緊急警告:オスの猫が「トイレに何度も行くのに尿が出ない・ぐったりしている」場合、尿道閉塞の可能性があります。24〜48時間で死に至る緊急疾患です。今すぐ夜間救急含め動物病院に連絡してください。排尿できない状態が 24 時間以上続いた場合、腎不全・心停止のリスクがあります。
この記事の要点監修:Flowens Cat ブリーダー(関東5・中部3 の全国8拠点でキャッテリー運営) 最終更新:2026年5月20日
- 猫の尿路結石は「ストルバイト」と「シュウ酸カルシウム」が2大原因——治療法はまったく異なる
- ストルバイト=尿がアルカリ性・食事療法で溶かせる場合あり
- シュウ酸カルシウム=近年増加傾向・硬くて溶けない・手術が必要なことも
- オスの尿道は直径 1〜2mm と極細で、結石が詰まると 24 時間以内に命に関わる
- 予防の柱は「水をたっぷり飲ませること」と「獣医師指導下の食事管理」
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猫の尿路結石とは?どこにできる?

猫の尿路結石(にょうろけっせき)は、腎臓・尿管・膀胱・尿道などの泌尿器にミネラルが結晶化して固まった石ができる病気です。英語では「Feline Urolithiasis」と表記され、猫の泌尿器疾患の中でも最も対応が急がれる疾患のひとつです。
結石ができる場所によって症状が異なります。
| 部位 | 症状の特徴 |
|---|---|
| 腎臓(腎結石) | 初期は無症状が多い。腰背部の痛み・血尿が出ることも |
| 膀胱(膀胱結石) | 頻尿・血尿・排尿痛・少量ずつしか出ない |
| 尿道(尿道結石) | 尿が出ない・力んで鳴く・緊急度最高 |
近年の動向として、Merck Veterinary Manual(2024年更新)は「かつてはストルバイト(リン酸マグネシウムアンモニウム)が猫由来の結石の大多数を占めていたが、商用フードの成分改善によって発生率は低下し、現在はシュウ酸カルシウムが全結石の約50%を占める」と報告しています。この比率の逆転は、1990年代〜2000年代に起きた食事管理の変化によるもので、ブリーダーの立場でも食事内容の選択が結石リスクに直結すると実感しています。
猫の尿路全体の問題を理解するには猫の血尿、色と緊急度の見分け方も合わせて読むと病気の全体像がつかめます。
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猫の尿路結石の症状チェックリスト
以下の症状がひとつでもあれば、当日〜今すぐ動物病院へ受診してください。
緊急サイン(今すぐ病院)
- トイレに何度も行くが尿がほとんど出ない
- トイレで力みながら鳴く
- ぐったりしている・呼びかけに反応が鈍い
- お腹(膀胱部)が硬く膨れている
- 嘔吐が続く
早めに受診(当日〜翌日)
- 尿に血が混じっている(ピンク〜赤色)
- 普段より頻繁にトイレに行く
- 尿の量が明らかに少なくなった
- 陰部を気にしてしきりに舐める
- 食欲が落ちた
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結石3タイプの判別表:ストルバイト・シュウ酸カルシウム・尿酸

猫の尿路結石で最も重要な知識が、結石の種類によって治療法がまったく異なるという点です。主要3タイプを一覧で比較します。
| 項目 | ストルバイト | シュウ酸カルシウム | 尿酸結石(尿酸塩) |
|---|---|---|---|
| 正式名称 | リン酸マグネシウムアンモニウム | シュウ酸カルシウム | 尿酸塩・尿酸アンモニウム |
| 全結石中の比率 | かつては50%超→現在は減少傾向 | 約50%(近年増加) | 5〜10%程度 |
| 尿のpH | アルカリ性(pH 7.0以上) | 酸性〜中性(pH 6.5以下) | 酸性尿 |
| 食事療法 | 溶かせる場合がある(療法食) | 溶けない | 食事管理で予防は可能 |
| 手術の必要性 | 小さければ療法食で溶解 | 大きさによっては外科手術 | 基礎疾患治療が優先 |
| なりやすい猫 | 若〜中年・メスにやや多い | 7歳以上の中高年・去勢オス | 肝疾患・先天性代謝異常のある猫 |
| 発症しやすい条件 | 細菌性膀胱炎・水分不足 | 肥満・高カルシウム食・長毛種 | 肝臓疾患・プリン体過多 |
ストルバイト結石(アルカリ尿型)の詳細
ストルバイトはかつて猫の結石の過半数を占めていた種類です。尿がアルカリ性に傾いているときにマグネシウム・リン・アンモニアが結合して結晶化します。細菌性膀胱炎が引き金になることも多く、若い猫(1〜6歳)やメスの猫に比較的多く見られます。
