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飼育のコツ

猫のしっぽの秘密|骨の数と遺伝、追いかける理由【2026】

猫のしっぽの秘密|骨の数と遺伝、追いかける理由【2026】

マンクスとジャパニーズボブテイル、同じ「短いしっぽ」でも原因になっている遺伝子はまったく別物です。 マンクスは1つの遺伝子が優性に働き、組み合わせによっては命に関わることもある一方、ジャパニーズボブテイルは骨格が変わっていても健康リスクとは相関しないと報告されています。この違いを整理して書いているサイトは、調べた範囲ではほとんど見当たりませんでした。
「猫のしっぽの動きで気持ちがわかる」という記事はたくさんあります。当キャッテリーの猫のしっぽの意味|動きでわかる気持ち8パターン一覧でも、ピンと立てる・パタパタ振るといった気持ちの読み方は詳しく解説しました。

この記事ではあえて気持ちの話から離れ、しっぽという「体の一部」そのものに焦点を当てます。骨の数、品種によって遺伝子から違う短尾のしくみ、自分のしっぽを追いかける行動と病気の境界線——飼い主として意外と知らない「しくみ」の話です。

Flowens Catは関東5・中部3の全国8拠点でマンチカン・ラグドール・サイベリアンなど9品種を扱っていますが、マンクスやジャパニーズボブテイルは取扱品種にありません。だからこそ、どちらかを売りたい立場ではなく、遺伝の事実をそのまま中立にお伝えできます。

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猫のしっぽの基本|骨は何本?筋肉はいくつある?

猫のしっぽを構成する尾椎の連なりと筋肉の位置を示す骨格イラスト
猫のしっぽを構成する尾椎の連なりと筋肉の位置を示す骨格イラスト

猫のしっぽは尾椎という小さな骨が連なってできており、その数はおおむね18〜23個、これを動かす筋肉が十数本ついています。人間の尾骨がわずか3〜5個しかないことを思うと、猫のしっぽがいかに自由自在に動くかがわかります。

平均的な長さは25〜30cm程度ですが、個体差は大きく、ギネス世界記録に認定されたメインクーンのしっぽは44.66cmに達したそうです。長毛種のノルウェージャンフォレストキャットやラグドールは毛のボリュームで実際よりふさふさに見えることも多く、当キャッテリーでも来場されたお客様が「思ったより長い!」と驚かれることがよくあります。

骨の数や筋肉の話はここまでにして、本題に入ります。同じように骨が並んでいるはずなのに、なぜ品種によってしっぽの長さがここまで違うのでしょうか。答えは「筋肉の使い方」ではなく「遺伝子」にあります。

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マンチカンやマンクスのしっぽが短い理由は、実は遺伝子から違う

マンクスとジャパニーズボブテイルの尾を並べ、それぞれ異なる遺伝子が関わることを示す比較イラスト
マンクスとジャパニーズボブテイルの尾を並べ、それぞれ異なる遺伝子が関わることを示す比較イラスト

「短尾の猫」とひとくくりにされがちですが、マンクスとジャパニーズボブテイルでは原因となる遺伝子も、健康リスクとしての意味もまったく異なります。 上位表示されている競合サイトを確認した範囲では、ここまで踏み込んで区別している記事はありませんでした。

マンクス:1つの優性遺伝子が骨格と神経に影響する

マンクスの無尾は、常染色体優性の「M遺伝子」によって起こるとされています(Deforest & Basrur, 1979, Canadian Veterinary Journal)。この遺伝子をホモ接合体(両親から同じ遺伝子を1つずつ受け継ぐ状態)で持つと、胎生致死になるとされ、生まれてこられないケースがあると報告されています。ヘテロ接合体(片方だけ受け継いだ状態)でも、脊髄係留(せきずいけいりゅう)や髄膜瘤といった神経系の合併症を伴う症例が報告されており(Plummer et al., 1993, JAVMA)、遺伝子レベルではT-box遺伝子(Brachyury)の変異による半数体不全が関与していると考えられています(Buckingham et al., 2013, Mammalian Genome)。

ジャパニーズボブテイル:骨格は変わっても健康リスクとは相関しない

一方、ジャパニーズボブテイルの短尾は別の遺伝メカニズムによるものです。こちらも常染色体優性ですが表現には幅があり、平均尾椎数は約15.8個(通常18〜23個より少なめ)、胸椎も12個(通常13個)と、骨格そのものに変異を伴います。ここまで聞くと不安に思われるかもしれませんが、Pollard, Koehne, Peterson & Lyons(2015年、Journal of Feline Medicine and Surgery)の研究では、「異常な椎骨数式や曲がりの位置は、罹患率・死亡率と相関しなかった」と結論づけられています。つまり骨の並び方は変わっていても、それ自体が病気につながるわけではないというデータです。遺伝子レベルでは、体節形成に関わるHES7遺伝子が関与している可能性が示唆されています(Lyons et al., 2016, BMC Genomics)。

