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取扱品種の子猫79頭を見る ›目次ひらく(全14章)
- 01はじめに——ソマリについて、先に知っておきたいこと
- 02ソマリとは?アビシニアンの「突然変異」から生まれた品種
- 03公式基準に見る「特別に長い毛」——ラフ・ブリーチズ・プリューム状の尾
- 04ソマリの毛色は何種類?ルディ・レッド・ブルー・フォーンの見分け方と白・グレー
- 05ソマリの性格・特徴——アビシニアンとほぼ共通
- 06ソマリとアビシニアンは何が違う?——毛以外の違いも含めて
- 07ソマリがかかりやすい病気——遺伝子データで見る実態
- 08ソマリの値段相場——なぜサイトによって数字が違うのか
- 09お手入れ——ブラッシングとシャンプーの現実的な頻度
- 10ソマリを探している方へ
- 11ソマリの代わりに検討したい3品種
- 12よくある質問
- 13まとめ——ソマリの性格と飼い方を正直に
- 14参考文献・出典
この記事の要点:ソマリの毛色は、CFAが4色、TICAが6色と団体で違い、確認した5団体に白・グレー・黒の単色はありません。性格はアビシニアンとほぼ共通で、値段は15〜40万円、病気の保因率は国で差があります。
はじめに——ソマリについて、先に知っておきたいこと
Flowens Cat はソマリを取り扱っていません。 ソマリはアビシニアンと遺伝的なルーツを共有しているため、PK欠損症や進行性網膜萎縮症など、アビシニアンと重なる病気のリスクがあります。
この記事では、「ふさふさの尻尾がかわいい」「アビシニアンの長毛版」という説明だけでなく、なぜ長毛になるのか——遺伝子レベルの理由、アビシニアンとの遺伝的リスクの微妙な違いまで踏み込んでお伝えします。
この記事で解説すること:
- ソマリの成り立ちと、長毛を生む遺伝子の正体
- 公式基準に見る「特別に長い毛」の構造
- 毛色の種類と見え方——団体ごとの公認色、「レッド」「グレー」「白」の正体
- 性格の特徴と、アビシニアンとの違い
- かかりやすい病気——保因率・アレル頻度の国際比較データ
- 値段相場とお手入れの現実
- 同じ魅力に近い代替品種
なお、アビシニアンの性格や多頭飼いのコツについては別記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
ソマリとは?アビシニアンの「突然変異」から生まれた品種
結論から言うと、ソマリはアビシニアンの毛の中に偶然生まれた長毛の個体を選んで固定した品種です。 1940年代から自然発生的に見られ、1970年代に北米で独立した品種として公認されました。ここまでは他のサイトにも書かれている内容ですね。ここで一歩踏み込みたいのは、「なぜ長毛になるのか」という遺伝子レベルの理由です。
なぜ長毛になるのか——FGF5遺伝子という一次情報

2007年に発表されたDrögemüller Cらの研究(Animal Genetics誌)は、ソマリを含む長毛の猫25頭(ソマリ・ペルシャ・メインクーン・ラグドール・雑種)を遺伝子解析し、FGF5(線維芽細胞増殖因子5)遺伝子のミスセンス変異(c.194C>A)が、長毛個体でホモ接合状態(両親から同じ変異を受け継いだ状態)で確認されたと報告しています(Drögemüller et al., 2007)。
FGF5は毛周期(毛が伸びて抜け替わるサイクル)を制御する遺伝子で、この変異があると毛の成長期が通常より長く続き、結果として毛が長くなります。長毛は短毛に対して劣性遺伝のため、両親がともにこの変異を持っている場合にだけ、長毛の子猫が生まれます。アビシニアンの毛並みの中にごくまれに長毛の子猫が生まれたのは、この劣性遺伝子が偶然そろったためだったというわけです。
意外に思われるかもしれませんが、この変異はソマリだけのものではなく、ペルシャやメインクーン、ラグドールなど「長毛種」と呼ばれる品種の多くに共通して見つかっています。つまりソマリの長い被毛は特別な進化の産物ではなく、猫という種にもともと存在していた劣性遺伝子が、アビシニアンの中で偶然そろって表に出たという理解が正確です。
公式基準に見る「特別に長い毛」——ラフ・ブリーチズ・プリューム状の尾

結論から言うと、ソマリの魅力である「ふさふさの尻尾」は、公式ブリード基準では「ラフ」「ブリーチズ」「プリューム状の尾」という3ヶ所の飾り毛として明確に定義されています。
米国の血統登録団体CFA(The Cat Fanciers' Association)のブリードスタンダードでは、以下の3ヶ所に特に長い毛を持つことが望ましいとされています。
| 部位 | 名称 | 特徴 |
|---|---|---|
| 首周り | ラフ | えりまきのように広がる飾り毛 |
| 後脚 | ブリーチズ | ズボンのようにふんわりとした飾り毛 |
| 尾 | プリューム状の尾 | 太い付け根から先細りで、全身にバランスした長さの「フルブラシ状」 |
この基準は「子猫期にはラフやブリーチズが未発達な場合がある」旨も明記しています。「うちの子、思ったよりふさふさじゃない」と感じても、成長とともに飾り毛が発達してくることが多いので、焦らず見守ってあげてくださいね。