Cornell University Feline Health Center(2024年更新)は「シュウ酸カルシウムの比率は近年増加しており、一方でストルバイト結石は商用食の改良によって減少している」と記しています。
治療の特徴: 獣医師処方の療法食(尿を酸性化・マグネシウムを制限したフード)を続けることで、数週間〜数ヶ月で結石が溶けるケースがあります。ただし自己判断で市販の「結石ケアフード」に切り替えることは禁物です。種類の確認なしに誤った対処をすると悪化します。
シュウ酸カルシウム結石(酸性尿型)の詳細
シュウ酸カルシウムは、尿中のシュウ酸とカルシウムが結合して硬い結晶になったものです。一度できると食事療法では溶かせないのが最大の特徴です。
中高年のオス猫(特に7歳以上の去勢済み)や、遺伝的にカルシウム代謝が影響されやすい個体に多い傾向があります。Merck Veterinary Manualでは「長毛種(ペルシャ・ヒマラヤン・エキゾチックショートヘアなど)に素因がある」とも指摘されています。
近年、食事の過度な酸性化(ストルバイト予防を意識しすぎたフード管理)がシュウ酸カルシウムのリスクを高める可能性も指摘されており、pH 管理は「アルカリに傾けすぎず、酸性にしすぎず」という中間値(pH 6.2〜6.5 程度)を維持することが理想とされています。
治療の特徴: 結石が小さければ経過観察と食事管理、大きければ外科手術または内視鏡的除去が必要になります。手術コストは膀胱切開の場合で8〜20万円程度が目安(病院・地域により大きく異なります)。
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オスの猫に尿路結石が危険な理由

猫の尿路結石で命に関わる最大のリスクが尿道閉塞(にょうどうへいそく)です。
オスの猫の尿道はメスに比べて細く長く、特に陰茎部の尿道は直径1〜2mmしかありません。ここに小さな結石・結晶・粘液栓が詰まると尿が完全に出なくなります。
| 経過時間 | 体への影響 |
|---|---|
| 閉塞後6〜12時間 | 膀胱が膨れ、強い不快感・痛みが現れる |
| 閉塞後12〜24時間 | 腎臓へのダメージが始まる(急性腎不全リスク) |
| 閉塞後24〜48時間 | 高カリウム血症・心停止リスク。死亡するケースも |
Merck Veterinary Manualも「尿路結石は両性で同程度の頻度で発生するが、男性(オス)猫は尿道が長く細いため閉塞のリスクが有意に高い」と明確に述べています。
緊急度の見きわめフロー
以下のフローで今すぐの行動を判断してください。
今すぐ病院(救急可)
- 尿が 8 時間以上まったく出ていない
- ぐったりしている・意識が混濁している
- お腹が硬く膨れている・触ると鳴く
- 嘔吐が止まらない
24 時間以内に病院
- 血尿が続いている(ただし元気・食欲あり)
- トイレ回数が急増(1日 10 回以上)
- 普段と違う場所で排尿した(膀胱の不快感)
様子見+翌日受診を検討
- 1〜2 回だけ血尿が出た(その後通常に戻った)
- トイレ時間がやや長くなったが尿量は普通
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猫の尿路結石の食事療法(処方食の実例)

結石の治療・予防において食事管理は最重要です。ただし必ず獣医師の診断を経てから開始してください。種類を誤ると逆効果になります。
食事療法早見表(尿pH・年齢・水分摂取量別)
| 結石タイプ | 目標尿pH | 主なフードの方向性 | ウェット食の活用 |
|---|---|---|---|
| ストルバイト | pH 6.0〜6.5(弱酸性) | マグネシウム・リン制限・尿酸性化 | 強く推奨(尿量増加) |
| シュウ酸カルシウム | pH 6.5〜7.0(中性寄り) | カルシウム・シュウ酸・ビタミンD 制限 | 強く推奨(尿量増加) |
| 予防・健康維持 | pH 6.2〜6.5(中間) | バランス食・水分量確保 | 推奨(ドライのみより有効) |
| 7歳以上の猫 | 獣医師と相談 | 腎機能も考慮した総合設計 | 強く推奨 |
ストルバイト用療法食(アルカリ化を防ぐ)
代表的な処方食:
- ヒルズ プリスクリプション・ダイエット c/d マルチケア(尿を弱酸性に保つ・マグネシウム制限)
- ロイヤルカナン 泌尿器サポート(S/O)(ストルバイト溶解・尿量増加)
- ピュリナ プロプラン ベテリナリーダイエット UR