比較項目マンクスジャパニーズボブテイル
遺伝形式常染色体優性(M遺伝子)常染色体優性(表現に幅あり)
関与する遺伝子T-box遺伝子(Brachyury)HES7遺伝子の関与が示唆
ホモ接合体のリスク胎生致死とされる明確な致死性は報告されていない
骨格変異と健康の関係脊髄係留・髄膜瘤等の神経系合併症の報告あり罹患率・死亡率との相関は確認されていない
同じ「しっぽが短い・ない」という見た目でも、体の中で起きていることはまったく違います。マンクスを繁殖させる場合、ホモ接合体同士の交配を避けるなど、責任あるブリーダーには相応の配慮が求められます。一方でジャパニーズボブテイルは、骨格の変異があっても、それ自体を過度に心配する必要はなさそうだという、対照的な事実がここにあります。

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しっぽが短い・ない猫種、長い猫種はどんな品種がいる?

短尾・無尾の代表的な品種はマンクス、ジャパニーズボブテイル、キムリック(マンクスの長毛版)です。逆に長くふさふさしたしっぽを持つ代表格は、メインクーン、ノルウェージャンフォレストキャット、ラグドール、サイベリアンなどの長毛種で、寒冷地原産の品種ほど防寒のために毛量豊かなしっぽを持つ傾向があります。

Flowens Catで扱うノルウェージャンフォレストキャットサイベリアンは、まさにこの「寒冷地×長尾×ふさふさ」の典型で、冬場に体を丸めてしっぽを鼻先に巻きつけて眠る姿がよく見られます。品種ごとの詳しい特徴は品種一覧でも確認いただけます。

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猫が自分のしっぽを追いかける・軽く噛むのは病気のサイン?

室内で自分のしっぽを追いかけて遊ぶ健康な猫の様子
室内で自分のしっぽを追いかけて遊ぶ健康な猫の様子

猫が自分のしっぽを追いかけたり軽く噛んだりする行動は、健康な猫にも高頻度で見られる行動であり、単独では病気の証拠にはなりません。 ただし頻度や皮膚の状態によっては、受診を検討すべきケースもあります。

この行動は動物行動学・獣医学の分野で「猫皮膚知覚過敏症候群」と呼ばれる臨床概念と関連づけて研究されることがあります。しっぽの自傷を伴う症例を集めた後ろ向き研究(Amengual Batle et al., 2019, Journal of Feline Medicine and Surgery)では、神経内科・行動科・皮膚科をまたいだ学際的な診断アプローチが提唱されています。

一方で、飼い主が知っておくと安心できるデータもあります。健康な猫の集団を対象にした調査では、73.1%が少なくとも1つのこうした関連行動サインを示したと報告されています(Avril, Lamoureux, Valentin & Jeandel, 2025)。つまり、しっぽを追いかけて遊ぶ・軽く噛む程度の様子は、多くの健康な猫にも見られるありふれた行動だということです。「うちの子だけおかしいのでは」と不安になる必要はありません。

とはいえ、以下のようなサインが重なる場合は、単なる遊びではなく受診を検討したい目安です。

  • 追いかける・噛む頻度が明らかに増えている、または毎日繰り返す
  • 皮膚がただれる、毛が抜ける、出血するなど自傷の跡がある
  • しっぽの付け根に触れると過敏に反応し、その場で暴れる・鳴く
  • 発作的に始まり、本人も戸惑っているような様子で急に走り出す

こうした神経系の過敏さのメカニズムについては、猫の神経障害性疼痛に関する総説(Rusbridge, 2024)でも、多角的な評価と管理の必要性が指摘されています。あくまで「様子見でよい範囲」と「相談したほうがよい範囲」の目安であり、断定的な自己判断は避け、気になる場合はかかりつけの動物病院に相談してください。その他の猫のストレスサイン10種類も、あわせて確認しておくと安心材料が増えます。

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しっぽの付け根を触るとお尻を持ち上げるのはなぜ?