もう一つの主要団体であるTICA(The International Cat Association)のブリード基準では、体重の目安をメス6〜8ポンド(約2.7〜3.6kg)・オス8〜10ポンド(約3.6〜4.5kg)、被毛は「iridescent(虹色がかった光沢)」な質感を持つセミロングと定義しています(TICA, Somali breed page)。毛色の定義は団体ごとに違うため、次の節で原文を並べて確かめます。
ソマリの毛色は何種類?ルディ・レッド・ブルー・フォーンの見分け方と白・グレー
結論から言うと、ソマリの毛色は団体によって数が違い、米国のCFAは4色、TICAは6色(TICAは、それぞれにシルバーも認める)です。白・グレー・黒の単色は、今回確認した5団体のどの公認色にもありません。
Flowens Catはソマリを取り扱っていないので、毛色を売り分ける立場にはありません。日本語の解説どうしで色の数や呼び名が食い違っていたため、各団体の公式な資料を2026年10月2日に開いて、色の名前を原文のまま並べて確かめました。表の日本語訳は当方で作ったもので、原文の英語表記を添えています。
4色を並べて見る(CFAの標準)
結論から言うと、CFAの標準は、ルディ・シナモン・ブルー・フォーンの4色を、地色・ティッキングの色・鼻・肉球の色まで書き分けています。
ソマリの毛は、1本ごとに濃い帯と薄い帯が交互に入る「ティッキング」でできています。色名は、毛の根元に近い地色と、その上に入る帯の色の組み合わせで決まります。
| CFAの表記 | 日本での主な呼び名 | 地色 | ティッキングの色 | 鼻と肉球 |
|---|---|---|---|---|
| Ruddy | ルディ | 焦げた赤茶色(burnt-sienna) | 濃い茶色から黒。尾の先は黒 | 鼻はれんが色。肉球は黒か濃い茶色 |
| Cinnamon | レッド、ソレル、シナモン | 豊かで輝く赤。下毛は赤橙 | チョコレート色。尾の先も同じ | 鼻はばら色がかったピンク。肉球はピンクで、指の間がチョコレート色 |
| Blue | ブルー(通称グレー) | 暖かいベージュ | スレートブルー(青みのある灰色)。尾の先も同じ | 鼻はくすんだバラ色(old rose)。肉球は藤色(mauve) |
| Fawn | フォーン | ピンクがかった暖かいベージュ | 明るいココア色 | 鼻はサーモン色。肉球はピンクで、指の間が明るいココア色 |
写真だけで色名を当てるのは簡単ではありませんが、鼻と肉球の色は手がかりになります。CFAの標準は、鼻や肉球の色が違うことを失格の理由にも挙げています(原文は「Wrong color paw pads or nose leather」)。ただしこれは品評会の基準の話で、ペットとして迎える子の良し悪しを決めるものではありません。
団体によって「公認の色」は違う
結論から言うと、公認する色の数は、CFAが4色、TICAが6色、英国のGCCFが28色と、団体によって違います。
| 団体 | 公認の色(原文の表記) | シルバー |
|---|---|---|
| CFA(米国) | 4色:Ruddy・Cinnamon・Blue・Fawn。これ以外の色は失格(原文:Any other colors than the four accepted colors) | 標準に記載なし |
| TICA(米国) | 6色:ruddy・cinnamon・blue・fawn・chocolate・lilac | あり(原文:Each color can also be accompanied by silver) |
| FIFe(欧州) | 4色:mahogany(ruddy)・copper(sorrel)・slate blue(blue)・salmon pink(beige-fawn) | あり(原文:all silver variations) |
| WCF | 4色:ruddy・blue・sorrel・fawn | あり(4色それぞれ) |
| GCCF(英国) | 28色:Usual・Sorrel・Chocolate・Blue・Lilac・Fawn・Red・Creamの8色と、トーティ6種の計14色に、それぞれシルバー版 | 全色にあり |
この表から、次の3点が言えます。
- 「ソマリは4色」は、一部の団体の数え方です。 TICAはCFAにないチョコレートとライラックも公認しています。
- 同じ系統の色でも、団体で呼び名が違います。 GCCFの資料は Sorrel を「cinnamon」と説明しており(原文:Sorrel (cinnamon))、CFAの Cinnamon と同じ系統の色が、英国では Sorrel と呼ばれていると考えられます。ルディにあたる色は、GCCFでは Usual、FIFeでは mahogany(ruddy)です。
- 迎えるときは、血統書の発行団体と色名を確かめておくと安心です。 上の表のどれにあたるのか判断しやすくなります。日本国内の団体の公認色は、今回は確認できていません。
「レッド」は何の色?