シュウ酸カルシウム用管理食(再発予防)
- 結石除去後の再発予防が主目的(溶解効果なし)
- カルシウム・シュウ酸・ビタミンD・タンパク質の制限が主軸
- ロイヤルカナン 腎臓サポート または ヒルズ プリスクリプション・ダイエット w/d が使われることが多い
食事療法の注意点
- 療法食以外の食べ物を与えない(おやつも原則禁止・獣医師に確認)
- 必ずウェットフードも組み合わせ、水分摂取量を増やす
- 4〜8週間ごとにレントゲン・エコー・尿検査で効果を確認する
- 「溶けた」と判断されても、維持・予防フードに切り替えが必要
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水分補給で結石リスクを下げる

尿路結石の最大の予防策のひとつが飲水量を増やして尿を薄くすることです。尿が濃くなるほどミネラルが結晶化しやすくなります。
体重別の1日必要水分量の目安
| 体重 | 1日の目安水分量 |
|---|---|
| 2kg | 約80〜100ml |
| 3kg | 約110〜130ml |
| 4kg | 約140〜160ml |
| 5kg | 約170〜190ml |
飲水量を増やす工夫:
- ウェットフードをメインまたはトッピングとして与える
- 水飲み器を複数箇所に置く(猫は移動せずに飲む場所を好む)
- 循環式の流れる水飲み器に変える(猫は流水を好む傾向がある)
- 水の温度を37°C前後(体温に近い)に変えてみる
- 水に少量のチキンスープ(無塩・玉ねぎ不使用)を加える
猫の水分補給については猫が水を飲まない原因と対策でさらに詳しく解説しています。
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手術が必要になるケースと費用の目安

ストルバイト以外、または療法食で溶解できなかった結石は外科的処置が必要です。
| 処置の種類 | 対象 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 膀胱切開術(シストトミー) | 膀胱結石(特にシュウ酸カルシウム) | 8〜20万円 |
| 尿道カテーテル処置 | 尿道閉塞(オス猫の緊急対応) | 3〜10万円 |
| 尿道造口術(PU手術) | 繰り返す尿道閉塞のオス猫 | 15〜30万円 |
| 腎盂切開・尿管切開 | 腎臓・尿管の結石 | 20万円〜(専門病院) |
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Flowens Cat が取り組む泌尿器トラブル予防
当キャッテリーでは、関東5拠点・中部3拠点の全国8拠点でキャッテリーを運営する中で、泌尿器トラブルを持つ猫と飼い主さまの相談に数多く対応してきました。特にオスのマンチカン・ブリティッシュショートヘア・ラグドール系において、水分摂取量の不足が原因と思われる頻尿・結晶尿の問い合わせは繰り返し見られます。
以下は当キャッテリーが子猫のお迎え前後に実施している取り組みです。
- 全頭に健康診断を実施: お迎え前に腎臓・膀胱を含む全身チェックを行い、先天的な泌尿器の異常がないか確認します。尿比重・尿たんぱく・尿pHの測定も行っています。
- 食事指導の提供: お迎え時に現在与えているフードの種類・量をお伝えし、切り替え時の注意点も説明しています。特にドライフードだけで育てることのリスクと、ウェット食併用の重要性をお伝えします。
- 水分摂取のアドバイス: 子猫期からウェットフードを組み合わせる食生活を推奨し、尿濃縮リスクを下げています。複数の水飲み場設置についても必ず案内しています。
- お迎え後のサポート: 「尿の色がおかしい」「トイレの回数が増えた」というご相談にもすぐに対応します。明らかな緊急サインの場合は「今すぐ病院に連絡してください」と即時アドバイスをしています。
健康管理への取り組みページでは、当キャッテリーの検査体制を詳しく紹介しています。健康な子猫を探している方は子猫一覧からご覧ください。
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よくある質問(FAQ)
猫の尿路結石は自然に治りますか?
自然治癒は期待できません。小さなストルバイト結石は療法食で溶ける場合がありますが、それは「獣医師の指示のもとで食事療法を行った場合」です。何も対処しなければ結石は大きくなり、尿道閉塞・腎不全に進展するリスクがあります。症状を確認したら必ず受診してください。
ストルバイトとシュウ酸カルシウムは見た目で見分けられますか?
