Q. 賃貸で猫を飼ったらバレますか?
バレるかどうかは部屋や近隣の状況しだいで、気づかれる割合を示す公表データは、私たちが調べた限り見当たりません。LIFULL HOME'Sの不動産事業者アンケートでは、ペットに関するトラブル相談として、近隣の鳴き声に関する相談のほか、「飼育禁止のペットを飼っている」という相談も挙がっています。バレるかどうかより、書面の承諾を取れるかどうかを先に考えるほうが、猫と長く暮らせます。
Q. ペット不可の賃貸で、猫を飼ってもいいですか?
契約でペットが認められていない場合、無断で飼うと契約違反になります。国交省の資料は「契約の解除や損害賠償を請求される可能性もあります」と説明しています。貸主が承諾すれば飼える場合もあるので、まず承諾を願い出て、書面で返してもらってください。断られる可能性もあります。
Q. 猫のいた部屋の退去費用はいくらかかりますか?
金額の相場を示す全国の統計や国の資料は、私たちが調べた限り見当たりません。負担は、傷の部位・範囲・経過年数・特約で決まります。クロスなら耐用年数6年で負担割合が1円に近づく計算です。請求が来たら内訳と根拠を確認し、話し合いで解決を図るのが基本で、管理会社アンケートでは話し合いでの解決が96.1%でした。
Q. 入居してから猫を飼いたくなったら、どうすればいいですか?
国のひな形では、犬や猫の飼育は貸主の書面による承諾が要る行為です。承諾願いを出して、承諾の書面を返してもらってください。ペット不可の物件では断られることもあります。無断で迎える前に、まず貸主か管理会社に相談しましょう。
Q. 2匹目を迎えるときも、承諾は必要ですか?
頭数の条件は契約書や特約によって違います。1匹分の承諾が2匹目に及ぶとは限りません。承諾書に頭数を書いておくと食い違いにくく、2匹目を迎える前には、書面の内容を管理会社に確認してください。
Q. 賃貸に向いている猫の品種はありますか?
品種ごとの鳴き声の大きさを比べた査読研究は、私たちが探した範囲では見つかりませんでした。品種差が確認されているのは活動性などで、個体差も大きいと考えられます。品種より、不妊去勢手術や部屋の使い方、近隣への配慮が先です。品種の選び方は品種一覧と飼いやすい猫の種類ランキングをご覧ください。
まとめ
賃貸で猫を飼うときの順番は、次の4つです。
- 図面ではなく書面で、「ペット可」の中身(頭数・特約・別に払うお金)を確かめる
- 退去時の費用は、経過年数・範囲・特約で決まることを、契約前に読んでおく
- 内緒にせず、承諾を書面で手元に置く
- 承諾が出てから、子猫の成約とお迎えへ進む
実際の契約書は物件ごとに違うので、迷ったときは管理会社や貸主、専門家にご確認ください。Flowens Catの見学は事前予約制で、見学だけでも歓迎しています。賃貸で猫を飼う準備の途中でも、子猫一覧を見て、お迎えの流れを確かめるところから始められます。
出典
各URLは2026年10月1日に開いて、本文で使った記述が載っていることを確認しました。
- 国土交通省住宅局「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年8月) https://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf
- 国土交通省住宅局参事官「「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に関する参考資料」(令和5年3月) https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001611293.pdf ※民法621条の文言は、この資料の引用で確認しました
- 国土交通省「賃貸住宅標準契約書」(平成30年3月版・連帯保証人型) https://www.mlit.go.jp/common/001479827.pdf ※ひな形であり、実際の契約書は物件ごとに異なります
- 東京都住宅政策本部「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」第4版(令和4年12月) https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/juutakuseisaku/310-6-jyuutaku ※東京都の資料で、全国一律ではありません
- 環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」(平成22年2月) https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2202.pdf
- Salonen M, Vapalahti K, Tiira K, Mäki-Tanila A, Lohi H. "Breed differences of heritable behaviour traits in cats." Sci Rep. 2019;9. doi:10.1038/s41598-019-44324-x https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31138836/
- LIFULL HOME'S「ペットとの住まい探しの実態調査」(2025年5月29日発表。ユーザー調査は2025年4月、犬または猫の飼育経験者1,100人、不動産事業者調査131人) https://lifull.com/news/43335/
- Flowens Cat「見学客アンケート」(猫だけを希望された方の回答43人・複数回答。当社の集計)
※ 記事内の画像はイメージです。実際にお迎えいただける子猫の写真は子猫一覧でご覧いただけます。