結論から言うと、日本語で「レッド」と呼ばれるソマリの多くは、CFAとTICAの原文では「Cinnamon(シナモン)」にあたる色と考えられます。英国のGCCFには、これとは別に「Red」という公認色があります。
CFAの現行標準は、この色を Cinnamon と書いています(地色とティッキングは前の表のとおり)。日本語の解説には、同じ色を「レッド」と訳したものがあります。名前がいつ変わったのかは確認できていません。
この2つは、色素の成り立ちが違います。
- Cinnamon(CFA・TICA):黒系の色素そのものが変わった色です。TICAの標準は、ソマリの色を「Limited to eumelanistic colors and agouti pattern only」(黒系の色素の色だけ)と限っており、TICAのソマリに赤やクリームはありません。シナモンは、茶色を決める遺伝子(TYRP1)の変化と結びついていると、2005年の研究が報告しています(Schmidt-Küntzel et al., 2005。この論文は猫全般の毛色を調べたもので、ソマリが対象ではありません)。
- Red(GCCF):オレンジ遺伝子が、黒系の色素をすべて取り除いて赤や黄色の色素に置き換えた色です。GCCFの資料では、Red のティッキングも赤(原文:Bright Red)です。Sorrel のほうは、ティッキングが cinnamon と書かれています(GCCF Somali Breed Advisory Committee, 2014)。
つまり、ティッキングがチョコレート色なら Cinnamon(Sorrel)、ティッキングも赤なら英国式の Red、ということになります。日本で「レッド」と呼ばれるソマリは前者だと考えられますが、後者を指す例があるかどうかまでは確かめていません。
「グレー」「白」「黒」のソマリはいる?
結論から言うと、無地の灰色・白・黒のソマリは、確認した5団体の公認色にいません。検索で使われがちなこの3つの言葉は、次のように読み替えると、団体の資料と話が合います。
| 検索される呼び名 | 団体の資料で当てはまりそうな色 | 原文からわかること |
|---|---|---|
| グレー | ブルー | 地色は暖かいベージュで、ティッキングが青みのある灰色です。CFAもTICAも、ルディやシナモンなどの地色が冷たい灰色に見えることは減点にしています(原文:cold grey / gray) |
| 白 | シルバー、またはのど・あご・鼻まわりの白い部分 | 白が許されるのは、のど上部・あご・鼻まわりだけです。CFAは胸の白斑(locket)や鼠径部の白を失格にし、TICAはタビー系の色で同じ範囲以外に白があれば全賞を与えません(WITHHOLD ALL AWARDS)。GCCFも「重大な欠点」として賞を与えません |
| 黒 | ルディの黒いティッキング | 黒一色の猫はいません。GCCFの資料は、ソマリは全頭がティックドタビー(縞のない、1本の毛に帯が入る柄)で、白斑の遺伝子も持たないと書いています。WCFの表にある「black silver」は、並びから見てルディのシルバー版の呼び名と読めます |
「白っぽく見える」ソマリとして考えられるのは、シルバーです。TICAの標準は、シルバーの下毛を「icy white(氷のような白)」と書き、GCCFはインヒビターという遺伝子が毛の根元を銀白色にすると説明しています(原文:silvery white base)。ブルーのシルバー版(blue silver)は、GCCFの資料で「glacial, silvery blue」(氷河のような銀青色)とされ、銀白色の根元に青みのある灰色のティッキングが入った色です。シルバーの遺伝子の話は、グレーの猫の種類でも触れています。
子猫のころは色がはっきりしない
結論から言うと、ソマリの子猫はティッキングが出そろうのが遅く、ブルーやフォーンのような薄い色で特に遅いと、団体の資料に書かれています。
- CFAの標準:ソマリは成熟したティッキングが出るのが「extremely slow」(極めて遅い)ので、子猫や若い猫には配慮するようにと注記されています
- GCCFの品種ページ:肩にティッキングの気配が出る目安は12週です
- GCCFの繁殖方針(2014年1月):ティッキングは薄い色で特に遅いが、すべての子猫で少なくとも肩には14週までに見えるはず、とされています
12週と14週は食い違っていますが、前者は現行の品種ページ、後者は2014年の資料で、どちらが現行の基準かまでは確認できていません。ティッキングが出そろう前の子猫は、成猫の色味とは違って見えることがあります。「ブルーと言われたのに、思ったより茶色っぽい」と感じても、すぐに色名が違うと決めつけず、血統書の色名を確かめて、成長を見守ってあげてください。
ブルーとフォーンは珍しい?