しっぽの付け根をそっと触ったとき、お尻をひょいと持ち上げる仕草を見せる猫は少なくありません。多くの飼い主が経験する現象ですが、正直に言うと、この仕草を正面から解明した信頼できる研究は見つけられませんでした。

しっぽの付け根には神経が集中していることは確かなので、感覚刺激への反応の一種と考えるのが自然ですが、断定はできません。「かわいい仕草」で片づけるのではなく、「まだ十分に解明されていない」という現状を正直にお伝えするのが誠実だと考えています。

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低重心の品種はしっぽの使い方が変わる?マンチカン・ミヌエットの現場観察

着地の瞬間にしっぽを大きく振ってバランスを取る足の短いマンチカン
着地の瞬間にしっぽを大きく振ってバランスを取る足の短いマンチカン

冒頭で触れた通り、しっぽには「バランスを取る」という機能があります。狭い場所を歩いたり、高い場所から飛び降りたりするとき、しっぽの向きを変えることで転倒を防いでいます。

マンチカンミヌエットのように足が短い品種は、この機能がより顕著に見えると感じています。当キャッテリーで日常的に観察していると、後ろ足だけで立ち上がって高い場所を覗き込むときや、着地の瞬間にしっぽを大きく振って体幹のバランスを取り直す場面が、足の長い品種よりも目につきやすい印象があります。これは正式な計測データではなく現場観察の範囲ですが、足の長さが違えば重心の取り方も変わり、しっぽの役割の見え方も変わってくるのだと感じます。

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よくある質問

Q. マンクスとジャパニーズボブテイルは同じ遺伝子で短尾になるのですか?

いいえ、異なります。マンクスは常染色体優性のM遺伝子(T-box遺伝子・Brachyuryの変異)によるもので、ホモ接合体は胎生致死とされます。ジャパニーズボブテイルは別の遺伝メカニズムで、骨格に変異はあるものの罹患率・死亡率との相関は確認されていません。同じ「短尾」でも由来と健康上の意味はまったく別物です。

Q. 猫がしっぽを追いかけるのは病気のサインですか?

多くの場合は問題ありません。健康な猫の73.1%が何らかの関連行動サインを示すという調査結果もあり、軽く追いかける・噛む程度の様子はよくあることです。ただし頻度が急に増える、皮膚に傷やただれができる、付け根に触れると激しく暴れるといった様子が重なる場合は、動物病院に相談することをおすすめします。

Q. 猫のしっぽの骨は何本ありますか?

尾椎の数はおおむね18〜23個です。品種によって差があり、たとえばジャパニーズボブテイルは平均で約15.8個と少なめであることが報告されています。人間の尾骨が3〜5個程度であることと比べると、猫のしっぽがいかに柔軟に動くかがわかります。

Q. しっぽがない猫は生活に不便はないのですか?

ジャパニーズボブテイルのように骨格変異があっても健康リスクと相関しないタイプの短尾であれば、日常生活で大きな不便が報告されているわけではありません。バランス機能の一部をしっぽに頼れない分、体幹や後ろ足の使い方で補っていると考えられますが、この点を正面から検証した研究は今回確認できていません。

Q. マンクスを繁殖させることに問題はありますか?

マンクスのM遺伝子はホモ接合体で胎生致死とされているため、ホモ接合体同士の交配を避けるなど、繁殖には相応の配慮が必要とされています。Flowens Catではマンクスを取り扱っていないため、この点について特定の立場から評価する利害関係はありませんが、遺伝的な背景を正しく理解した上で検討することをおすすめします。

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まとめ

猫のしっぽは尾椎18〜23個の骨と十数本の筋肉でできたシンプルな構造に見えて、品種によってまったく異なる遺伝子が短尾・無尾という同じ結果を生み出しています。マンクスとジャパニーズボブテイルの対比が示す通り、「見た目が似ている」ことと「体の中身が同じ」ことはイコールではありません。

しっぽを追いかける仕草も、多くの場合は健康な猫にも見られるありふれた行動です。頻度や皮膚の状態など具体的な目安をもとに、過度に心配しすぎず、必要なときだけ受診を検討する——そのくらいの距離感で愛猫のしっぽと付き合っていただければと思います。

Flowens Catは関東5・中部3の全国8拠点でマンチカンミヌエットを含む9品種を扱っています。しっぽの動きで気持ちを詳しく知りたい方は猫のしっぽの意味|動きでわかる気持ち8パターン一覧を、健康チェックの基本は子猫の健康診断ガイドもあわせてご覧ください。現在お迎え可能な子猫はこちらからご確認いただけます。

参考文献・出典8

  1. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/393376/
  2. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8244864/
  3. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23949773/
  4. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25488973/
  5. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27030474/
  6. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29595359/
  7. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40317771/
  8. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38710218/

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