見た目だけでの判別は非常に難しいです。ストルバイトは白〜クリーム色の砂状・泥状のことが多く、シュウ酸カルシウムは白〜黄色がかった硬い石状になることが多いですが、確定には尿検査と画像検査が必要です。排出または除去した結石を専門機関で分析(結石分析検査)することで種類が確定します。
猫の尿路結石の検査はどんなことをしますか?
尿検査(pH・結晶の有無・細菌)・レントゲン検査(石灰化した結石の確認)・超音波検査(膀胱・腎臓の状態確認)が基本セットです。結石の種類を確定するには、排出または除去した結石を専門機関で分析(結石分析検査)するのが最も確実です。費用は尿検査が3,000〜6,000円程度、画像検査は5,000〜15,000円程度が目安です。
猫の尿路結石は食事だけで予防できますか?
食事管理は重要ですが、それだけでは完全な予防にはなりません。水分補給・定期的な尿検査(年1〜2回)・体重管理・ストレス軽減を組み合わせることが大切です。特に過去に結石になったことがある猫は、予防食と定期検査の継続が再発予防の鍵です。Cornell大学のフェライン・ヘルス・センターも「生活習慣の複合的な管理が再発予防に有効」と推奨しています。
猫の尿路結石の手術は成功しますか?
膀胱結石の外科手術(膀胱切開術)は一般的な手術で、適切な病院であれば成功率は高いです。ただし術後の再発予防(食事管理・定期検査)が不十分だと再発するリスクがあります。特にシュウ酸カルシウムは術後も継続的な管理が必要です。術後 2〜4 週間は安静と食事制限が必要になるため、入院費を含めた費用計画を立てておくことをお勧めします。
長毛種の猫は尿路結石になりやすいですか?
Merck Veterinary Manual(2024年更新)によると、長毛種(ペルシャ・ヒマラヤン・エキゾチックショートヘアなど)はシュウ酸カルシウム結石に対して遺伝的な素因があると報告されています。Flowens Cat でも、これらの品種のお迎え後の飼育相談では水分摂取と尿pH 管理の重要性を特に強調してお伝えしています。遺伝的素因があるからといって必ず発症するわけではなく、食事・水分・定期検査の管理で予防は可能です。
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まとめ
猫の尿路結石は、ストルバイト(アルカリ尿型・食事療法で溶かせる場合あり)とシュウ酸カルシウム(酸性尿型・近年増加・溶けない・手術が必要なことも)の2種類が主要で、治療法がまったく異なります。
最も危険なのはオスの尿道閉塞です。「トイレに行くのに尿が出ない」という状態は12〜24時間で命に関わります。迷ったら今すぐ動物病院に電話してください。
予防の柱は「水分をたっぷり摂らせること」と「適切な食事管理」。定期的な尿検査で早期発見することが、猫との長い生活を守る最善の方法です。
血尿・頻尿の原因全般については猫の血尿、色と緊急度の見分け方を、水分補給の具体的な工夫については猫が水を飲まない原因と対策もあわせてご覧ください。よくある質問でも健康に関するQ&Aをまとめています。
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参考情報・出典
本記事は以下の情報源をもとに作成しています(2026年5月20日時点)。
- Merck Veterinary Manual「Urolithiasis in Cats」 — 結石種類・比率・長毛種との関連
- Cornell University Feline Health Center「Feline Lower Urinary Tract Disease」 — シュウ酸カルシウムの増加傾向
- Buffington et al., Journal of Veterinary Internal Medicine, 2002 — FIC(特発性膀胱炎)の有病率(猫の膀胱炎の50〜70%)
- American Association of Feline Practitioners(AAFP)Practice Guidelines — 猫の泌尿器疾患管理の推奨事項
- アニコム損保「家庭どうぶつ白書」2023年版 — 猫の通院理由トップの泌尿器疾患に関する調査
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免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的として作成されており、獣医師による診断・治療の代替となるものではありません。以下の状態は緊急受診が必要です。
- 24時間以上排尿がない(特にオス猫)
- 血尿+ぐったり・鳴き声・嘔吐を伴う
- お腹が硬く張っている
これらの症状がひとつでもある場合、夜間救急含め直ちに動物病院に連絡してください。本記事の情報を治療の自己判断に使用することによる損害について、Flowens Cat は責任を負いません。必ず獣医師の指導のもとで判断してください。
監修:Flowens Cat ブリーダー(関東5・中部3 の全国8拠点)/2026年5月20日更新