結論から言うと、「ブルーは珍しい」とも「ありふれている」とも言い切れません。国内の流通全体での色の比率を示す公表データは、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。
2026年10月2日に、子猫の掲載サイトを2つ数えてみました。結果は、多い色がサイトによって逆でした。掲載は、その日の在庫にすぎず、人気や売れ行きを表す統計ではありません。
「出にくい色」と言われる理由として確かめられるのは、遺伝の仕組みです。
- 毛色を薄める遺伝子は劣性で、両親から1つずつ受け継いだときだけ現れます。猫の薄い色は、MLPH遺伝子の1塩基の欠失が原因で、「完全浸透の常染色体劣性」の形質だと2006年の研究が報告しています(Ishida et al., 2006。これも猫全般の研究で、ソマリが対象ではありません)
- GCCFのソマリ繁殖方針は、ブルー・ライラック・フォーン・クリームの個体はすべてこの遺伝子を2コピー持つと書いています(原文:All Blue, Lilac, Fawn and Cream Somalis have two copies of this allele)。黒系の色が薄まるとブルー、シナモンが薄まるとフォーンです
- ただし、ソマリでは「ブルー同士なら全員ブルー」のような言い切りは控えます。同じ資料に、黒系の猫はチョコレートかシナモンのどちらかを隠し持てるという記載があり、組み合わせで子猫の色が変わるためです
薄める遺伝子の仕組みはグレーの猫の種類、毛色遺伝の基本は猫の毛色と遺伝のしくみに詳しく書いています。掲載サイトの中には色別の「相場」を表示するものもありましたが、母数が数頭から十数頭と小さく、サイト独自の表示値のため、色による値段差の根拠にはしませんでした。値段の見方は、後の値段相場の節をご覧ください。
この節で確かめられなかったこと
確かめられなかったことは、わかったふりをせず、ここにまとめておきます。
- フォーンがCFAに公認された年:日本語の解説に「1990年に公認された最も新しい色」という記述がありますが、CFAの品種ページで確認できたのは「1976年に登録を始め、1979年にチャンピオンシップの資格を得た」というソマリ全体の経過までで、フォーンの公認年は確認できませんでした
- 日本国内の血統登録団体の公認色
- 毛色による値段の差を示す統計
- 国内の流通全体での、色ごとの比率
「ソマリのブルー」を探している方へ
結論から言うと、ブルー(グレー)の色味が目的なら、当社の取扱品種でも探せます。ただし、ソマリ特有の質感まで同じ代わりになる品種は、私たちが把握している限りほとんどありません。
Flowens Catはソマリを取り扱っておらず、毛色を決める遺伝子の検査も行っていません。当社が親猫に行っている遺伝子検査は、PKD・HCM(肥大型心筋症)2種・PKなど、健康に関わる病気が対象です。
取扱品種でのブルーはグレーの猫の種類にまとめています。ブルーが品種の代名詞になっているのはブリティッシュショートヘアです。1本の毛に濃淡の帯が入るソマリの質感がいちばんの目的なら、ソマリを専門に扱うブリーダーを探すことになります。その場合は、血統書の色名に加えて、両親の色名も確かめてください。ふさふさの尾や活発な性格に惹かれた方は、後ろの「ソマリの代わりに検討したい3品種」の節もご覧ください。
ソマリの性格・特徴——アビシニアンとほぼ共通
結論から言うと、ソマリの性格はアビシニアンとほぼ共通しています。好奇心旺盛で活発、家族には甘えるものの、家族以外にはやや人見知りする傾向があります。
- 好奇心旺盛で、高いところへの探索や運動を好む
- 知能が高く、遊びを通じたコミュニケーションを喜ぶ
- 家族には甘えん坊だが、来客などにはやや慎重
- 鳴き声は小さく控えめ
- 多頭飼いの適性は個体差が大きく、一律には決めつけられない
これらの性格特性は基本的にアビシニアンと共通しており、性格傾向の詳しい解説・多頭飼いを成功させる6ステップ・自己診断チェックリストはアビシニアンの性格や飼いにくさの実際で詳しく解説しています。ソマリを検討している方にもそのまま参考になる内容ですので、あわせてご覧ください。
ソマリとアビシニアンは何が違う?——毛以外の違いも含めて

結論から言うと、ソマリとアビシニアンの違いは「被毛の長さ」だけではありません。遺伝的なリスクの内訳にも、国によって無視できない差があります。
| 比較項目 | アビシニアン | ソマリ |
|---|---|---|
| 被毛 | 短毛(ティックドコート) | セミロング(ラフ・ブリーチズ・プリューム状の尾) |
| 体重(TICAの基準) | メス約2.7〜4.1kg・オス約3.2〜5.4kg | メス約2.7〜3.6kg・オス約3.6〜4.5kg |
| 性格 | 好奇心旺盛・活発・甘えん坊 | ほぼ共通(長毛化以外の性格差は確認されていない) |
| 起源 | エチオピア由来説など諸説 | アビシニアンの長毛突然変異(FGF5遺伝子) |
| PK欠損症の保因率 | 米国24.6%・英国22.2% | 米国16.9%・英国24.6% |
被毛以外の違いとして実務的に重要なのは、次章で解説する「PK欠損症の保因率」がアビシニアンとソマリ、さらに国によって異なるという点です。「アビシニアンよりソマリの方がリスクが低い」と単純化できるものではなく、むしろ地域差の方が大きいというのが、データを見て分かる実態です。
ソマリがかかりやすい病気——遺伝子データで見る実態
結論から言うと、ソマリはアビシニアンと共通の遺伝的リスク(PK欠損症・進行性網膜萎縮症・腎アミロイドーシス)を持ちますが、それぞれの発症確率や遺伝の仕組みは病気ごとに大きく異なります。「遺伝病がある」とひとまとめにする説明は不正確だと感じます。
PK欠損症——保因率は国と品種で大きく違う
PK欠損症(ピルビン酸キナーゼ欠損症)は、赤血球のエネルギー代謝に必要な酵素が遺伝的に欠乏し、赤血球が早期に壊れることで溶血性貧血を起こす病気です。常染色体劣性遺伝のため、両親がともに保因者(キャリア)の場合に発症する子猫が生まれます。
2012年に発表されたGrahn RAらの大規模遺伝子調査(BMC Veterinary Research誌)は、アビシニアンとソマリそれぞれについて、国別の保因者頻度・変異アレル頻度を算出しています(Grahn et al., 2012)。
| 品種・国 | 検査頭数 | 保因者頻度 | 変異アレル頻度 |
|---|---|---|---|
| アビシニアン(米国) | 1,958頭 | 24.6% | 12.6% |
| アビシニアン(英国) | 36頭 | 22.2% | 11.0% |
| ソマリ(米国) | 633頭 | 16.9% | 8.53% |
| ソマリ(英国) | 65頭 | 24.6% | 14.0% |
臨床的な経過についても、具体的なデータがあります。2008年のKohn B, Fumi Cによる追跡調査(Journal of Feline Medicine and Surgery誌)では、PK欠損症のアビシニアン・ソマリ25頭を0.8〜11.3年(中央値4.3年)追跡した結果、症状が現れた年齢の中央値は1.7歳、検査所見としては貧血70%・網状赤血球増加94%・高グロブリン血症80%が確認されました(Kohn & Fumi, 2008)。注目すべきは、追跡対象のうち11頭は飼い主から見て症状に気づかれていなかったという点です。「元気そうに見える」ことは、PK欠損症を持っていないことの証明にはなりません。だからこそ遺伝子検査による事前確認に意味があるのだと感じます。
進行性網膜萎縮症(rdAc型)——大陸間で3倍近い差

網膜が徐々に萎縮し、最終的に失明へ至る遺伝性疾患です。ソマリ・アビシニアンで見られるタイプは「rdAc」と呼ばれる遺伝子変異が原因です。
2009年のNarfström Kらの研究(Veterinary Ophthalmology誌)は、131頭のDNAを調査し、rdAcアレル頻度を大陸別に算出しています(Narfström et al., 2009)。
- アメリカ: 7%
- イギリス: 21%
- オーストラリア: 11%
- スカンジナビア: 20%
イギリス・スカンジナビアはアメリカの3倍近いアレル頻度です。「進行性網膜萎縮症になりやすい」という一言では片付けられない、地域による繁殖履歴の違いが反映されたデータといえます。
腎アミロイドーシス——「単一の遺伝病」ではない、2021年の最新知見
腎臓にアミロイドという異常なタンパク質が沈着し、若くして腎不全に至ることがある病気です。多くのサイトは「遺伝性の腎アミロイドーシスがある」とだけ説明しますが、実はこの病気の遺伝の仕組みは、今なお解明の途中にあります。
2021年に発表されたGenova Fらの研究(Scientific Reports誌)は、5歳以下という若さで腎不全に至ったアビシニアンの症例をマルチオミクス解析(遺伝子・タンパク質など複数の階層を統合的に調べる手法)で分析しました(Genova et al., 2021)。その結果、原因は変異型の異常なタンパク質ひとつではなく、複数の正常な(野生型の)遺伝子由来のタンパク質の組み合わせによって発症する「多遺伝子形質」である可能性が示されました。遺伝様式(単純な優性・劣性で説明できるかどうか)は、この研究の時点でも依然として未確定のままです。
「遺伝子検査をすれば防げる病気」と誤解されがちですが、腎アミロイドーシスについては、少なくとも現時点でそこまで単純化できるだけの科学的根拠は揃っていません。この限界を含めて正直にお伝えすることが、ブリーダーとしての誠実な情報発信だと考えています。
ソマリの値段相場——なぜサイトによって数字が違うのか
結論から言うと、ソマリの値段相場は情報源によって15万円台から40万円台まで幅があり、断定的な「相場は◯円」という数字はありません。
| 情報源 | 価格帯・数値 | 時点 |
|---|---|---|
| ねこのきもち(ベネッセ) | 32万円〜 | 2026年 |
| nademo.jp | 15〜40万円 | - |
| 子猫ブリーダーナビ集計(掲載平均) | 平均217,692円 | 2026年8月4日時点 |
| ペットショップ経由 | 27.8〜32.78万円 | - |
お手入れ——ブラッシングとシャンプーの現実的な頻度

結論から言うと、ソマリはセミロングの長毛なので、ブラッシングは毎日が基本です。
セミロングのダブルコートを持つソマリは、一部サイトで「1日2回のブラッシング+2週間に1回のシャンプー」という頻度が紹介されていますが、これを裏付ける獣医療・ブリーダー団体の一次資料は今回の調査では見当たりませんでした。猫は本来、自分で毛づくろいをする能力(セルフグルーミング)を持つ動物です。一方、猫の福祉団体 International Cat Care は、長毛の猫には少なくとも毎日、猫が心地よく感じる長さの間だけブラッシングするよう勧めています(品種を分けた指針ではありません)。
現実的な目安としては、以下のように考えるとよいでしょう。
- 通常期: 毎日、短い時間で
- 換毛期(春・秋): 毎日、特に念入りに。抜け毛と毛玉を予防
- シャンプー: 皮膚トラブルがない限り、月1回程度でも十分なケースが多い
過剰なシャンプーは皮脂を取りすぎて、かえって皮膚トラブルの原因になることもあります。「セミロングだから念入りに」という思い込みより、その子の毛質・皮膚の状態を見ながら頻度を調整することが大切ですね。
ソマリを探している方へ
Flowens Catは関東・中部を中心に9品種の猫を扱っていますが、ソマリは取り扱っていません。
「ソマリを探している」という方は、まず「ソマリのどんな魅力に惹かれているか」を整理してみてください。ふさふさの尻尾なのか、アビシニアン譲りの活発な性格なのか、それによって選べる品種は変わってくるからです。
ソマリの代わりに検討したい3品種

結論から言うと、ソマリに惹かれる理由によって、Flowens Catがご提案できる品種は変わります。
知的で活発、遊び好きな性格が好きな方 → マンチカン
ソマリ・アビシニアンに共通する「好奇心旺盛で遊び好き」な性格は、マンチカンにも通じます。短い足でちょこちょこと動き回る愛嬌はマンチカン独自の魅力ですが、知的で人懐っこいコミュニケーションを楽しめる点は共通しています。
ふさふさの尾・セミロングの被毛が好きな方 → サイベリアン
見た目の印象として最もソマリに近いのがサイベリアンです。豊かな尾とセミロングの被毛を持ち、家族には甘えつつも独立心のある性格はソマリの魅力と重なります。アレルギーのもと(Fel d 1)が少ないとよく言われますが、量をほかの品種と比べて確かめた研究は少なく、猫ごとの差が大きいので、猫アレルギーが気になる方は迎える前に会って確かめてください(サイベリアンと猫アレルギーの記事)。
大型で活発、上下運動が好きな方 → ノルウェージャンフォレストキャット
北欧原産の大型長毛種で、豊かな尾とセミロングの被毛はソマリと共通する魅力です。運動能力が高く、キャットタワーなどの上下運動を好む点もソマリに近い性質です。がっしりとした体格ながら、家族には愛情深い性格で知られています。
品種ごとの詳しい性格や飼育のポイントは品種一覧からご覧いただけます。
よくある質問
Q. ソマリとアビシニアンは何が違いますか?
最大の違いは被毛の長さです。ソマリはFGF5遺伝子の変異により長毛化したアビシニアンの一種で、性格傾向はほぼ共通しています。ただしPK欠損症の保因率は国によって傾向が異なり(米国はアビシニアンの方が高く、英国はソマリの方が高い)、単純に「どちらが健康的」とは言えません。詳しくはアビシニアンの性格解説もあわせてご覧ください。
Q. ソマリは飼いにくいですか?
運動量が多く、環境の変化に敏感という性質はアビシニアンと共通しています。「飼いにくい」というより「向き不向きがはっきりしている」品種です。十分な運動環境と遊び時間を確保できるかどうかが、相性を左右します。
Q. ソマリはどこで手に入りますか?日本にブリーダーはいますか?
国内にもソマリを専門に扱うブリーダーは存在しますが、流通頭数は多くありません。Flowens Catでは現在取り扱っておらず、ご希望の方には性格・見た目が近い代替品種をご提案しています。
Q. ソマリの値段はいくらくらいですか?
情報源によって15万円台〜40万円台と幅があります。流通量が少ない希少種のため相場が定まりきっておらず、断定的な金額は避けるべきです。複数のブリーダーから見積もりを取ることをおすすめします。
Q. ソマリの抜け毛やお手入れは大変ですか?
セミロングのダブルコートのため、ブラッシングは毎日が基本です(International Cat Care は長毛の猫に少なくとも毎日を勧めています)。換毛期(春・秋)は特に念入りに。「1日2回+2週間に1回のシャンプー」という頻度を裏付ける一次資料は確認できませんでした。過剰なケアより、その子の状態を見た調整が大切です。
Q. ソマリの毛色は何種類ですか?
団体によって違います。CFAは4色(ルディ・シナモン・ブルー・フォーン)、TICAはチョコレートとライラックを加えた6色で、シルバーも認めています。英国のGCCFは、トーティとシルバー版を含めて28色です。日本語の解説で「4色」と書かれるのはCFAなど一部の団体の数え方で、日本国内の団体の公認色は確認できていません。
Q. ソマリのブルーは珍しいですか?
一概には言えません。2026年10月2日に子猫の掲載サイトを2つ数えたところ、多い色がサイトによって逆でした。国内の流通全体での比率を示す公表データは、調べた範囲では見つかっていません。
Q. ソマリにグレーや白の毛色はありますか?
「グレー」はブルーのことで、地色は暖かいベージュ、ティッキングが青みのある灰色です。無地の灰色や白のソマリは、確認した5団体の公認色にいません。白が許されるのはのど上部・あご・鼻まわりだけで、白っぽく見える子はシルバーの可能性があります(TICA・FIFe・WCF・GCCFが公認、CFAの標準には記載なし)。
Q. ルディとレッドは何が違いますか?
CFAの標準では、地色・ティッキング・鼻と肉球が違います。ルディは焦げた赤茶色の地に濃い茶色から黒のティッキング、鼻はれんが色です。レッド(CFAの表記はCinnamon)は輝く赤の地にチョコレート色のティッキング、鼻と肉球はピンク系です。英国GCCFの「Red」は、ティッキングも赤の別の色です。
Q. ソマリの子猫の毛色は成長で変わりますか?
ティッキングが出そろうのが遅く、子猫のころは成猫の色味と違って見えることがあります。CFAの標準は「極めて遅い」と注記し、GCCFは肩にティッキングが出る目安を12週(品種ページ)、14週(2014年の繁殖方針。薄い色で特に遅い)としています。何か月で完成するかというソマリ固有の数字は、確認できていません。
Q. ソマリのブルーは目も青いですか?
いいえ。「ブルー」は毛色の名前で、目の色ではありません。CFAの標準は目の色をゴールドかグリーン、TICAの標準はゴールド・カッパー・グリーン・ヘーゼルとし、毛色と目の色には関係がないと書いています。生まれたばかりの子猫の目が青いのは別の話で、変わる時期は猫の目の色にまとめたとおり生後3〜6か月が目安です(ソマリ固有の時期は確認できていません)。
まとめ——ソマリの性格と飼い方を正直に
ソマリは、アビシニアンの被毛からFGF5遺伝子の変異によって偶然生まれた、キツネのような尾が魅力の長毛種です。性格の魅力はアビシニアンとほぼ共通する一方、PK欠損症・進行性網膜萎縮症・腎アミロイドーシスといった遺伝的リスクも受け継いでおり、その保因率・アレル頻度は国によって大きく異なることが、複数の学術調査で明らかになっています。
毛色は、CFAが4色、TICAが6色(TICAは、それぞれにシルバーも認める)と団体で違います。日本語で「レッド」と呼ばれる色はCFA・TICAの原文ではCinnamonにあたり、白・グレー・黒の単色は確認した5団体の公認色にいませんでした。色名は血統書で確かめておくと安心です。
Flowens Catではソマリを取り扱っていませんが、ふさふさの尻尾やアビシニアン譲りの活発な性格に惹かれた方には、マンチカン・サイベリアン・ノルウェージャンフォレストキャットなど、近い魅力をもつ品種をご提案できます。
猫を迎える決断は、その子の一生に関わります。見た目の可愛さと同じくらい、遺伝的なリスクを正確に知った上で選んでいただければ幸いです。アビシニアンとの詳しい違いはアビシニアンの性格や多頭飼いのコツ、代替品種の詳細は品種一覧、お迎えの流れやよくある質問もあわせてご覧ください。現在ご紹介できる子猫は子猫一覧からご確認いただけます。
参考文献・出典
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- Grahn RA, Grahn JC, Penedo MCT, Helps CR, Lyons LA (2012) "Erythrocyte pyruvate kinase deficiency mutation identified in multiple breeds of domestic cats" *BMC Veterinary Research* 8:207. — https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3534511/
- Kohn B, Fumi C (2008) "Clinical course of pyruvate kinase deficiency in Abyssinian and Somali cats" *Journal of Feline Medicine and Surgery* 10(2):145–153. — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18077199/
- Narfström K, David V, Jarret O, et al. (2009) "Retinal degeneration in the Abyssinian and Somali cat (rdAc): correlation between genotype and phenotype and rdAc allele frequency in two continents" *Veterinary Ophthalmology* 12(5):285–291. — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19751487/
- Genova F, Nonnis S, Maffioli E, et al. (2021) "Multi-omic analyses in Abyssinian cats with primary renal amyloid deposits" *Scientific Reports* 11:8339. — https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8052419/
- TICA(The International Cat Association)Somali品種ページ(tica.org は自動取得を403で弾くため、読み取り中継 r.jina.ai 経由で本文を取得して、毛色と目の色の記述を2026年10月2日に確認) — https://tica.org/breed/somali/
- CFA(The Cat Fanciers' Association)Somali Breed Standard(revised 2022。PDFを取得して全文を確認、2026年10月2日) — https://cfa.org/wp-content/uploads/2024/03/somali-standard.pdf
- CFA, Somali(品種ページ。4色の記述と、1976年登録開始・1979年チャンピオンシップ資格の記述を2026年10月2日に確認) — https://cfa.org/breed/somali/
- TICA, Abyssinian Breed Group Standard(AB/SO。revised 06/18/08。上記6と同じく読み取り中継経由で本文を取得し、2026年10月2日に確認。白の許容範囲・シルバー・減点・目の色) — https://tica.org/wp-content/uploads/2018/08/ab.pdf
- FIFe, Somali Breed Profile(概要資料。PDFを取得して確認、2026年10月2日) — https://fifeweb.org/wp-content/uploads/2025/12/Breed-Profile-SOM.pdf
- WCF, Somali Breed standard(Update 01.01.2010。PDFを取得して確認、2026年10月2日。古い版の可能性あり) — https://wcf.de/pdf-en/breed/SOM_en_2010-01-01.pdf
- GCCF(The Governing Council of the Cat Fancy), Somali品種ページ(28色・肩のティッキング12週の記述を2026年10月2日に確認) — https://www.gccfcats.org/getting-a-cat/choosing/cat-breeds/somali/
- GCCF Somali Breed Advisory Committee (2014) "The Recommended Breeding Policy for Somali Cats"(2014年1月。PDFを取得して全文を確認、2026年10月2日) — https://www.gccfcats.org/wp-content/uploads/2021/10/Somali.BP_.pdf
- Ishida Y, David VA, Eizirik E, et al. (2006) "A homozygous single-base deletion in MLPH causes the dilute coat color phenotype in the domestic cat." *Genomics* 88(6):698–705. PMID 16860533(PubMed APIで書誌と要旨を確認。ソマリを対象にした研究ではない) — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16860533/
- Schmidt-Küntzel A, Eizirik E, O'Brien SJ, Menotti-Raymond M (2005) "Tyrosinase and tyrosinase related protein 1 alleles specify domestic cat coat color phenotypes of the albino and brown loci." *J Hered* 96(4):289–301. PMID 15858157(PubMed APIで書誌と要旨を確認。ソマリを対象にした研究ではない) — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15858157/
- International Cat Care「Grooming your cat」(長毛の猫は少なくとも毎日、短毛の猫は少なくとも週1回のブラッシング。2026年10月2日に原文を確認) — https://icatcare.org/articles/grooming-your-cat
※ 記事内の画像はイメージです。実際にお迎えいただける子猫の写真は子猫一覧でご覧いただけます。








